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■よりみち〜編集後記

 

更新日2012/08/09


連日連夜のオリンピック鑑賞で寝不足の毎日である。それも最初はそれほど応援する気もなかった試合が、意外にも日本人が粘って勝ち進んだりすると、ついつい応援したくなるものだ。まあ、最後は結局チカラ及ばずという日本人のいつものパターンになりがちだが、今回のオリンピックは日本人の「粘り強さ」や、最後まであきらめない「不屈の精神」がまだまだ残っていることを再認識できた試合が多かったように思える。また一方で、ミスジャッジへの抗議により、ビデオ画像による再判定で結果が逆転するケースが多かったり、人的な判定をビデオ画像解析で最終判断することが定番化したことによる判定騒動が日常化したことも今回の五輪の特徴だった。実際に、フェンシングなどは、素人ではほとんど勝敗が分からないくらい高速な剣さばきの試合で、ビデオのスロー再生でないと見えないほどスピードがある。その昔、ビデオ判定などしていなかった時代は、主審がすべて判定して、絶対的な権限を持っていたわけで、それなりに判定ミスも多かったとは思うが、この度のように、一回一回ビデオによる再判定を要求され、それによって結果が変わっていく試合はありえなかっただろう。どっちがいいかと言えば、フェアな判断がされるビデオ判定がよいように思えるのだが、それだと審判は進行係的な存在になってしまい、さらに進めば、すべてコンピュータが解析して勝敗を判断するというスポーツのハイテク化が待っているだろう。コンピュータが審判をするスポーツとなるとちょっと怖い。

今回のロンドン五輪で、特に気になったのが柔道だった。五輪で初めて男子柔道に金メダルがなかったという不名誉な大会になったからというだけでなく、ルールや判定に本来の柔道のあるべき姿が希薄になっていることに危機感を感じたのだ。以前、レスリングのような足取りが流行して、かなりポイント重視の傾向が強くなっていたが、今回の五輪では新ルールを取り入れて、柔道らしい試合になるように若干改善されてはいるのだが、柔道ファンにはまだまだ不満だ。組手争いが重要な戦術に繋がり、勝負の決め手になることは分かるのだが、その組手争いがすなわちJUDOという国際スポーツとなっている感が強く。特にヨーロッパでの受け取られ方は「着物を着たレスリング」で、ワザ自体がレスリングに近いように思える。きれいな一本技が生まれにくく、技の掛け逃げなどで「指導」ポイントを増やす戦法が多くなる。最後は、審判員3名による旗判定になるのだが、実力ではなく、どれだけ動き回り技をかけていたかという、ボクシングの判定のようなポイント制で、これも観る者にとっては消化不良を起こす原因となっている。観ている観客が納得できないことを、やっている本人たちが納得できているはずがない。このままの国際ルールでは、JUDOはどんどんダメになることは明らかだ。極論を言えば、そんなポイント重視の分かりにくい、つまらない国際柔道連盟から日本が脱退するくらいのパフォーマンスをやるべきではないのだろうか。柔道発祥国の日本が、国際柔道連盟のルールに対してダメ出しをして、柔道の面白さや醍醐味を再認識させるべきではないかと思えるのだ。柔道本来の武道精神への回帰(「心技体の修練」「礼に始まり礼に終わる」「残心」など)、ポイント制から一本技重視のルール改正、組手争いの禁止(組手を互いに嫌い合って試合になりにくい場合は、審判の指示で組み合ってから試合を開始するなどの新ルールを採用するなど)、場外ルールの改正(場外の概念をなくし、審判が続行困難の判断で中央に戻す)など、もっと柔道をやって楽しく、観て面白いスポーツにできないものかと思える。柔道の一本技を見ると本当に気持ちがいい。観ている人が気持ちがいいのだから、やっている本人はその何十倍も気持ちがよいはずだ。この一本技のスポーツ・柔道をもう一度復活させてほしいものである。(越)

 

 


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