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■よりみち~編集後記
更新日2019/08/29




日韓関係が悪化していて戦後最悪になっている。2017年に誕生した文在寅(ムン・ジェイン)政権発足以来、「アメリカとは同盟であるが、日本は同盟でない」とトランプ大統領と安倍首相の面前で発言しているように、日本とは対立的な立場にあり、当然のように慰安婦問題が再度浮上し、嫌日・嫌韓の応酬合戦が始まったのだが、日本統治時代の朝鮮人徴用工の賠償請求の問題に関して、国家間の請求権問題は日韓請求権協定で解決しているが、個人請求権は存在すると韓国最高裁の判断し、韓国大法院が日本企業に賠償を命ずる判決を下したあたりから、日韓政界の見解の相違が顕著となり、日本側はあくまでも日韓請求権協定で個人も含めて戦後賠償は終了したことを確認済みで、韓国政府がそれを履行していないと攻撃、一方の韓国側は国家間の請求問題は解決済みだが個人請求権に関しては韓国の司法が認めており、政府は関与しないの一点張りで対話にもならない状態となって、ついに日本側は輸出規制において優遇措置対象国のホワイト国から韓国を除外することを発表(この措置は徴用工問題とは無関係と官邸は説明するが、どう見ても報復措置としか思えない)、韓国側も日韓初の防衛協力協定GSOMIA(軍事情報包括保護協定)を報復措置として破棄することを突如公表し、両国の同盟関係にあるアメリカもなす術がない最悪の状態になってしまった。

どうして隣国同士でこんなに仲が悪いのか不思議だったのだが、元駐日韓国大使の申ガク秀氏のインタビュー記事『「こじれた日韓 韓国の論理」元駐日韓国大使が語る』(2019.08.29;毎日新聞)を読んでなるほどと感じた<以下、記事より抜粋>。
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関係悪化の原因として、韓国と日本の間で「法と正義」の観念が違うことが挙げられる。日本は法に対してはまずは守るべきだという認識が強いのに対して、韓国では正義に反する法は守っていなくてもいいという考え方があり、そこにカルチャーギャップがある。
2015年12月の「慰安婦合意」に関する解釈の違い、元徴用工への損害賠償の支払いを日本企業に命じた昨年10月末の韓国大法院判決に対する両国の反応は、両国の認識の違いを端的に表すものだ。
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だからこそ外交的な解決、すなわち妥協が大事なのだ。具体的には、(1)請求権資金(65年の韓日請求権協定で韓国政府が日本から受け取った、強制徴用の被害者遺族へ支給されるはずだった資金)を使ったポスコ(POSCO、旧・浦項製鉄)や韓国道路公社などの民間・公企業、(2)被告の日本の企業、(3)韓国政府--の三者で資金を出し合って原告にそれを補償する方法が望ましい。
日本側は、慰安婦財団が解散してしまい「基金」に良い印象を持っていないから、基金とはあえて言わないでも、資金を出す方法がよい。
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日本は「法」、韓国は「正義」の方が優先するのだと言う。日本人にとって、韓国人の法律を無視しても正義を最重要事項とする考え方は、単なる感情論であり理解不能である。何のための法律なのか、感情的な「正義」に拘っていては何も解決しないと日本人は考える。だから国際裁判に持ち込んで判断してもらおうと提案するのだが、韓国側は法律的にクリアされていても正義から外れた日本の行いに対して、真摯な謝罪と賠償が終わっていないことを認めない限り問題解決しないという立場であり、たぶん国際裁判の判決が日本政府の勝訴となっても、個人請求権は有効だとして対象企業への請求運動を止めないだろう。彼らは正義が負けることなどあり得ないと思っているからだ。申ガク秀氏は、現在の韓日関係について「多重複雑骨折」状態と呼んでいるそうだ。確かに、手術しないと立ち上がることもできない状態であることは間違いない。

両国ともに全くプラスにならないチキンレースだと理解していながら、政治環境として敗北のダメージは双方の政権崩壊に繋がるため、一歩も引けない最悪の状況に陥っていることは間違いない。互いに同時に一歩ずつ譲歩することで、解決方法を探り合うしかないのだ。両国の「法と正義」をより近づける努力をするべきであり、日本側は韓国人が戦後の清算が法律的には完了していても、侵略戦争行為についての感情的な遺産があることを真摯に受け止め、韓国側はこれまでの日本政府が行ってきた支援や援助の再認識、そして歪められた情報が多い慰安婦・徴用工問題の歴史的な事実の再検証を行い、本当の意味での未来志向の日韓関係構築を相互に目指すべきである。このままの状態が続くことは、北朝鮮の金正恩委員長の思うツボにはまり、日韓関係の悪化を利用した揺さぶりをかけてくることは間違いなく、さらに中国やロシアにとっても大歓迎の対岸の火事となり、潰し合いを始めることを望み始めるはずである。百害あって一利なし。早急なる相互譲歩が望まれる。(越)

 

 

 

 

 


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