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■よりみち〜編集後記

 

更新日2016/03/17


アメリカの大統領選に向けた共和党および民主党の候補者指名争いが、正に世紀末の様相を呈してきている。泡沫候補と思われてきたニューヨークの不動産王、ドナルド・トランプ(69歳)の支持率が落ちるどころか、うなぎ上りに伸びており、ほとんど首位を独走しているのだ。一方の民主党でも元国務長官で上院議員のヒラリー・クリントン(68歳) が順当に勝ち進むと思われていたが、民主社会主義者の上院議員のバーニー・サンダース(74歳)が若者層の圧倒的な支持を受けて躍進し、中高年層支持のクリントンと若者支持のサンダースと世代間の衝突も起こっていて、これほど先が見えない大統領選挙予備選も珍しいのではないだろうか。特にトランプ旋風が驚異的で、人種差別発言、シリア難民拒否、もう言いたい放題の「毒舌の帝王」状態。これが却って政治家不信に陥った不満を持った市民にバカ受けしているようだ。いつもの予備選であれば、最初は支持率が上がっている候補でも、徐々に絞り込まれるうちに消えていくケースが多く、通常であれば順当な候補者が指名されるのだが、今回ばかりは全く先が読めない状態となっている。

冗談で、もしトランプが大統領になったら、自分はカナダに移住すると言っていた人も、次第に可能性が高まりつつあり、冗談でなく実際にカナダへの移住の問い合わせ件数が激増しているという。まさかトランプがクリントンに負けるはずがないとは思うものの、クリントンも盤石では全くない。数年前からちょこちょこ出ている公務に私的な電子メールアカウントを使っていた問題で、クリントンは5万5,000ページ以上におよぶ電子メールを提出しているが、極めて異例なのは、公職にある間ずっとGmailのような私的なアカウントだけを用いていたことだ。日本の感覚では、どこががそんなに問題なのだろうと思えるのだが、公職にある者が政府のサーバーに記録されないメールアドレスを国務に使っていたことが、不正を隠す目的と思われてもしかたがないというアメリカ的な事情があるようで、この私的メールアドレスの問題が選挙戦での命取りになるのではないかとまで言われている。また、トランプの大統領候補指名についても、共和党として公認できるのかどうかということも問題に上り始めている。確かにいくらトランプが共和党員で、指名争いでトップになったとしても、共和党としてトランプを正式に指名するのなら、共和党から離脱する議員がでてくることが予測されており、これも簡単に指名されることはないようだ。

ただ、今のところトランプの勢いが尋常ではなく、いままでは静観していた共和党上院議員の中で早くもトランプに寝返る議員も少なくないようで、大統領候補として一段と現実味を帯びてきている。もしトランプ大統領が実際に実現した場合を考えてみると、空恐ろしいことしか思いつかない。日本としても、とてつもなく大きな変動が起こるはずだ。安保条約だってどうなるか分かったものではなく、世界各国の米軍基地の縮小や撤退、さらに軍事同盟の破棄だってあり得るだろう。「貿易で中国と日本とメキシコを打ちのめす」と公言しているように、 TPPはもちろん中止され、アメリカの都合だけを考えた押し付け、押し売りをしてくるはずだ。これ以上は考えるだけで恐ろしくなる。トランプ大統領が誕生するのをアメリカ民主主義の威信をかけて阻止してもらいたいものである。今はひたすらそれを祈るばかりである。(越)

 

 

 


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