第17回:夏休み その2更新日2006/06/22
夏の森や野原には隠れた敵がたくさんいました。
毒蛇、毒蜘蛛(“ブラックウイドー”という毒グモはガラガラヘビの15倍の猛毒を持っています)、“ホースフライ”(馬バエと呼んでいますが人間も刺します)、そして“ホーネット”などの蜂は最も恐ろしい敵です。
しかし、毎年必ず決まってやられるのは“チガー”です。中西部の田舎の人なら誰でもチガーに刺された経験があるはずで、大半の人はチガーと聞いただけでアレルギー反応を示し、体のあちらこちらが痒くなってくることでしょう。
春になり地面が暖かくなってくると、冬眠していたチガーが這い出てきて、靴から足へと登り、体の柔らかいところに取り付くのです。チガーはとても小さいく、ほとんど見えないくらいのダニの一種で、薄手の布地の目をかいくぐって進入してきます。その上、刺されるまで衣服の下にチガー入り込んだことに気がつきません。アッ痒いと気がついたときはもう遅く、一箇所だけでなく、たいてい何匹かに数箇所、いや数十箇所やられているのです。
町に住む、従妹のキムが泊まりに来たとき、嬉しさのあまり草原を転げ回るように遊んだのでしょう、夕方お風呂場で、二人で何箇所チガーに刺されたかを競争するように数えました。キムは57箇所、私は48箇所でした。こうして書いていても、体がモゾモゾ痒くなってきます。
暑い日に、クリークで遊ぶほど気持ちのよいことはありません。当時、クリークはまだ澄んだ冷たい清流で、農薬に汚染されていませんでした。水をかけあったり、ターザン(ジェーンかな)のように川沿いの大木にかけたロープにしがみつき、思いっきりスイングさせ、淀みに飛び込むとか、ビーバーをまねて小さなダムを造り、自分たちの専用のプールにしたりしました。
クリークでの水遊びの敵は“ヒル”です。水を堰き止めせっかく造ったプールにも、淀んだ水が好きなのでしょうか、ヒルがすぐにやってきて、足やお尻に吸い付くのです。吸い付かれても麻酔作用のある液体を吸い口から出すので痛みがなく、気がつきません。
水から上がって初めて黒い紐のようなものが張り付いていることに気づくのでした。手で簡単に引き離すことができますが、吸い口の出血はなかなか止まらず、急いで家に帰り、おばあさんに傷口をオキシドールで洗ってもらい、血止め薬を塗ってもらいますが、吸われたところは嫌な紫色の傷痕がしばらく残るのです。
“ダニ”もたくさんいました。フリッツや他の犬たちの耳の中、お尻の周りに血を吸って体が赤く膨らんだダニを何匹も見つけたものです。ダニはピンセットで根元(ダニの口)の方から引き抜くように取ります。これも私の仕事(?)のうちでした。
ある時、弟のトミーが泣き叫びながら家に走ってきたことがありました。私が6、7歳くらいでしたから、年子のトミーは5、6歳だったはずです。家にいたおばあさんに、トミーは恐怖に引きつったようにオチンチンを見せました。なんとトミーの小さなオチンチンの先に血を吸って大きくなったダニが取り付いていたのです。
おばあさんは、トミーをなだめすかしながら巧みにダニを取り外し、マーキュロをつけました。その同じ日だったと思いますが、私が、「トミーのオチンチンにダニが付いた、オチンチンが真っ赤か〜」と歌うようにからかったとき、いつも可愛がっていたおとなしいトミーのどこにそんな激しい怒りが隠されていたのでしょう。突然、火がついたように怒り出し、それはもう本気で私にかかってきたのです。
容赦しないトミーの蹴りをお腹に受け、私は自分が何か大きな間違いをしたことに気づきました。幸い、まだ私の方が足が早かったので、逃げおおせることができましたが、トミーに捕まっていたら殺されかねませんでした。
男性には、たとえ子供でも、決してオチンチンのことで冗談を言ったり、からかったりしてはいけないことを学んだのでした。

お父さんと双子の弟です。
歩き始めると同時にこんな格好で
一日中外で遊んでいたのでしょう。
いまだに二人ともとても丈夫です。
-…つづく
第18回:夏休み その3

