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■よりみち〜編集後記

 

更新日2010/05/20


ジェイミー・オリバーという若くてユニークで粋なイギリス人シェフをご存じだろうか? 私もたまたまTsutaya Discus(レンタルビデオサイト)で映画を探していて、珍しい料理番組を見つけて知ったばかりなのだが、あの料理では不毛の国の有名シェフ(裸のシェフと呼ばれているようだ)がいることにまず驚いた。彼のTV番組のDVDを試しに1枚レンタルして観てみると、そのユニークな企画の面白さにバッチリとハマッテしまった。最初にはまったシリーズが『ジェイミー's キッチン』(2004年;3本シリーズ)である。ロンドンの有名レストランを経営するジェイミーが、ユニークなTV料理番組で一躍有名になり、TVの企画と自分の新しいレストランのオープン企画を融合して、レストランの場所探しからそこで働くシェフの育成、そしてオープンから1年間のレストランでの奮闘をドキュメントで放映するという長編シリーズ企画だ。レストランのオープンと聞くと、プロの料理人ですでに経営に成功している人なのだから、それほど驚く話ではないのだが、なんとそこで働く料理人をずぶの素人から選出して、レストランができるまでの半年の間にシェフに仕立てるというプロが聞くとあり得ない夢のような話を実現しようという企画なのだ。それもただの素人ではなかった。現在失業中で何らかの問題を抱えた料理未経験の若者にターゲットを絞っているから、さあ大変。なぜこのような企画になったのかは、ジェイミー自身が、子供の頃、ディスレクシア(Dyslexia;失読症、難読症、識字障害、読字障害など)という学習障害を抱えていながら、料理修行で自分の才能を自覚し、成功を勝ち取った体験をしていることにあるようだ。集中力と才能さえあれば、問題を抱えていても一流のシェフになれることを証明して、若者たちに夢を与えたいと思ったのだ。
TV番組でシェフ志望の若者を募り、書類選考で絞込み、3回の面接と味覚テストを行って最終的に15人を選抜して促成料理人養成をスタート。新しいレストランの名称も『FIFTEEN』に決定。そこから、ジェイミーの苦悩とドタバタの大変な毎日が始まった。彼の専門はイタリアン料理。それも食材を厳選した超一流の料理店を目指している。料理評論家がタレント料理人である彼の料理を常に注目し、厳しい評価をメディアに公表するので、新しいレストランの料理がまずければ、彼の料理人としての評価が失墜して、すべてを失いかねないわけで、いつの間にか一世一代の大勝負の企画へと変貌していく。おまけに、新レストランの開店資金はすべて自腹で、内装や設備の費用が当初の計画から雪だるま式に増大し、自宅や個人事務所などすべてを抵当に入れて多額の借金を銀行からすることになってしまった。素人料理人の養成もトラブルばかりで、問題児が足を引っ張り続ける。うつ病で仕事につけなかったり、集中力がなくて定職につけない若者がある日突然料理人に目覚めるはずもないわけで、数人が料理学校から消え、遅刻や無断で休む問題児は更正しない。それでもなんとかジェイミーの熱意で料理人としての自覚が芽生えてきた者も出てきて、内装のトラブルも土壇場で解決してオープン日を迎える。料理評論家の評価も上々で、予約は常に満席状態。順調な滑り出しではあったが…、そしてオープン1年後、15人中ジェイミーの最終テストをクリアできて本物のシェフとして卒業できたのは半数の7人だけだった。この『FIFTEEN』http://www.fifteen.net/ というレストラン企画はその後も懲りずに企画を続けたようで、現在、ロンドンのほかにコーンウォール、そしてメルボルンやアムステルダムの4店舗を展開しており、ジェイミー・オリバーの夢が実現して、定着を始めているようだ。(ジェイミー・オリバー その2につづく・・・;

 

 

 


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