のらり 大好評連載中   
 
■現代語訳『風姿花伝』
  ~世阿弥の『風姿花伝』を表現哲学詩人谷口江里也が現代語に翻訳
更新日2010/05/06



第十四回
風姿花伝 その二
物學(ものまね)のいろいろ
法師

 
  これは、物まねの題材の一つではあるけれども、滅多に演じるものでもないので、それほど稽古を積む必要はない。
おおよそのところを言えば、荘厳に着飾った僧正や、お寺の経営や運営の全般を仕切る位の高い僧侶などは、なによりもまず威厳が基本であって、そのような人々の気高さを学ばなくてはいけない。それより位の低い、一般の僧である法体(ほったい)や、出家して仏門に入った遁世(とんせい)、また修行僧などは、基本的に煩悩を振り払おうとしている人々だということを考え、仏教の修業に努めるようすや、そのことに思いを寄せる風情を表すことが肝要である。ただしそういう基本的なことに気をつければ良いとはいっても、演目によっては意外に思ったより多くの手数を必要とするものもあるということを心得ておく必要がある。

 

 

 

このコラムの感想を書く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


谷口 江里也
(たにぐち・えりや)
著者にメールを送る

詩人、ヴィジョンアーキテクト。言葉、視覚芸術、建築、音楽の、四つ の表現空間を舞台に、多彩で複合的なクリエイティヴ・表現活動を自在 に繰り広げる現代のルネサンスマン。著書として『アトランティス・ ロック大陸』『鏡の向こうのつづれ織り』『空間構想事始』『ドレの神 曲』など。スペースワークスとして『東京銀座資生堂ビル』『LA ZONA Kawakasi Plaza』『レストランikra』などがある。
Elia's Web Site [E.C.S]

■連載完了コラム
岩の記憶、風の夢~my United Stars of Atlantis [全57回]

もう一つの世界との対話~谷口江里也と海藤春樹のイメージトリップ [全24回]

鏡の向こうのつづれ織り~谷口江里也のとっておきのクリエイティヴ時空 [全24回]


随想『奥の細道』という試み ~谷口江里也が芭蕉を表現哲学詩人の心で読み解くクリエイティヴ・トリップ [全48回]


バックナンバー

■更新予定日:毎週木曜日