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■よりみち〜編集後記

 

更新日2016/07/14



7月10日の参議院選挙は悪夢を見ているような感じがした。口先だけの野党連合では求心力になりえないとは思っていたが、ここまで自公に惨敗するとは考えてもいなかった。何かが決定的にずれているのだが、その何かが見えてこない。唯一の希望は東京選挙区の三宅洋平氏の当選だったが、6番目の得票数50万票の半分の257,036票しか伸びず9番目で落選となった。憲法改正の発議に必要な全体の3分の2の議席までは届かないと思っていたのだが、あっさりとクリアして自民単独でも過半数を越えてしまった。

事前のアンケート(7/9/2016;NHK世論調査)でも憲法改正に賛同する有権者は27%と明らかに安倍政権の憲法改正には懐疑的なはずなのに、自公が完勝した現実は、野党の信頼性の欠如以外にない。いくら安倍ポチ政権の憲法改正の暴走を止めようと声高に叫ぼうが、前政権であった民主党政権時代の経済の停滞や政治的混乱を繰り返されては堪らんと、消去法で自公に票が集まったとしか思えない。自公の選挙戦略も統制が効いており、選挙期間中は一切憲法改正には誰一人触れず、緘口令が布かれていた気配がある。そしてTVによる「アベノミクスをさらに前に進めよう」という、今まで封印してきたアベノミクスの失敗を、まるでなかったごとく、緩やかに経済が回復して上向いている、それを止めていいはずがないという論法に変えて、前政権の民主党時代の混迷政治に戻してはならないと強調したメッセージをCMで流し続けた。批判されている材料を一切隠し、耳障りのよい雇用の上昇や財源の上昇だけを強調して、野党に任せたら経済がだめになるという演出を成功させたようだ。

世界的な右傾化が深刻になっている。その影響は日本でも顕著になってきた。宗教的、民族的、国家的な保護主義がその根底にあり、それが排他的な動きに向かっていくのは当然で、まさに戦前の帝国主義的な考え方に近づいているようでとても恐ろしい。これはアメリカの国力の衰えからくる、世界的な覇権の構図に変化が出てきている証拠だろう。トランプ氏のような典型的な白人至上主義者が次期大統領候補としてアメリカに出現し、あれよあれよと言う間に最有力候補にのし上ってしまう現在のアメリカ自体が、もう世界の秩序維持などに構っていられないほど疲弊していることを示している。

ヒトのココロを政治的に動かすのは、漠然とした不安や恐怖ではないだろうか。311の時の地震や津波、原発事故の不安や恐怖が、脱原発にこぞってシフトしたように、目の前の危機や不安は直接的な行動へと人々を駆り立てる。それが喉元を過ぎた時点で、その恐怖感は薄れてしまい、いつの間にか脱原発という言葉すら発するのに周りの目を気にするほど、ヒトは忘れる動物だと重い知らされる。持続することの難しさを感じる。安倍政権はこの忘れっぽい日本人を徹底的に研究しているとしか思えない。東日本復興計画など、そもそも311や福島第一原発事故までなかったことにして、避難地区の解除を淡々と進めようとしており、もちろん原発も順次再稼動していく目論見だろう。さらに原発事故などなかったように、海外への原発技術の輸出まで推進している始末である。

そして次の恐怖や不安を中国、北朝鮮に絞込み、日本が戦後拠り所としてきた平和憲法を改正して第9条まで改正して、普通に戦争ができる国に変えようとしていることは明白である。その準備はすでに着々と進められており、最近問題になっているメディアの統制もあれよあれよという間に進行していて、もうまともに安倍政権をメディアで批判することはできなくなってきている。さらに進めば、秘密保護法によりいわゆるレッドパージ(赤狩り)的な摘発で、メディアからの締め出しや言論統制にまで最終的には行き着くだろう。

今日、7月14日、東京都知事選挙が告示され、自公が前岩手県知事の増田寛也氏、自民の推薦を断り?崖から飛び降りた元防衛大臣の小池百合子女史、そして最終的には元日本弁護士連合会会長の宇都宮健児氏の出馬辞退で野党連合となったジャーナリストの鳥越俊太郎氏の三人が有力候補となっているが、フリージャーナリストの上杉隆氏の出馬も忘れないで欲しい。 誰が一番都知事の仕事を理解しているかといえば、間違いなく上杉隆氏だろう。 鳩山邦夫元公設秘書時代には、石原慎太郎氏と都知事選を闘った鳩山邦夫氏の選挙参謀を務め都議会を研究し尽くしており、さらに次回の東京オリンピック運営費について徹底的な調査を行って書籍『悪いのは誰だ! 新国立競技場」(扶桑社新書)』も上梓している。福島原発事故の真相究明にも積極的に関わり、安倍政権の危険性も再三指摘している今最も説得力のある言葉を持つフリージャーナリストであり、都知事として実践力のあるのはこの上杉隆氏だろう。

ただ、残念なのはフリージャーナリストとして、メディア批判を繰り返し、公益社団法人自由報道協会を創設した関係なのだろうが、すべてのメディアから無視され、出馬のニュースもネット以外では取り上げられていないことである。孤立無援の状態にも関わらず、「もう党利党略はうんざり」だと言って、党派には敢えてこだわらず独自の未来型の選挙戦を闘うことを宣言している。東京都に上杉ムーブメントが巻き起こるとどんなに政治が面白くなるだろう。夢であることは上杉氏も充分承知の上だろうが、ネットの力がどれだけのものかということを証明するチャンスでもあり、大いに期待したい。(越)

 

 

 


■猫ギャラリー ITO JUNKO

 

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