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■よりみち〜編集後記

 

更新日2010/10/07


尖閣諸島での中国船の公務執行妨害事件(09/07/2010)から早くも1ヵ月が経過したことになる。日本政府の対応にハラハラしたりイライラしたりと大変なことになった事件だが、どうも政府間の流れとしては「穏便に」「互いに不利益とならないように」ということで考えは一致しているようで、日本としては正常化に期待したいところである。それにしても、日本の外交というものがド素人であることを今回の事件で思い知らされた。全く中国とのパイプや相談役などいないのだ。まさかと思っていたがどうも本当のようである。ある中国在住のジャーナリストが今回の事件の中国人としての反応について分析しているのだが、日本政府はあまりにも中国という国のやり方を理解しておらず、中国の政治情勢などにも疎すぎると批判的だ。今回の事件の根底には中国の軍部の台頭があって、中国政府と軍部間での権力闘争があって、それに日本がかなり巻き込まれた可能性もあるようだ。中国政府としては経済交流的にも日本との関係をより発展させることを望んでいるのだが、軍部の力は無視できず、世界規模の軍事力を目指す軍部の意見も尊重しなければならないという立場で、結局のところ、弱腰にだけは間違っても見られてはならないという中国のメンツが先行しているようなのだ。そこにまるで世の中の仕組みも分かっていない日本政府が突如過剰反応したわけだ。日本風に考えると、すべては中国船の船長を拘束していることが問題なのだから、即時無条件解放しますから、なかったことにしてくれという論法なのだろうが、中国政府の説明では、日本人4人の会社員の拘束やレアメタルの輸入制限、税関の厳重チェックなどは中国船事件とは関係がないと発表している以上、何の連絡も交渉もないまま、船長が中国に戻ったからすべて元に戻すということは勝手にできることではないようだ。当然中国としては、なんらかの交渉や駆け引きが外交筋を通じてでてくると思っていたのが、いきなり船長が戻されて、どのように対処すべきか中国も困っているのが実情なのだという。
中国という国は日本以上に本音と建前で動き、メンツを重んじる国なのだということをもっと知るべきであり、根回ししながら(これはかつて日本のお家芸ではなかったのか)太いパイプを作り上げ、中国の本音を探りながら建前を尊重してメンツを保つような粘り腰外交が必要なのだろう。これはアメリカなど欧米諸国にはできないことだが、同じアジア民族、太いパイプさえあれば、日本人にとってはそれほど難しいことではないはずだと思えるのだが、今の内閣ではえらくハードルが高そうだ。日本が強硬に出れば、それ以上に強攻策を打ち出さざるを得ない中国の国内事情があるわけで、のらりくらりと曖昧ながらもしっかりと主張しながら中国の軍部をできるだけ刺激しない方法でやり過ごすのが得策なのだろう。国際法廷に持ち込んで日本の主張を認めさせることは、軍部を刺激するだけのことで到底困難だろうし、ましてや尖閣諸島に自衛隊を常駐させるなど、墓穴を掘るだけのことになり兼ねないことで、双方が暗黙の了解で自粛しながら特別地域に指定して監視し続けるしか今のところうまくやる方法はないように思える。中国としても日本と戦争状態になることなど全く望んでいないわけで、日本が弱腰になって根負けしてくるのを期待しているのだから、アメリカとの関係性をちらつかせながらやりたい放題は絶対にさせないという強いメッセージだけは発信し続け、中国の軍部を暴走させないように牽制しながら、うまく立ち回るしかないのだと思える。相手は中国という社会主義国家であり、システム的には資本主義の形式を真似てはいるものの一党独裁国家に変わりはなく、昔から北朝鮮と親戚関係の国だということを肝に銘じるべきだろう。

 

 

 


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