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■よりみち〜編集後記

 

更新日2014/03/06


ソチ冬季五輪の閉会式の前日、ウクライナでとんでもないことが起こってしまった。オリンピックで盛り上がっているソチとは1,405Kmしか離れていないキエフで反政府デモが繰り広げられ、騒乱状態に陥り、事態を収拾できないヤヌコビッチ大統領がロシアに逃亡してしまった。ウクライナ議会は、すぐさまヤヌコビッチ大統領の解任決議して、オレクサンドル・トゥルチノフを大統領代行として暫定政府を宣言したのだが、ロシアが黙ってはいない。プーチン大統領は、ウクライナで起きたことは「違法なクーデター」だとして、政変で解任されたヤヌコビッチ前大統領が合法的な指導者であり、クリミア半島やウクライナ東部に多く住むロシア系住民の安全と保護を口実に、クリミアにロシア軍兵士6千人を増派して軍事介入し、ウクライナ暫定政府に揺さぶりをかけている。ロシアとしては、黒海艦隊が駐留しているクリミア半島南部は、ロシアの権益を守る上で死守しなければならない要所であり、そのためには軍事介入も辞さない構えで、さらにクリミア自治共和国は6割以上がロシア系住人が占めており、ウクライナからロシアに帰属する住民投票を実施することを決議しており、さらにウクライナ東部のロシア系住民が多い都市でもその動きが出始めているようだ。

元々がウクライナはロシアの属国であり、ロシアの暴政に振り回されてきた歴史があり、クリミア半島の南部のセバストポリはロシアの黒海艦隊基地として2045年まで駐留が認められている特別市で、ロシアにとっては西側の牽制の意味でも重要な軍事拠点になっているから、ロシア議会も全員一致でクリミアへの軍事介入を支持しているわけだ。EUもアメリカもこのロシアの動きを警戒しており、ウクライナの東部やクリミアがロシアに分割されるような事態となれば、ウクライナを守るために動かざるを得ない状況であり、ほんの数週間前のオリンピックは一体なんだったのかと思えるほど、東西の緊迫状態は最悪の状態となっている。プーチン大統領は、ウクライナの分割やクリミアの統合などは考えていないと、事態の収拾に躍起となっているが、ロシア系住民はウクライナの反ロシア過激派勢力を恐れているのか、すでにロシアへの帰属を求め始めており、プーチン大統領が望むようなウクライナの現状維持の方向では収まりそうもない状況となっている。

過去のロシアからの弾圧の歴史からなのか、ウクライナの人々の反ロシア意識は根強く、EUへの帰属意識が高く、そう簡単にはまとまりそうもないが、それでいてEUやアメリカが全面的にロシアを排除できる関係にはなっていないことも事実で、ロシアの自制とウクライナが暴発しないように説得するしか打開の道はないように思える。ここで戦闘など起こってしまっては、すぐにでも過去の冷戦構造が復活し、西側にも東側にもなんのメリットもない民族紛争がまた火を噴き、第二次クリミア戦争が勃発するだけのことだろう。アメリカのネオコン勢力がまた火を付けたがっているようでとても恐ろしい。イラク戦争のように、アメリカの軍事産業と結託したネオコン議員が武器の在庫一掃のためにオバマ大統領やEUを焚き付けないように祈るしかないようだ。今回のキーマンは、やはりプーチン大統領だろう。ロシアが昔の冷戦時代のソ連とは違うことを、この難局にどのように行動で示すことができるかどうかにかかっているように思える。また、ソチのパラリンピックが無事に平和裏に開催されることを祈るばかりである。 (越)

 

 

 


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