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■よりみち〜編集後記

 

更新日2012/03/29


東電の福島原発の事故発表に対しては、大震災から1年が経過して、事故発生当時からまともな発表はほとんどしていなかったことが色んな場面で報道されており、東電だけでなく、政府も原子力安全・保安院もすべて暗黙の了解で、当時の危機的な事態をオブラートで包み、本当のことは伝えまいとした事実が分かってきている。結局のところ、暗黙の了解だから、直接指示を出した人間が誰かということが特定できないように操作されているから、誰一人として責任を追及されている人はいないのが現実である。その中で、福島の現場で陣頭指揮を執っていた吉田昌郎所長が、昨年11月28日に突然緊急入院して、所長も退任したことが、さらに疑心暗鬼となる要因となっている。病名もプライバシーなので一切公表せず(その後、食道がんであることを公表した)、放射能被爆によるものではないというコメントだけで、一切事故当時の報告も談話も発表されないまま所長を退任しているのはあまりに不自然で、いろいろ話されては困るから退任させたように思えてしまうのだ。実際に指揮を執った人なのだから、その当時の状況を一番認識していたはずで、もっとその当時の判断がどのようなものだったのか公にすべきだと思える。
そして、今回の発表で東電のとんでも発表の止めを刺すような報道発表があった。
3月26日 NHKニュースより《東京電力福島第一原子力発電所の2号機で内視鏡を使って格納容器の内部を調べる2回目の調査が行われ、容器の底から60センチしか水がたまっていないことが分かりました。東京電力は水温などから、「格納容器に溶け落ちた核燃料は冷やされていると考えている」としています。》
東電は、メルトダウンした核燃料は冷やされており安全な状態としているのだが、毎時8.8トンの水を注入し続けて、底から60センチしか水が溜まっておらず、汚染水の貯蔵タンクも増加はしているものの、ほとんどの汚染水は地底に染み込んでいることは明白であり、福島原発の地下の汚染濃度は半端なものではないことが明らかになった。当然、地下の水源にも達しているだろうから、工業や農業の用水や飲料水までも間違いなく影響を受けることだろう。
この水位の報道が大震災後1年以上経過しているわけで、現場の人間は3メートル以上は水で満たされていると思い込んでいたわけで、科学でもなんでもなく、単なる勘で予測していたに過ぎない。これではいくら原発再稼働のためのストレステストをコンピュータでシミュレーションして実施したと胸を張られても、最後は勘に頼る程度の原発技術では、まったく説得力などないに等しい。再稼働は明らかに原発利権に関わっている人間が動き回っていることは確実で、一番被害を被るのは原発に投資を続けてきた銀行が各方面に圧力をかけたり、原子力村を動かしているのだろう。今回もまた金の力を最大限に使い、原発の再稼動になんとかこぎつけ、いつの間にか原発が動き続けていて、いずれは脱原発の話などなかったことにしようと目論んでいることは明白である。今こそ、科学者の良心を見せる時ではないのだろうか。まあ、良心が残っていればの話なのだが、この良心も金権でメルトダウンしてしまって、地中に消え去っているのかもしれないな……。(越)

 

 

 


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