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■よりみち~編集後記

 

更新日2019/02/07




日本の劣化がヒドイ。政治家の劣化は以前から言われてきたことで驚きもしないのだが、経済の劣化も近年激しく、Japan as No.1などと誉めそやされていた時代がかつてあったことなど信じられないほど、欧米諸国にも、アジア新興諸国にも遅れをとり始めている体たらくぶりだ。その昔、世界のトップ企業の常連であった日本の企業はほとんど姿を消してしまい、12位になんとかトヨタ自動車が滑り込んでいるだけだ(三菱UFJFグループ37位、ソフトバンク39位、NTT46位、本田技研58位、三井住友Fグループ59位;参考:Forbs Japan)。この政治、経済の劣化だけでなく、問題はさらに深刻になってきており、日本のあらゆる分野で劣化が顕在化しているのだ。どうも日本には、バブル時代(1980年代後半から1990年代初頭の好況期)の清算がしっかりされてこなかったツケが今頃になって回ってきているように思えてしまう。バブル崩壊後に続いた経済低迷期に、経済立て直しに必要な強力な政治リーダーが結局出現せず、揚げ足取りの短期政権ばかりが続くばかりで、政治改革どころか政治的な大混乱となり、一時、民主党の政権交代により大きく期待されたものの、結局のところは大失敗に終わり、その反動で安倍政権の自民党と公明党の連合政権に頼るしかない状態となったのだ。欧米諸国が経済低迷期を乗り切って安定期に向かう中、日本はすべてにおいて欧米諸国にも、支援していたはずの新興中国にまで遅れをとってしまうまで優位性はもうすっかりなくなってしまったのだ。もちろん、その過程の中で、平成の大災害の影響は大きく、阪神・淡路大震災(1995年1月17日)、東日本大震災(2011年3月11日)と福島第一原発事故により、精神的にも財政的にも打撃が大きく、復興までに足踏みが続いたことは確かで、これも不振の大きな要因かもしれない。

それにしても、日本のこの目を覆うほどの劣化はどうなっているのだろう。昨年のモリカケ問題で発覚した公文書改ざん偽造事件に続き、2018年12月末に発覚した厚生労働省の「毎月勤労統計」と「賃金構造基本統計」の不正統計問題は多くの人に大きなショックを与えた。この不正のあった統計は、賃金や労働時間に関する統計で、調査結果はGDP(国内総生産)の算出に用いられるなど、日本の基幹統計の一つとして位置付けられている重要な統計であり、エリート役人が担当しているのだ。それがすでに2004年から不正集計が続いていて、優秀な役人がそれに気が付いていないはずはなく、事実、総務省が2017年にも基幹統計を含む377統計を一斉点検し、4割弱の138統計で問題を確認しており、再発防止策を各省に示していたが、2019年1月の点検でも、56の基幹統計の4割で不適切な調査が見つかったと報告しており、問題は厚労省だけでなく、各省庁に不正統計が常態化していたことが判明したのだ。もう驚くしかない。問題が把握されて修正の指示を受けながらも、訂正されないまま公表されていたわけだ。これは官邸が指示してアベノミクスの不利になるデータを出さないようにしたのではないかとか、「アベノミクス新3本の矢」の具体的な目標として掲げた「2020年頃には、名目GDPを600兆円に引き上げる」と安倍首相がぶち上げた数字達成のための忖度により不正統計が実行されたのではないかという疑いがかけられているのだが、総務省からの訂正指示を無視してまで、不正統計を維持し続けたのは組織的な隠蔽があったと思わざるを得ない状況である。さらに、厚労大臣に不正統計の事実を報告した厚労省のキーマン的存在の大西康之政策統括官を、国会開催前に突然更迭して幕引きを図ったことが問題になっている。大西氏がすでに担当者ではないからという理由だけで、参考人招致にも頑なに応じないのだ。これは誰でもが判ることだが、厚労省及び官邸が真相究明を妨害して、不正統計を指示した人間がいることを隠そうとしていることは明らかだろう。役所や役人がここまで劣化していては、日本の将来はさらに暗い闇に向かっていく感じがして恐ろしくなる。やはり公文書を改ざんしても、不正統計操作をしても、一切罪を問われることがないという役人天国の法律が劣化を加速させていることは間違いない。どんなに官邸から注文されたり指示を受けても、不正行為や改ざん行為をすることで自分の地位を失ったり、懲戒免職になるという恐怖感がなければ改善されない。まずそこから変えていくしかないと思えるのだが・・。(越)

 

 

 


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