■もう一つの世界との対話 〜谷口江里也と海藤春樹のイメージトリップ
第十八話 ゆっくり話すカタツムリとの対話  4/4
更新日2006/12/07
 
とりたてて、無いのでございます
ですから、目的というようなものも、特にありません
しいて申し上げれば、私の場合には
こうして、家と一緒に、動いておりますので
出かけて何かをする、必要もなければ
いついつまでに、家に帰るという、必要もありません
ですから、もし私に、目的のようなものがあるとすれば
それは、ゆっくり景色を眺め、そのなかから
この柔らかで敏感な、角のような触覚をつかって
美味しそうな、食べ物を、見つけて
それをゆっくりと味わい、食べ疲れたら、家の中でからだを休め
そして、目が覚めたら、また食べて、食べ飽きたなら
またゆっくりと、景色を眺め、楽しみながら移動します
つまり私には、そうやって
同じように、日々を過ごすこと、それ自体が目的なのではないかと

 
そのように、考える、次第でございます
ただ、同じように、と申しましても
食べる草の味は、どれも、違う味がいたします
空気の中の、水分の量も、つねに刻々と、移り変わります
家を叩く雨の音も、角を吹き過ぎる、風のにおいも
みんなみんなちがいます、それはもう、不思議なほどです
ですから、私のまわりには、いつでもどこでも
驚きがあふれています、そんな驚きに出会うたびに、私は
角を出したり、引っ込めたり、ゆっくり、ぐるりと回したりして
その驚きと、向かい合い、触れ合い
そうして時が、いつの間にか、過ぎていきます、ですから……

 


カタツムリさんの話を子守歌のように聞きながら
ぼんやり空を見上げると
白い雲が、ゆっくりかたちを変えながら、流れていった


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