第39回: ウンチクを傾けること
更新日2002/05/02
アメリカの大手クルーズシップ会社「カーニバル」が、ゴミを海に捨てたとして3百万ドル(約3億6千万円)の罰金を課せられた。今やカリブ海はブームにのっているのだろう、豪華客船は大型化し2千人、3千人の客を乗せるのが当たり前になってきた。
夜セーリングしていると、水平線の向こうがボーっと明るくなるのを目にする。しばらくすると、クルーズシップが満艦光輝かして姿を現す。まるで、新宿の歌舞伎町が海に浮き、近づいて来たかのような派手派手しさだ。
私は俗に言う、船キチではないが、チャンスさえあれば様々な船、クラシックな木造船から、ウルトラモダンなレース艇、モーターボートも、トローラー、スポーツボート、世界の片隅で乗り継がれている土着のカヌーや帆掛け舟に乗ってきた。水に浮くものなら何でも試してみたいのだ。
しかし、あのクルーズシップだけは、足腰が立たなくなっても乗る気がしないと思う。あれはただの浮いているホテルだ。観光客は宿命的に、子供じみて、滑稽に見えるものだが、クルーズシップから吐き出される客は漫画じみてさえいるのだ。
恐らく一つ前の寄港地で買った派手なTシャツに短パン、白い靴下にナイキのジムシューズ、ツバの広い日除け帽子にサングラスといったユニフォームで、千人単位で船から降り、バスに乗り込み、4〜5時間で島を観て周り、また船に乗り込むのだ。白いユニフォームの集団が可愛らしいのは、小学校の運動会までだ。
我々の生活が便利になればなるだけ、必要とされる物資やエネルギーは多くなるし、排泄物も多くなる。大型クルーズシップの客2千人、クルー500人の排泄物たるや膨大な量になるし、台所から出るゴミもすざましい量だろう。
この大量の汚物は、アメリカの場合、領海30マイル離れた海へ捨てられる。生ゴミはまだよい、魚が食べてくれるし、分解期間も短いがペットボトル、アルミ缶、ビニールは100年単位で海をさまようことになるのだ。
人間、生きていれば、食べるし、食べた以上は出さなければならない。これは陸だろうが海だろうが同じことなのは分っているのだが、巨大なクルーズシップを見るたびに、膨大な糞尿はどこへ行くのかと考えざるを得ない。
第40回:二つのやりかた