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■よりみち〜編集後記

 

更新日2012/06/14


新聞やテレビなどのマスメディアは、我々一般ピープルの水先案内人的存在であることを何の疑いもなく思っていたし、それが当たり前だと思っていたのだが、3.11の原発事故以来、どうも雲行きが変わってきたように思えるのは、思い過ごしだろうか。最初は、マスメディアも取材が追いつかず、情報の共有ができていないため、原子力安全・保安院や東京電力からの一方的な発表をそのまま鵜呑みで報道してきただけで、踏み込んだ取材ができないために、苦労しているのだろうなと同情すら感じていたわけだが、日本自由報道記者クラブ協会(現在、社団法人自由報道協会;代表:上杉隆)の活動によるネット配信ニュースなどによる報道などから、マスメディアのニュースソースが決して正しいとは思えないことが段々と分ってきて、時間が経過してもその報道に対する訂正や追加報道もなく、単に東電サイドまたは政府の発表をメッセンジャーボーイのように繰り返していることが分ってくると、これは意図的なのかもしくは無能なだけなのかと思えるようになってきた。どうもこの原発問題に関しては、各社、無能を装った傍観主義に徹しようという姿勢が見えてくる。これも原発マネーのなせる業なのかもしれない。脱原発を会社の方針として表面に出してきているのは、唯一「東京新聞」だけなのだ。他社はすべて「観ザル・言わザル・聞かザル」の事なかれ主義に徹するつもりのようだ。
そんな不甲斐ないマスメディアに痺れを切らしたのか、海外メディアが黙っていられなくなったのか、対岸の火事どころではないと焦り出しているのか、「福島第一原発4号機の使用済み核燃料プール」問題を本気で心配し始めているのだ。“4号機の使用済み核燃料プールが地震、津波、竜巻等で崩壊すれば、膨大な放射能が大気中に撒き散らされ、その量は、一説に福島事故の最悪10倍とも言われている”とか、“4号機が事故を起こせば、世界の究極の破局の始まり”とか、“もし4号機の使用済み核燃料プールが倒壊したら、人々は日本を脱出しなければならなくなり、米国やカナダの西海岸でも放射線を避けて屋内退避することになるだろう”など、アメリカの原発専門家のコメントや分析を掲載して、その危険性に日本が反応していないことに危機感を持っている。日本政府も東電側も、すでに使用済み核燃料プールの補強工事は完了しており、震度6までの地震が起こっても倒壊する危険はないと、意外と楽観的な回答なのだが、先日報道陣の取材を許可した4号機の現状を見ると、誰が見てもとても危険としか思えない状況で、あの自信に満ちた回答は“ヤケクソ”としか思えない。補足説明すると、震度6までは大丈夫だから安心してね。次に起こる地震は6以上はあり得ないので、それ以上の地震がきたときは世界の終わりだから、もうあきらめるしかないね、ということなのだろう。とにかく、この4号機の使用済み核燃料の処理が最優先課題であることは間違いなさそうだ。
4号機の問題はどこ吹く風のごとく、関西電力の大飯原子力発電所3、4号機の再稼動問題にすり替えられている感じもしないではないのだが、脱原発どころか、この再稼動は他の原発の再稼動の試金石となってしまいそうな勢いでとても危険な香りがする。大停電の危険を回避するために原発の再稼動が不可欠という、脅迫に近い説得工作のようだから、せめて夏のピークが終わり、停電の危険が回避された時点で、再停止する約束をして、安全対策が完璧に近い状態となるまではフル稼動を認めないという姿勢を崩すべきではないだろう。そして、できるだけ早期に脱原発のスケジュールを政府として宣言する方向に舵を切らなければ、日本はどこの国からも相手にされなくなると強く思える今日この頃である。(越)

 


福島第一原発4号機


黄色の蓋が格納容器
こんな状態の建物に使用済み核燃料が
1565本貯蔵されているとはとても 信じられない

量としてはチェルノブイリ以上の放射性物質が

眠っていると思うと、とても安心などしていられない


『福島4号機燃料プール危機を考える』
2012年5月30日  田中 宇

http://tanakanews.com/120530fukushima.htm

 

 


■猫ギャラリー ITO JUNKO

 

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