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■よりみち~編集後記

 

更新日2014/01/09


今年の正月はいつもの年より休みが長かったはずなのだが、意外とあっという間に過ぎ去ってしまった感がある。比較的穏やかな年明けという気もするが、色々と難題が待ち構えていて、なかなか先の見えない年になりそうでもある。まずは、2月初めの東京都知事選が全く予想不能な状態である。舛添要一氏の立候補はある程度予測できたことだが、なんと75歳の元総理の細川護熙氏を担ぎ出そうと本気で考えているようだ。本人も脱原発をテーマに小泉元総理との連携を模索し始めているそうで、結構本気で考えているようなのだ。最初に立候補を表明しているのは、前回次点で落選した、脱原発を訴える宇都宮健児氏にとっては、横槍的な存在となり、細川氏が立候補するかどうかで、致命的な状況となりそうだ。楽観的な見方をする人は、ギリギリまで細川氏が民主党の指名を引き伸ばし、宇都宮氏への一本化を表明して、民主党の指名候補がいなくなることから、宇都宮氏を指名せざるを得なくして、一気に野党連合を固めるつもりではないかという希望的な観測もあるが、そううまく事が運ぶようには思えない。もし、そのシナリオが実現した場合には、大どんでん返しで脱原発知事が誕生する可能性が大きいのだが、そこまで本気で脱原発推進を小泉元総理や細川元総理が考えているとは到底思えない。
4月には消費税8%というアベノミクスの最大の難関がやってくる。これまで、実態経済としては好景気への転換やデフレからの脱却が実現しているとは言いがたく、太鼓ばかり叩いて雰囲気づくりに躍起だった安倍政権だが、3%の消費税増税の実施で、本来の経済効果が数値で表出されるわけで、経済が失速した場合にはデフレ脱却も賃金のベースアップも夢物語に終ってしまう可能性もあり、一気に安倍政権の土台が揺らぐことになるわけで、消費税アップは安倍政権の試金石となる。
昨年末の特別秘密保護法案の成立のような自民党の独断的な動きもとても気になる年になりそうだ。ねじれ国会が以前は政治停滞の最大の障壁として考えられていたのだが、ねじれなしの現実は、自民党のやりたい放題を指をくわえて観ているしかないという非常に危険な状況を作り出していることを痛感するわけで、ねじれているくらいの状態が健全であったことがよく理解できる。自民党の考え方としては、このねじれがない独断専行の好機を逃さず、法改正が必要なことはすべてドサクサに紛れて改正してしまおうという火事場泥棒的な発想に転換しているようで、今後の国会論議が注目される。数の論理では、なんでも通してしまうことも可能なわけで、現状は怖いものなしなのだ。アベノミクスによって、経済面で好景気の兆しさえ出せたなら、誰も口出しができない状況を維持できるわけで、外交面で中国や韓国と最悪の関係となったとしても、経済面で互恵関係は互いに維持せざるを得ない関係であることは暗黙の了解事項としてある以上、それほど致命的な問題に発展しないはずで、かえって憲法改正や集団的自衛権の問題提起のためには好都合と考えている節がある。確かに、中国や韓国と相互協力関係が築けるのであれば、憲法改正をしてまで自衛隊を防衛軍にする必要性がないわけで、したたかに計算されたシナリオのようにも思えるのだ。いずれにしても、憲法第9条を改正して、戦争ができる日本にしようとしている安倍政権に関しては、眉に唾を付けながら、今年の動きを最大限注視していく必要がありそうだ。(越)

 

 

 


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