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■よりみち〜編集後記

 

更新日2010/04/01


地球温暖化の問題というのが世界中で叫ばれだしてかなり久しい。結果が出せない鳩山新政権が唯一リーダーシップ?を世界に示した「温室効果ガスを2020年までに1990年比25%削減を目指す」(言うことは簡単で実現の根拠が希薄ではあるのだが・・・)という目標も、この温暖化対策への日本の姿勢を表明したものだ。アメリカの元副大統領であるアル・ゴア氏も「不都合な真実」で強烈な危機感を世界に訴え、本当に地球は大丈夫なのかと不安を掻き立てた。確かに北極や南極の氷が溶け出しているようだし、各国の氷河は減少傾向にあり、世界的な異常気象もこの温暖化が原因と考えて間違いなさそうだ。二酸化炭素の排出量を減らすしかこの温暖化を止める手立てはないだろうし、家庭でも電気の節約、水の使用量を節約しようというエコロジーの動きが近年活発化してきた。そんななかで、なるほどそういう考えもあるんだなと思えた発言を最近聞いた。解剖学者の養老孟司・東京大学名誉教授の発言だ。養老氏はヒット作『バカの壁』などで有名な学者さんだが、昆虫学者でもあり環境問題にも詳しい人だが、最近、ラジオ番組で、地球温暖化の問題は確かに重大な問題だが、アメリカによる策略が隠されていることを知るべきだと話していた。氏曰く、もし地球温暖化が本当に世界的な緊急事態なのであれば、最大の原因である二酸化炭素の排出量を減らすしかないわけで、国連で石油の生産量をどうして制限しないのだろうかというのだ。本当の危機状態ではなく、単にアメリカの石油生産量にかげりがでてきて、石油を海外から調達せざるを得なくなっており、原油価格が高騰することで、アメリカ経済が大きな打撃を受ける前に、石油供給に関する安全保障を真剣に考え始めているからなのだと言うのだ。確かに養老氏の言うとおり、エコロジーは世界的に取り組むべき重要課題だが、肝心の石油の生産量の制限に関してはあまり聞いたことがないし、国連でもその動きはない。先進国で石油使用量に制限を加えるだけで、二酸化炭素の排出量は簡単に抑えられるはずで、すぐに効果が出ることだろう。
もう一つ養老氏の話でなるほどと思ったのが、欧米の地球温暖化のキャンペーンの目的は、経済的に台頭してきている中国・インドへの牽制だという話だ。欧米にとって、中国やインドの石油使用量が脅威となっているというのだ。確かに目覚しい経済発展を遂げた中国・インドの石油使用量の伸びは著しく、アフリカ諸国などでの中国資本による油田開発や石油会社の買収など、中国の石油確保の動きは顕著で、石油価格にもすでに影響しているようだ。中国・インドへの温暖化対策という名目で牽制することで、石油消費を抑制したいというのが本音であり、これもアメリカの覇権主義の一環だと言うのだ。中国の人口が13億人、インドが11億人(2030年には中国を追い抜いて14億人を超え世界一位になると予測されている)で、世界の総人口68億人の3分の1を占める国が、かつてのバブル経済のような好景気で生活水準を急激に上げてきているわけで、石油の消費量は半端ではない。しかし、アメリカや日本が高度成長経済時代に経験した生活水準の向上を求めるなとどうして言えるだろう。それは先進国のエゴというものだ。誰だってリッチな生活を夢見るわけで、それは当然だろう。養老氏はここで、どうせ石油はあと40年程度しかもたないのだから、石油を使い果たして枯渇状態になればいいのだと言い始めた。石油があるから使うわけで、なくならないと本当の意味で新時代はやってこないという意味の発言をしていた。日本がいくらエコロジー的な努力をしても地球規模の変化は考えられず、それよりもエネルギーに依存した便利な生活からの方向転換することが重要だと言うが、エネルギーに依存しない生活そのものを想像できない自分たちがいるわけで、これは難問だ(養老氏自身、その時にはどうせ自分も生きてないから関係ないと開き直っていて、日本はもともと石油無しで文明を作ってきた歴史がある国だから、それに戻ればいいと簡単に言うのだが…)。
電気自動車元年ともいうべき2010年、12月に発売される日産リーフは実質価格は300万円(補助金制度を見込んだ金額)と、まだまだガソリン車に比べて高額だ。バッテリーをフル充電しても160Kmしか走れないし、フル充電に16時間もかかるという現実があり、石油が本当に枯渇するという危機的な状況にならないと技術は本格的に進化しないのかもしれない。

 

 


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