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■よりみち~編集後記

 

更新日2011/02/17


エジプトのムバラク大統領(83歳;ムハンマド・ホスニー・ムバーラク)が2月11日(金)ついに大統領を辞任した。この騒乱事件をエジプト革命と呼ぶとする学者もいるほどアラブ諸国にとって大きな事件となった。1月25日(火)に発生した反政府デモから3週間、各地で反政府デモが拡大し、民衆は首都カイロの中心であるタリハール広場を占拠し続けた。1月29日未明にムバラク大統領は、全閣僚の解任と民主化、経済改革の実行を約束したが、事態は悪化するばかりで、2月1日(火)ついに9月の次期大統領選挙への不出馬を表明して、事実上のムバラク政権に終止符が打たれたが、即時辞任を求めるデモ隊は引かず、ムバラク支持派と反政府デモ隊との衝突が続き、ついに辞任が発表された。その時すでにムバラクさんは、国外(サウジアラビア共和国)に家族とともに逃亡していたようだから、しっかりと逃げる準備をしていたのだろう。
この30年間の独裁政権でムバラク一族はやりたい放題だったようだ。この貧しいエジプトから吸い上げた資金はスイスの口座や英ロンドンの不動産などに隠されていたようで、発表では資産総額は約700億ドル(約5兆8400億円)と言われている。驚いたのは、スイス政府が即座にムバラク一家の資産の凍結を発表したことだ。つい最近法律が変わったようで、不正蓄財が疑われる場合、資産を3年間凍結することになったのだ。これまで、スイス銀行は顧客情報の厳格な秘匿・守秘性の高さに特徴があり、「独裁者の金庫番」「犯罪者の金庫番」と呼ばれていたのだが、凍結資産の持ち主の国家元首らが、国有財産横領で有罪とされた場合は、その国に還元できる仕組みが導入されたようだ。これからはスイス銀行の秘密口座は国家元首は使えないということになりそうだ。
今回のエジプト騒乱事件は、元々1月に起こったチュニジアのジャスミン革命が飛び火したものであり、さらにアラブ諸国へ反政府デモが拡大している。エジプトの隣国リビアでも、40年以上独裁が続くあのカダフィー大佐にも矛先が向けられ、この強権主義のリビアの民主化が成功するとドミノ式に独裁政権国家に飛び火する可能性が出てきた。さらにアラブだけでなく、反米主義の筆頭国であるイランでも反政府デモが発生しており、あのベルルスコーニ大統領の退陣を求めて女たち数千人がデモ行進するなど、民衆の不満が反政府デモに発展する事件の連鎖が続いている。
チュニジアのジャスミン革命がソシアル・ネットワーク「Facebook」や「Twitter」でデモが呼びかけられたことが要因だったことはすでに有名だが、インターネットは国家レベルでも統制できないほど強力になっており、インターネット自体を自由に使えない隣国の独裁国以外の国はネットワークの威力に戦々恐々というところだろう。特に、ネット規制を強めている中国はたぶん頭を抱えているはずだ。今更、インターネットを禁止することは無理だろうから、監視体制を強化するしか手はないのだが、「Twitter」の発言をいちいち検閲することもできないわけで、中国がこれからネット規制をどのように強化するかも関心が高くなっている。一番恐れるのは、テロ集団や国家警察などが反対にネットをジャックしたり、扇動メールやデマメールで民衆を混乱させたり、洗脳しようとする動きだ。すでにエジプト騒乱事件でも、ムバラク支持派が反政府デモを阻止するために扇動メールをばら撒いた事実が発表されており、正に情報戦争が現実に起こる可能性もあるわけだ。いずれにしても、この時期ウィルスメールやチェーンメールには注意したいものである。 (

 

 

 


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