花の上にではなく
人が歩く道の上で羽を休める一羽の蝶。
すぐそばに咲いた花があるのに
どうして花ではなく石の上にいるのか ?
もしかしたら、もう飛ぶ力がないのか。
けれど、触覚はまっすぐ伸びているし
羽だってまだ艶々として
どこかが欠けているわけでもない。
あるいは、急にぶり返した寒さに
光を受けた石の暖かさが心地よいのか。
まさか石の模様に隠れて私の目を眩まそうとしたとも思えない。
そんなことを、あれやこれやと考えていると
急にふわりと舞い上がり、私を置いてどこかへ消えた。
なんだか妙にホッとした朝のひと時。