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■よりみち〜編集後記

 

更新日2011/12/01


1年があっという間に過ぎていくことは今更ながらのことだが、今年は猛烈にそれが早く感じる。なんと言っても3・11の大震災の年であり、チェルノブイリをはるかに超える福島原発事故の年なのだから当然かもしれない。あれだけショックを受け、第二の敗戦とも形容され、叩きのめされた日本だったのだが、あれから9ヶ月近くが過ぎてしまうと、その大震災すら過去となり、このような原発事故が二度とあってはならないと誰もが思い、地震大国日本に原発は危険すぎると認識したはずだったのだが、たった9ヶ月の間に、そのトーンはいつの間にか落ちてきている。日本人全員が、物忘れがひどいボケ老人のようだ。喉元を過ぎただけで、すでに3・11以降のあの恐怖、戦慄、絶望感、虚無感の体験すら忘れようとしている。毎日TVに映し出される福島原発のあの不鮮明な映像を眺め、繰り返される東北の海岸を襲う黒い津波の映像を観ながら、これで日本はしばらく立ち上がれないと感じていた震災後の日々。実際、その被害の大きさは甚大で、まだ復興に向けての青写真すらなく、方針も計画も予算もすべて遅れに遅れているにもかかわらず、震災地と原発避難地域以外では、大震災はすでに過去になりつつある。
この忘れやすい日本人の体質は、刷り込まれているのではないだろうか。ひょっとすると我々は洗脳されているのではないかと恐怖すら覚える。日本のマスメディアの策略なのではないのかと疑ってしまう。特に今回の原発事故の報道などは顕著で、日本にジャーナリズムは存在するのかと思えるほど、ほとんど検証の取材すらしていない。通信社と新聞社の違いは、通信社の速報を元に新聞社が独自の視点で取材し、解説をするから新聞社やTV局が信頼され、評価されているはずだが、すべて東京電力の発表、原子力保安院の発表をそのまま流すだけで、発表の検証すらせず、さらに問題の発表があったにもかかわらず追及すらしていないのだ。被爆者の拡大を未然に防ぐどころか、マスコミが被害の拡大に手を貸した形となってしまったケースも出てきている。今も実施されている20Kmの避難区域など、被爆線量マップを見れば爆発があった日の風向きが問題で、半径20キロなど全くナンセンスだったことが明白となっているにもかかわらず、今でもその修正すらされておらず、米や野菜や魚の放射線量の問題など、すべて後手後手の対応となっており、それについてのマスコミの追及も甘いとしかいえない。今我々が求めているのは、通信社ではなく、我々の目と脚となり、本当のことを知らせてくれるジャーナリストなのだ・・・。
海外の学者が、どうしてこれだけ大きな問題を抱える東京電力を政府が守っているのか理解できない、普通なら国の責任で国有化して、事故の保障や対応を急ぐはずだと言っているというのだが、つぶせない何か訳があるように思える。それも原子力に関連する政治の利権問題に関わるタブーがありそうだ。そうとでも考えないと納得できないことばかりだ。原子力推進の動きがこの事故ですっかり止まるだろうと予想していたが、まるで事故など問題にもならないというように、アジアへの売り込みは継続する考えに変わりはなく、ホトボリが冷めたら、また原発推進を徐々にやっていこうという考えがミエミエの状態だ。今度はもっとうまくやろうぐらいの考えなのだ。それほど金権と密接に結合しているからマスコミも黙るしかないのかもしれない。まあ、マスコミのトップの一人が、超ワンマンで今世間を騒がせている読売の渡辺オーナーなのだから、まともなジャーナリズムを望む方が悪いのかもしれない。ただ、ソーシャル・ネットワークを日本のマスコミもそろそろ学んでおいた方がよいと思える。いずれ新聞やTV中心の報道時代の終わりがくるかもしれないからだ……。

 

 

 


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