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■よりみち~編集後記

 

更新日2011/02/10


日本の国技と呼ばれてきたお相撲が大変なことになってきた。その昔から、相撲にはつきものの「八百長」の問題が、昨年、相撲界を揺るがし、逮捕者まで出た野球賭博の警察の調査から出てきてしまった。「八百長」という言葉の由来が、そもそも明治時代の相撲界から生まれたということで、相撲の世界では星の貸し借りなどが知らないところで行われていることは暗黙の了解事項だと思っていたのだが、まさかメールを使ってその交渉が行われていたとは驚きとともに、そこまで日常化し、神経が麻痺していたことにあきれてしまった。江戸時代からの伝統のチョンマゲを結いながら、現代のメディアであるメールで八百長交渉をしている姿を想像するだけで、滑稽で哀れで場違いな光景に思える。国技として指定されたことで、様々な優遇措置を受け、安定した地位が保証されたことで慢心が生まれ、恩恵にあぐらをかき、悪い伝統だけが近代化されず温存されてきた結果が、便利なメールでのやりとりにつながったのだろう。八百長相撲をやっていた本人たちは、やっていた事実よりも、メールにその事実を残してしまったこと、メールは消しても復活できる事実を知らなかったことに落胆しているのではないだろうか。八百長相撲は伝統であり、力士の誰もがその事実を知っていることで、相撲界の暗黙の了解事項なのだ。無気力相撲が何度も相撲協会から警告され、指導されていたようだが(これも八百長相撲の禁止のことを言っていたことは明らかだ)、明治時代から続く体質はそう簡単には変わらないのだろう。
相撲を引退した力士が昔はよくプロレスに転向していたものだが、それくらい相撲とプロレスは近いスポーツだったのだ。子供の頃、TV中継でプロレスが放映されていたが、地方を転戦するプロレスで、毎回流血試合があるのが不思議に思えたのだが、流血の際、必ずといってよいほど、場外乱闘になって、リング下にもぐりこむシーンがあり、その後に頭から血が噴出すということを子供でもカラクリが分ってきたものだが、プロレスまでショーアップはされていないものの、地方巡業が多かった相撲も一種の興行であり、毎回ガチンコでは身体が持たなかった時代が続いていたはずだ。TV放映されている本場所だけは別ということは無理があるだろう。
ただ、いまさら相撲がショービジネスに近いプロレスのように変われるとは思えないし、ガチンコ相撲と思えない取り組みには観客はついていけない。ガチンコでなければ、動きのとろい肥満体が踊っているのを見せられるのと同じで、痛々しい見世物でしかない。巨漢ぞろいの力士の中で身体もそれほど大きくない力士が全力でぶつかり、巨大な相手を投げ飛ばしたり、力自慢の力士同士が互いの気迫の強さを争う姿が感動を与えるわけで、真剣勝負と思えない相撲には何の魅力も感じないはずだ。ということは、国技としての相撲道を近代相撲に変革するしかないのではないだろうか。古い親方制度を改革して、よりプロスポーツとしての民主化を推し進め、取り組みのシステムを八百長を防止する方法を採用し(前日に翌日の取り組みを発表することで八百長交渉が可能となるので、当日発表にするだけでかなり防止できるという)、第三者の組織による八百長監視委員が目を光らせ、元力士の判定委員がビデオで検証したりすることで、徹底的に八百長相撲を撲滅するくらいの意気込みが必要だろう。そして、八百長が疑われる取り組みが発覚した場合には、両者が降格処分を受け、疑惑を与える取り組みも責任を取らされるくらい厳しいシステムにするしかないように思える。相撲を国技として存続させるには膿を出し切るのではなく、相撲の制度を根本的に改革するしか方法がないように思える。(

 

 

 


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