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■よりみち〜編集後記

 

更新日2011/09/22


最近の欧米諸国では、「日本化」することを極度に恐れているようだ。これは、日本という国が失敗のお手本になっているということでもあり、実に悲しい現実でもある。その昔、日本は欧米諸国から経済発展の面ではお手本の国だったはずだ。一億総中流とか言われ、生活水準が均一化していて貧富の差が少ない理想の国とされていた時代があったような気もするのだが、今では「日本化」することが一番恐れられているという皮肉な話である。

オバマ米大統領とメルケル独首相の風刺画が表紙を飾った英誌『エコノミスト』
http://www.yomiuri.co.jp/zoom/20110816-OYT9I00457.htm

米誌『タイム』も、日本は過去の成功にとらわれ、今日できることを明日に延ばしてきたため、長いデフレに陥ったと指摘しており、長いデフレで経済が活力を失い、政治家は痛みの伴う決断を先送りして、問題を深刻にしている日本の現状を「日本化」と呼んでいる。japanification(ジャパニフィケーション)という造語も一般化しており、「消費者が消費を拒み、企業が投資を控え、銀行が現金を抱え込んで、日本と同じデフレのわなに陥ること」を意味しているという。

その一方で、まだまだ冷静に日本の現実を分析して、日本は欧米諸国よりもまだましだとする少数意見もあるようだ。

「アメリカのメディアは日本の衰退を書き立てているが、日本の失業率はまだ低い。インフラもしっかりしている。政府の債務が莫大といっても、大半は日本の国民から借りたもの。外国に多額の借金をしているアメリカとは違う」

大阪在住のアメリカ人は「確かに日本の給料はそれほど高くないが、貯金はできている。アパートは狭いが、快適で近代的だし、街も安全だ。日本は経済的にどうしようもない国といった論調ばかりだが、これほどの生活の質を実現している国はあるだろうか」

米ブルームバーグ通信は、“「日本化」は思われているほど悪いものとは限らない”というタイトルの記事で「欧米諸国は、たとえ日本のようになりたいと思ってもなれないだろう。・・・日本の不況は恒常化したが、犯罪もホームレスも増えていない。ロンドンのように暴動も起きない。大震災後も日本はどうにかこうにかやっている」

まだこれでも日本の方がましだと言われると、そんなに欧米先進国の実情もひどいものなのかと驚いてしまうのだが、どこの国も似たような解決困難な問題をいくつも抱えていることだけは実感として伝わってくる。まあ自虐的に考えると、日本も欧米諸国並みにひどい国になってきたということで、これで本当に欧米先進国の仲間入りができたのではないだろうか。(

 

 

 


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