| |
とりたてて、無いのでございます ですから、目的というようなものも、特にありません しいて申し上げれば、私の場合には こうして、家と一緒に、動いておりますので 出かけて何かをする、必要もなければ いついつまでに、家に帰るという、必要もありません ですから、もし私に、目的のようなものがあるとすれば それは、ゆっくり景色を眺め、そのなかから この柔らかで敏感な、角のような触覚をつかって 美味しそうな、食べ物を、見つけて それをゆっくりと味わい、食べ疲れたら、家の中でからだを休め そして、目が覚めたら、また食べて、食べ飽きたなら またゆっくりと、景色を眺め、楽しみながら移動します つまり私には、そうやって 同じように、日々を過ごすこと、それ自体が目的なのではないかと
|
| |
そのように、考える、次第でございます ただ、同じように、と申しましても 食べる草の味は、どれも、違う味がいたします 空気の中の、水分の量も、つねに刻々と、移り変わります 家を叩く雨の音も、角を吹き過ぎる、風のにおいも みんなみんなちがいます、それはもう、不思議なほどです ですから、私のまわりには、いつでもどこでも 驚きがあふれています、そんな驚きに出会うたびに、私は 角を出したり、引っ込めたり、ゆっくり、ぐるりと回したりして その驚きと、向かい合い、触れ合い そうして時が、いつの間にか、過ぎていきます、ですから……
|
| |
カタツムリさんの話を子守歌のように聞きながら ぼんやり空を見上げると 白い雲が、ゆっくりかたちを変えながら、流れていった

|