畑の端で咲く花。
自然に生えてきたのか、それとも誰かが植えたのか。
どちらにしても、畑に出る時、作業を終えて家に帰る時
この畑で働く人は無意識のうちにもこの花を見るだろう。
そのことはきっと、その人の気持ちにとってマイナスではない。
花が嫌いな人はほとんどいない。
嬉しい時、花束をもらうと誰だって嬉しい。
お墓や仏壇にお花を添えると、なぜか心が和む。
そうして人は太古の昔から花を愛でてきた。
花が咲いた後にできる実やタネを役立ててもきたけれど
食べられようとそうでなかろうと人は、花を花として愛してきた。
花は人に、美というものの存在のありがたさを示し続けてきてくれた。
もし花の存在がなかったら、人は自分たちが
美を糧とする命だと気づかないまま、人になり損なっていたかもしれない。