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■よりみち~編集後記

 

更新日2012/09/20


オリンピックで日本の活躍を楽しんだ後に待っていたのは、いきなりの領土問題でした。あまりにもタイムリーで、オリンピックで愛国心が燃え上がったためでしょうか? 韓国では「独島」と呼ばれる日本の「竹島」に、韓国の李明博大統領が突然、現職大統領としては初めて訪問し、天皇への侮辱発言も含め、韓国の領土であることを強調しました。また一方、中国が領土を主張する「釣魚島」(日本の尖閣諸島「魚釣島」)の問題では、8月15日に中国領有権を主張する香港の民間団体「保釣行動委員会」のメンバーら5人が魚釣島に上陸して逮捕されたが、17日には強制送還された。東京都の石原慎太郎知事がこの中国の活動家の強制送還を政府の弱腰外交として批判し、国が尖閣諸島の国有化に動かないのなら、東京都として尖閣諸島を購入する計画をワシントンで記者発表してしまった。寄付金も14億7,000万円も集まって、実際に地主との交渉まで進んだところで、あわてて国有化が閣議決定され、9月11日、日本政府が20億5,000万円で購入し、国有化が完了。それに対する反発が中国国内で起こり、中国各地では抗議活動や反日デモが発生し、日本人への暴行が相次ぎ、一部のデモ参加者は暴徒化し日系関連の商店や工場を破壊・略奪・放火するまでにエスカレートした。中国政府の言い分としては、日本が一方的に「国有化」宣言などを行って中国を怒らせたというのだが、最初の動きは明らかに中国側の尖閣諸島への上陸活動で、中国国旗まで掲げようとしたことにあり、石原都知事がその挑発行為に対しての対抗措置として、東京都として島を購入し、港湾施設を整備するという動きが出てきたわけで、どちらが先かと言えば、竹島も尖閣諸島も日本は後手なのだ。

この領土問題はどう考えても政治的なパフォーマンスにしか思えない。竹島は韓国の李明博大統領の韓国国内の政治状況の悪化による目くらましもしくはイメージアップ戦略の一環で急遽用意された感じがするし、一方の尖閣諸島の問題も、中国国内の政治状況の悪化の目くらまし戦略のようにも思えるのだ。中国は今年の秋に、中国共産党の5年に一度の党大会があり、中国共産党中央政治局常務委員会の9名(チャイナ9と呼ばれる13億人を束ねる役員)のうち7名が定年の70歳を迎え、胡錦濤氏も温家宝氏も退場するわけで、次期主席に内定している習近平氏が新体制をつくることになるのだが、9名中7名が変わるという政治の混乱が心配されており、胡錦濤率いる中国共産主義青年団と江沢民率いる上海閥との派閥争いが繰り広げられており、これらの派閥が「反日カード」を利用して、政治への関心を日本に向かわせようとしている可能性がある。本当の目的は反日ではなく、中国の民主化を遅らせることであり、そのダシに日本が使われていると分析している人も多い。よく言われている民衆の不満の「ガス抜き」のために反日デモが容認されているということだ。ただ、それがエスカレートしすぎると、反日デモが共産党批判デモに変化することも重々承知しているわけで、すでに北京での反日デモに政府から規制が入ったように、かなり共産党への政治批判になることを恐れていることも確かなようだ。いずれにしても、この政治不安は中国共産党の独占体制が変わらない限り続くだろうし、貧富の差はますます加速するわけで、反日デモという形のガス抜き戦略は今後も繰り返されるのだろう。日本はこの動きを見越して冷静に対応するべきで、そして、中国から東南アジアへの速やかなシフトを目指すべきだろう。(越)

 

 


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