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■現代語訳『風姿花伝』
  ~世阿弥の『風姿花伝』を表現哲学詩人谷口江里也が現代語に翻訳
更新日2010/04/15



第十二回
風姿花伝 その二
物學(ものまね)のいろいろ
直面(ひためん)


 これもまた大事である。そもそも直面(ひためん)は俗人のまねであるわけだから、簡単だと思うかもしれないが、しかし不思議なことに、能の位が上がらなければ、直面(ひためん)というものは見られたものではない。

 もちろん俗人といってもいろいろあるので、演目ごとの対象についてよく学ぶほかはない。顔色や顔の表情などの面色(めんしょく)を似せなくてはいけないのはもちろんだけれども、直面(ひためん)では、普段の素顔の顔とは違う、顔の気色(けしき)をつくり出す必要があり、そうしなければ見られたものではない。

 先ず第一に、振舞とか、風情などをその者に似せる必要があり、それに加えて顔の気色などを、いかにもいかにもそれらしく、自分なりのやり方で、わざとらしくなく、自然に自分の身についたもののようにしなければならない。

 

 

 

 

 

 

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谷口 江里也
(たにぐち・えりや)
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詩人、ヴィジョンアーキテクト。言葉、視覚芸術、建築、音楽の、四つ の表現空間を舞台に、多彩で複合的なクリエイティヴ・表現活動を自在 に繰り広げる現代のルネサンスマン。著書として『アトランティス・ ロック大陸』『鏡の向こうのつづれ織り』『空間構想事始』『ドレの神 曲』など。スペースワークスとして『東京銀座資生堂ビル』『LA ZONA Kawakasi Plaza』『レストランikra』などがある。
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