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第四十三回
風姿花伝 その六
花修云(かしゅうにいわく) その二の二
また、能の音曲を書くにあたって、工夫すべきところは、音曲から働きを生じさせるために、本には風情を書き込むべきである。そうして風情を本に書き込んであれば、それを謡う際に、自ずと風情がでてくる。したがって、そうすべきところでは、何よりも表われて欲しい風情をまず考えて、しかも、それを謡う際の節に気をつけ、謡った時に調子が良くなるように心がけるべきである。また、即興の能の場合は、まず音曲が大事であって、そう心がけて、興に乗った際に、謡うも風情、舞うも音曲となれば、万曲一心の境地の、達者な演者であると言って良いが、それはまた同時に、音曲の作者の手柄でもある。
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