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■よりみち~編集後記

 

更新日2018/05/10



平昌冬季オリンピック以来、北朝鮮のカリアゲ君(金正恩;34歳)に世界が振り回されている。オリンピック前まで長距離ミサイルを何度も発射してアメリカに挑発を繰り返し(2017年だけでも失敗を含め16回打ち上げ)、さらに核実験も2017年9月3日には6回目の最大規模実験を実行し、「大陸間弾道ミサイル(ICBM)装着用の水素爆弾の実験で完全に成功した」と発表している。アメリカはこの発表に対しては懐疑的なコメントしか出してはいないが、大陸間弾道弾がアメリカ本土に到達する可能性が高くなっていることを危険視していて、カリアゲ君とトランプ大統領による罵り合戦まで繰り広げられ、「オレの核のボタンの方がデカイ!」とか言う、まるで冗談のようなチキンレースを発展していた。このままエスカレートして、本気で武力攻撃まであるのではと、米軍基地の本拠地がある日本としてはビビるような情勢になっていたのだ。それがどういうことだろう、五輪開催が近づくにしたがって、急にカリアゲ君が軟化してきたのだ。まず、五輪をボイコットかと思っていたところ、急遽、北朝鮮の参加を表明、さらに専属応援団まで派遣し、開会式には北朝鮮のナンバー2の金永南とカリアゲ君の実妹、金与正(ヨジョン;30歳)が出席して、金一族として初めての訪韓となるなど、南北統一チームを結成したり、応援合戦が話題になるなど、南北の異常な急接近が世界中に報道された。五輪が終われば、また米韓合同軍事訓練が開始され、緊張関係が戻るかと思いきや、さらにない南北交流が進展し、ついにはカリアゲ君の方から南北首脳会談にまで言及してきて、特使が北朝鮮へ、さらに中国への極秘訪問による中朝首脳会談がセットされ、米朝首脳会談への下準備が始まった。そして、あれあれと言う間に2018年4月27日の南北首脳会談が板門店で実現した。北朝鮮の首脳が軍事境界線を超えて韓国側入りしたことは史上初で、カリアゲ君があの境界線を越えた姿は全世界にライブ中継された歴史的なパフォーマンスになった。年内にも南北の平和宣言を発表予定で、1953年の休戦協定以来の終戦を迎える可能性が大きくなった。
この歴史的な出来事がこれほど短期間にまとめ上げられたことに驚くしかない。もちろん、その前提条件として、親北朝鮮派の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が朴槿恵(パク・クネ)元大統領の政治スキャンダルに便乗して登場し、一気に財閥改革、行政改革、入試改革など、不正腐敗を清算する方針で70-80%の支持率を維持し続けており、朝鮮半島の完全な非核化を南北の共同目標として積極的に働きかけたことが大きい。カリアゲ君としては、千載一遇のチャンスがやってきたわけで、さらに金正日の時代からの目標であり、悲願だった核爆弾搭載の大陸弾道弾(ICBM)の開発がちょうど佳境を迎え、核保有国としてのアピールも成功したという自負もあり、渡りに船の申し出で、米朝首脳会談のお膳立てまでやってくれたわけで、カリアゲ君としてはこのチャンスを逃す手はない。いままでは、長距離ミサイルの発射実験という威嚇で、時間稼ぎばかりをしてきていたが、すでに水爆実験の成功、ICBM発射実験の成功、超強力EMP(電磁パルス)攻撃の準備まで完了しており、有事での破壊能力は米ロ中並みに達したという自負があるのだ。
脱北者でカリアゲ君に近い国軍出身者の話では、カリアゲ君のこの急激な軟化はすでに綿密なシナリオが練られていたもので、北朝鮮の生き残り作戦の次のフェーズに入ったことを示すもので、関係者はこの変わり身についてはそれほど驚いていないようなのだ。核実験と長距離ミサイル発射実験をエスカレートさせ、事実上、北朝鮮を核保有国として、アメリカに認知させることで、アメリカに先制攻撃させない戦術だったわけで、次のフェーズでは、その核兵器開発の凍結と核廃棄という条件を使いながら、経済援助や友好関係を構築し、核がなくても、すぐに開発できるノウハウを持っている怒らせたら危険な国というブランドで、アメリカと対等に渡りあえる独裁国として、世界に承認させようとしているのだ。米朝首脳会談を目前に控え、中国やロシアとの友好関係を強化しており、アメリカが脅してきてもすぐ後ろには習近平さんやプーチンさんが黙ってないよという体制づくりもしっかりと固めており、このカリアゲ君はオヤジの正日さんよりも相当切れ者かもしれない。安倍ポチさんなど相手にもしてくれそうもないのが、日本としては心配の種だが、したたかな戦略でゴッソリと美味しいところを持っていきそうな気配がある。安倍ポチさんは体質的に嫌われることは明らかで、同じボンボンだが一緒にされることを嫌うことはミエミエである。安倍ポチさんは早く内閣総辞職して、拉致被害者交渉役も次の首相に交代しないと、おカネばかり要求されるだけだと思います。さあ、トランプさんとの大勝負がどうなるか興味津々である。私の予想としては、カリアゲ君がしっかりとトランプさんを手懐けるように思うのだが、果たしてどうなることだろう。。。(越)

