のらり 大好評連載中   
 
■よりみち~編集後記
更新日2020/02/20



新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大は、日本でもすでに流行の初期段階に入っています。厚労省の報道発表では、まだ「流行」と言う表現を使っていませんが、明らかに感染経路の不明な感染者が多くなっており、中国への渡航や濃厚接触のない人に感染が拡大しています。一方のウイルスの発生源である中国湖北省の爆発的な感染者増加は、連日1,000人以上を超えていたものが、2月19日には中国全土で400名弱(診断の基準が改定されたことも要因となっているようですが…)と、初めて感染者数が1,000人を下回るのは1月26日以来とのことです。また、中国でも大きな問題となっているのが、医療従事者の感染が3,000人を超えていることで、それによる院内感染による感染拡大が相当多いことのようです。これは日本でも、クルーズ船内での乗客の隔離による感染拡大が問題になっていることと繋がっており、中国保険当局が、「エアロゾル」感染(飛まつよりも小さい粒子のことで、空気中に一定の時間漂うことがある)の可能性を指摘しているように、飛沫感染と濃厚接触感染だけでなく、エアロゾル感染も含めて対策を検討した方がよいようです。

日本の新型コロナウイルス対策は、クルーズ船での対応が批判されているように、ウイルス検査の制限をしており、2月20日現在でも、一般医療機関の医師がウイルス検査(PCR検査)を指示しても、保健所の医師が承認なしでは検査ができない状況であり、保険適用もされていません。無症状での潜伏期間が長い(現在は平均14日間と言われています)わけですから、陽性者が検査が受けていない状態で通常の生活をすることで感染拡大が心配されている状況においても、PCR検査を保健所の判断で実施している状態では、隠れ陽性者が野放しにされている状況であり、現在の陽性者数は氷山の一角で、新型インフルエンザ発生時と同様に、発熱者外来で一般病院が対応し、順次PCR検査を保険適用で実施しなければ、更なる感染拡大に繋がる可能性があります。厚労省には、今回の感染対応の反省を踏まえ、早急にアメリカの疾病対策センター(CDC)と同様の感染症対策の専門機関を日本にも創設する検討をお願いしたいものです。

2020年2月20日現在のCOVID-19感染者数をまとめておきます。

世界  75,690人(死者数 2,126人)

中国  74,576人(2,118)

日本     85人(1)  クルーズ船 621人(2)

韓国     51人

台湾     24人(1)

香港     65人(1)

タイ      35人

フィリピン   3人(1)

ベトナム   16人

シンガポール 81人

マレーシア 22人

インド      3人

アラブ首長国 9人

アメリカ   15人

カナダ    8人 

ドイツ    16人

フランス  12人(1)

イギリス    9人

※コロナウィルス感染 世界マップ
https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/coronavirus-world-map/

これまでの新型コロナウイルスに関するニュース<朝日新聞社>

あくまでも日本国内のニュースソースからまとめたものです。

12月

中国・武漢で原因不明の肺炎(2019年12月31日)

1月

新型コロナウイルスを検出(2020年1月9日)

武漢で初の死者(11日)

新型コロナウイルス、日本でも初の陽性(16日)

武漢で航空便や鉄道の運行を停止(23日)

首相「希望者全員をチャーター機で帰国」(26日)

新型肺炎、指定感染症に閣議決定(28日)

新型肺炎、死者100人超える(28日)

日本人乗せたチャーター機が第1便到着(29日)

千葉のホテルで帰国者を受け入れ(30日)

WHOが「緊急事態」を宣言(31日)

2月

クルーズ船、横浜港に着岸せず再検疫(2月3日)

クルーズ船、10人感染(5日)

武漢で60代の邦人男性死亡(8日)

中国での死者1千人超える(11日)

第1便で帰国の宿泊者、全員陰性 帰宅始まる(12日)

新型コロナ肺炎、国内初の死者(13日)

新型コロナ、和歌山の医師が感染(13日)

政府のチャーター機第5便、羽田に到着(17日)

厚労省、新型肺炎の受診目安を示す(17日)

WHO「8割は軽症、致死率2%」(18日)

クルーズ船で下船開始(19日)

クルーズ船の陽性入院者男女2名が死亡(20日)

(越)

 


 

 

 


■猫ギャラリー ITO JUNKO

 

このコラムの感想を書く



のらり編集部

著者にメールを送る


バックナンバー

■更新予定日:毎週木曜日