■もう一つの世界との対話
〜谷口江里也と海藤春樹のイメージトリップ | |
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それを見た私は、また気を失いそうになった でも、同じことを繰り返したんでは、ただのバカじゃないかと どこかで理性の修復システムが働き かろうじて気を取り直した私は、スーツケースを持ったまま 白いネズミに向かって言った すみません、そこをどいていただけますか もっと強い態度に出たっていいじゃないか あるいは、もう少し気の利いたことの一つも言えないのか だいいち、ここはおまえの家じゃないか、と どこかで一瞬思ったような気もしたが、実際に口から出たのは そんな弱気な一言だった すると白いネズミは、そんな私の弱気を逆なでするかのように言った
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完璧な準備なんてできるわけないじゃん
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それを聞いた私は、またフリーズしそうになった でも、たかがネズミごときになめられたんでは人間がすたると どこかで再び、知性のセーフティガードが働き かろうじて泣き出すのをこらえた私は スーツケースを握りしめながら必死で言った どうしてそんなことを言うんですか 私がせっかく万全を期して旅に出ようというのに そのために何年も前から構想を練り いよいよ決心をして一年かけて準備をして 一ヶ月前からいよいよスーツケースを詰め始め、これでもう大丈夫と思い 今まさにその旅に出かけようとしている私に向かって そんなことを言うなんて、あんまりじゃないですか それに完璧のどこがいけないんですか、もちろん私だって 完璧な完璧なんて不可能なのはわかっていますよ でも、これから初めて、私が一人で旅に出ようというのに
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