 

<戦後の北朝鮮の動きを略歴にまとめてみました>

1950
北韓共産軍の南侵により朝鮮戦争勃発(6.25戦争)

1953
板門店で休戦協定調印(米・朝・ソの三国.韓国は反対).38度線で分断

1980
北朝鮮,党大会で金正日書記を党ナンバー2に選任

1987
大韓航空機爆破事件(115名全員死亡;ビルマ近海)
北朝鮮工作員、金賢姫(当時25歳)と金勝一(当時59歳)

1990
ソウルで第一回南北首相会談開催

1991
南・北韓,国連同時加入
金正日書記,軍最高司令官に就任

1992
IAEA査察団,北朝鮮の寧辺の核施設を査察

1993
金正日書記を国防委員長に選出

1994
金日成主席死去(82歳)

1997
金正日書記が,朝鮮労働党の総書記に就任

1998
北朝鮮の東部沿岸からミサイル発射.日本上空を越え三陸沖に落下

2000
南北朝鮮分断後初の首脳会談平壌で開催(第1回南北首脳会談)

2002
金正日総書記、日本の小泉総理と平壌で首脳会談
日本人拉致や不審船の行為を認める 拉致被害者一部帰国
北朝鮮,IAEA査察団を国外退去,核施設稼動準備はじめる

2003
北朝鮮が核開発表明、日米中韓などで6ヵ国協議

2005
北朝鮮,核兵器製造・保有を公式に認める

2006
北朝鮮,テポドン2を含むミサイル7発を発射。日本海に着弾
北朝鮮,地下核実験を実施

2007
盧武鉉大統領、平城入り、金正日総書記と南北首脳会談(第2回南北首脳会談)
京義線:開城工団行き南北貨物列車が56年ぶりに定期開通

2009
北朝鮮,ミサイル発射。日本上空を通過し太平洋に落下
北朝鮮、2006年に続いて2回目の地下核実験を実施

2010
軍事訓練中の韓国領延坪島へ北韓軍が砲撃。韓国軍も対応射撃を行う
金正恩が人民軍大将、党中央軍事委員会副委員長に選任される

2011
金正日総書記死去(69歳)
金正恩(28歳)、朝鮮人民軍最高司令官に就任

2012
北朝鮮、人工衛星と称するミサイル打ち上げを実施するが、軌道投入に失敗
金正恩委員長、党・国家・軍の三権を握る最高指導者となる
北朝鮮、長距離ミサイル打ち上げ(2回目)、人工衛星?を軌道投入に成功

2013
北朝鮮が3回目となる地下核実験を成功裏に実施したと発表
金正恩第1書記の叔父の、張成沢・国防委員会副委員長が公開処刑される

2016
北朝鮮の北東部豊渓里で地下核実験実施。「初の水爆実験」と発表
北朝鮮、36年ぶりに第7回朝鮮労働党大会を開催

2017
クアラルンプール国際空港で金正男(長男)が暗殺される
韓国第19代大統領に文在寅(ムン・ジェイン;63歳)が選ばれる

2018
第23回冬季オリンピックが韓国平昌で開催。北朝鮮は韓国と合同チームで参加
金正恩委員長が軍事境界線を歩いて越え、文在寅大統領と南北首脳会談を板門店で開く
(第3回南北首脳会談;2018/04/27)

6月に史上初の米朝首脳会談を予定

 

 

 


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