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■よりみち~編集後記

 

更新日2012/12/14


日本の政治の危機が迫っている感じがして仕方がない。自民党の50年の歴史がやっと幕を下ろし、新しい政権が誕生して、これからまともな政治のステップが始まると誰もが信じていたはずだ。それが、宇宙人やらダメ菅やらが足踏みばかりで前に進めることができず、あれだけ官僚主義の解体だとか政治主導だとか言っておきながら、能書きばかりが先行して、結局のところ、政治主導どころか、霞ヶ関の官僚たちの餌食にされ、自民党の時代よりもさらに後退して、自らのマニュフェストをすべて白紙撤回し、アメリカのCIAかなにか知らないが、彼らのご機嫌取りの財務省の官僚に洗脳された野田どじょう総理が、消費税増税一点張りで、このデフレの最悪の時期を無視した増税を強硬突破してしまい、民主党政権の過半数割れまで自らの首を絞め、最後はプッツン解散宣言という具合に、この民主党の政権交代は全くいいことなしのまま一気に奈落の底へ自ら飛び込んでいくような情けない結果となってしまった。新政権樹立当時、あの明るい未来の日本への期待感に溢れ、自民党よりは少しはまともな政治に修正してくれるだろう、50年振りの政権交代で、すぐにはうまくはいかないだろうが、着実に前進してくれるだろうと、かなり長い眼で見守っていたはずなのだが、蓋をあけてみれば、内部分裂が始まり、官僚たちの逆襲が始まり、おまけに何も決められないし、決断もできないという自滅状態で、自民党時代の方がまだましだったと思えるほどになってしまった。
そして衆院議員選挙である。民主党が分裂を重ね、自民党も解体が始まり、12もの政党が登場するという異様な政治状況の中、一体誰を選べばよいものか、途方にくれる人が多い。マスコミは第三極の登場とか言って囃し立てるものの、内情は選挙のための野合集団で、自分の当選のことしか考えていない議員ばかりで、選挙ウケする政党を目指して結党しているわけで、選挙後の再編成がすでにウワサされていて、国民が何を望んでいるか、福島の復興や原発問題の解決などは選挙用のリップサービスだけなのだ。
太陽の党の暴走老人を自称する石原元都知事が出てきたあたりから、まったく選挙が見えなくなってしまったことは確かだ。あれだけ霞ヶ関に風穴を開けてくれるかもしれないと期待された大阪維新の会が、日本維新の会を結党したあたりから石原さんの動きが始まり、人気に陰りが出始め急速に失速したのも太陽の党の合流からだろう。80歳の暴走老人に丸め込まれ、あれだけブレないはずの橋下さんが原発推進派に鞍替えしたことで、この日本維新の会の堕落がすでに始まっているわけで、たぶん選挙後に分裂して太陽の党や立ち上がれ日本とは袂を分かつだろうが、日本未来の党の嘉田さんと脱原発で共闘し続けてさえいれば、日本維新の会は本当の意味で第三極になりえたのではないかと思える。結局、小沢さんと亀井さんがタッグを組んで、立ち上がれ日本(どうしても立ち枯れ日本と思えるのだが…)が日本未来の党に合流した時点で、今回の選挙の勝負が決まったと言えるだろう。
どこにも票を入れることができなければ、昔のよき時代に政権を担当していた経験だけは豊富な自民党にやらせてみるかと、白紙よりはましだという選択肢になってしまうのではないだろうか。これだけ小政党に分裂してしまうと、圧倒的に自民党が有利になる、せっかく政権交代をしたのに、もう昔の政治に戻してしまうのはあまりに悲しすぎる。せめて、反自民、反民主、反維新で、脱原発を優先課題にしている政党を選ぶことで、自民党政権復活に抵抗するしかないだろう。共産党がもし「共産」という政党名を変更していたら、唯一ブレない政党として脚光を浴びたはずで、そろそろ党名変更を本気で考えるべきではないだろうか。いま政党をチェックていくと、やはり一番まともなことを言っているのは共産党なのだが、どうも共産主義という言葉がトラウマのようにしみ込んでいるので、素直に共産党に投票するのは抵抗がある。果たして誰を選べばよいのだろう。困ったものだ。(越)

 

 

 


■猫ギャラリー ITO JUNKO

 

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