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■よりみち~編集後記
更新日2019/04/04




あと1ヶ月弱で「平成」という時代が終わりを迎える。4月1日に発表された新元号「令和」については、「平成」に替わった時よりもインパクトがないように思えた。想像もしていなかった「令」の文字に戸惑ったからだ。「令」の意味として、命令、言いつける、勅令、法律、規則、長官、お告げ、戒め、教え、もし、良い、立派、などがあるようだが、どうしても「命令」「勅令」「法律」のように「言いつける」という意味合いにイメージが集中してしまい、「令和」が平和を上から目線で法制化したい安倍晋三という存在にイメージがダブってしまい、素直に良い元号だと評価できない自分がいた。そして、今まで前例がない総理大臣による談話により、新元号制定の意味合いが国民に説明されるというパフォーマンスまで披露されたわけで、その内容の最も強調したい点が、従来の元号制定で慣例となっている中国の故事や文献から抽出した言葉でなく、初めて日本独自の故事から抽出した元号であることだった。日本最古の和歌集とされる『万葉集』の中の一節からとられているようだが、結局のところ、中国の漢文の引用部分であり、純粋な日本文献と言えるかどうか疑問視する学者もいるのだ。さらに、海外メディアが新元号を解説した訳文が官邸を刺激しているようだ。

米紙ウォールストリートジャーナルは、「"rei," which can mean auspicious(縁起が良い) in traditional texts, and "wa" meaning peace(平和).」。米ブルームバーグ通信は、「 "order(秩序)," and "peace(平和)" or "harmony(調和)"」。英ガーディアン紙は、「TV commentators struggled to offer a direct translation」と英訳に難儀していると伝えた。その上で、「"decree(政令)" and "peace."」としている。英BBCは「order(秩序) and harmony(調和)」と訳しており、「令」という言葉の翻訳に困っていることは間違いない。日本人が困っているのだから、外国人がうろたえるのも当然のことだろう。官邸としては「令」の翻訳を「order(秩序)」とすることに決して命令の意ではないことを説明しているようだが、今更遅いようだ。

安倍首相は伝統とされている中国の故事から元号を抽出することをやめて、日本古来の文献から新元号を決めたことをまるで自分の手柄のように自画自賛しているようだが、中国文化からの脱却を目指すならば、新元号を日本独自の平仮名や片仮名にすべきだったのではないだろうか、またもっと近代的に挑戦するならば、新元号を廃止して西暦に統一するべきだったのだ。元号を採用している国は日本以外にすでになく、オリジナルは中国からきた伝統であって、日本独自の制度でもないのだ。なぜ、これほどまでに仲の良くない隣国の古い伝統的慣習を日本だけ守り続ける必要があるのか。今回の「令」の文字の違和感からも、そろそろ真剣に元号廃止を考える時期にきている思える。伝統を守るべきと言うのであれば、元号は宮内庁だけで使う符丁にすればよいだけのことだろう。ただ、今回の新元号でほっとしたのは、「安久」とか「安晋」とかにならなくてつくづく良かったと思う。もし「安」の字が入っていたら、安倍ネツゾウを常に思い出すことになるわけで、それは耐えがたい苦痛となったに違ないのだから…(越)

 

 

 


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