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■よりみち〜編集後記

 

更新日2010/09/23


今まで自分はナショナリスト(国粋主義者)だと一度も思ったこともないし、ナショナリズムは危険な考え方で、これだけ地球が狭く外国が近く感じるようになった現代にはマッチしない思想なのだと思っていたのだが、今回の尖閣諸島沖での中国船と海上保安部の巡視船が衝突した事件(9月7日のことだったんだね。ずいぶん時間が経った感じがする)の顛末で、自分もナショナリストなのかなと感じて正直驚いてしまった。日本の国益を考えている自分を発見した訳で、自問自答してみるが、どうも中国の強力なナショナリズムに対する反撥と恐怖なのだと思える。中国人船長が処分保留のまま釈放されるというメールニュースを読んで、まさか何のお咎めなしで釈放するはずがないと思い、あわてていろんなニュースサイトで確認したのだが、結局、何もなかったことにして中国と握手をしそうな雲行きだ。あれだけ民主党政府の閣僚が、口を揃えて粛々と国内法に則り取調べを行い日本の法律で裁くことを強調していたのだから、いくら中国政府が即時開放を求めて、プレッシャーをかけ、人質まで取ってきても、それには動じずに、領土問題ということではなく、あくまでも公務執行妨害と故意に巡視船への体当たり行為に対して国内法で裁く方向なのだとばかり思っていたのだが、いきなり日中関係の悪化を考慮して船長開放を決断したという発表には、ナショナリストと思っていない私でも憤りを感じた。これは単に中国政府の理不尽な脅迫に屈したということで、これからの日中関係においてとてつもなく大きな汚点となり、日本の弱腰外交を世界中に喧伝し、今後の様々な国際交渉にも多大な影響を及ぼすことが懸念される。
今回の中国漁船の行動は明らかに中国政府の意図的な作戦であることは以前から言われていたわけで、中国政府はプレッシャーをかけて民主党政府への対応を探ってきていた経緯があり、尖閣諸島の領土問題だけでなく、日本に中国という踏絵を見せてどう反応し、アメリカとの関係はどのように反応するか試していたことは間違いないだろう。通貨問題による中米関係の悪化が懸念されている中で、日本がどのように立ち廻り、中国に対してどのようなアプローチをしてくるのか注視していたに違いないのだが、民主党政府はあり得ない最悪の決断を下してしまったようだ。この決断は中国政府にとっては尖閣諸島の領土問題に対して、日本が中国の主張を呑んだと解釈しているだろうし、今後、何らかの中国人のトラブルが日本国内で発生したとしても、即時開放を要求して、中国でデモを扇動し、日本人の人質をとれば日本政府はすべて受け入れるという判例を獲得したことになり、日本は脅せばなんでも受け入れる弱腰政府だという認識で一致したはずだ。まさに中国政府の高官たちの高笑いが聞こえてきそうである。民主党の無為無策ぶりが世界中に知れ渡ってしまったわけで、今月再選された管内閣は早くも大苦境に陥ってしまいそうだ。こんなことになるのだったら、船長など逮捕せずに、今回の巡視船への体当たり行為をビデオで飽きるほど放映して中国政府に遺憾表明させた方がよほど効果があっただろうし、なんでビデオを最後まで公開しなかったのか不思議でしょうがない。それともこれも例の改ざんされたビデオなのでしょうか?

 

 

 


■猫ギャラリー ITO JUNKO

 

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