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■よりみち~編集後記

 

更新日2015/02/19


2015年に入って、イスラム過激派組織のアルカイーダ系の風刺新聞社の襲撃事件や自称「イスラム国」(ISIL)による日本人2名の人質殺害事件、そしてデンマークでの風刺画家を狙った襲撃事件など、テロ事件が頻発している。人質事件では、それに乗じた(?)のか、安倍総理は海外での人質事件等に自衛隊派遣を正当化させようとしたり、集団的自衛権行使容認の方向へと国民の関心を持っていき、憲法改正の流れをどうしてもつくりたいようで、その強引な手法に恐怖を覚える。

安倍総理は一体何を考えているのだろう? 深読みをすると、この人質事件を契機にアメリカと相談をして勝負に出たのではないかとさえ思える。人質事件の発生を周知の上、身代金要求の事実まで分っていながら、イスラエルでのネタニエフ首相との握手や、ユダヤ人迫害の歴史をまとめたホロコースト博物館でのパフォーマンス、エジプトでのイスラム国を名指して、「ISILと闘う周辺各国に、総額で2億ドル程度、支援をお約束します」と明言してしまっていること。人質事件が公になった後も、人命救助が最優先と発言して、あらゆる可能性を使って交渉すると言っておきながら、一番現実的だったイスラム国にルートを持つ元大学教授の提案を早々に却下したり、その対応には不可解な点が多すぎる。最初からこの人質事件は、金銭交渉は一切しないというアメリカ政府の方針にそのまま従っていたのではないだろうか。人質は解放されずに惨殺されることを想定しての対応であったように思える。これもアメリカへの擦り寄り政策に思えてならない。そして、あの「テロリストたちを絶対に許さない。その罪を償わせる」という報復発言である。自衛隊の海外派遣も難しい日本が、どのように罪を償わせられるだろう。結局、支援を約束している同盟国アメリカと協力して報復するということしか考えられないわけで、集団的自衛権行使がいかに重要かを強調するための布石として今回の事件をうまく使っているように思えてならない。

最近言われ始めているのが、この自称「イスラム国」の胡散臭い陰謀説である。ISILがどのようにして、これだけ勢力を、これだけ短期間で拡大できているのかといえば、元々がシリアのアサド政権打倒のためにアメリカのCIAの転覆工作によって組織されたイラクのスンニ派の過激派組織が分裂を繰り返して、CIAも手を焼く組織に生まれ変わってしまったというのが実際のようだ。アメリカの武器は何でも持っているし、武装はCIA仕込みだから優秀な兵士が多いのもうなずける。さらに、イルミナティー(陰謀の代名詞的な秘密結社)が裏でからんでいるという説までが、元CIA工作員のエドワード・スノーデン氏から指摘されている。いずれにせよ、アメリカによって中東の戦乱が起こっていることは否定できない。イラク侵攻もアメリカが核兵器製造疑惑をでっち上げて一方的に仕掛けた戦闘であったし、ISILもシリア侵攻作戦の副産物であって、まさかここまで巨大化するとは思っていなかっただろうが、アルカイーダと同じく、元々はCIAの支援があって組織されたものなのだ。さらに、イラク侵攻当時とは、アメリカの国内状況が全く違ってきていることが中東を不安定にしている。ブッシュ時代には、中東は国内のエネルギーを賄う重要な産油国という存在だったのだが、現在は国内に豊富に出ているシェールガス(天然ガス)によってアメリカのエネルギー不安がなくなっており、中東への依存度が極端に減少しており、積極的に介入する口実もなくなっているわけで、この腰が引けていることが、さらに問題を深刻化させているように思える。

中東のイスラム原理主義闘争の末期的状況や、ロシアとウクライナとの泥沼化する国境紛争など、誰がこの状況を一番喜んでいるかと言えば、武器を売る商売の軍需産業だろう。ほとんどが欧米の企業で、彼らが一番困ることは平和になって争いごとがなくなり、武器が売れなくなることだ。常にどこかで紛争が起こり、戦争が起こっていないと儲からないわけだが、軍需産業の収益が年々増え続けている現実を考えると、裏で工作していることを疑いたくなってくるのだ。イスラエルがガサを空爆し続け、ウクライナの国境紛争で空爆が止まらない、ISIL打倒のためのドローンによる空爆など、誰もがそれで勝負がつかないことは分っているし、さらなる復讐心を敵に与えることにつながり、何の解決策にも繋がらず、ただ民間人の犠牲者が増えるだけの行為であることは明らかなのだが、魔法をかけられたロボットのように、ひたすら武力による制圧を目指す怪物に仕立て上げられてしまっているように思える。日本も安倍総理がその魔法にかけられている可能性が高いから要注意だ。(越)

 

 

 


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