第十六回
風姿花伝 その二
物學(ものまね)のいろいろ
神
この物まねは、いわば鬼を演ずることと、どこかつながりのあるものであって、何となく、怒ったようすを粧(よそお)うのもよく、目指す神によっては、ほとんど鬼のように演じてたとしても、いけないというわけではない。ただ、どこかで、鬼とはあきらかに違う、神の本意のようなものを表す必要があり、それには、趣のある舞(まい)につうじる風情(ふぜい)のある所作がよい。
それというのも、鬼と舞とは、つながりようがないからだ。、また、神というのは基本的に神さまらしく、神さまなら、いかにもこのようかと想うような立ち居振る舞いをし、気高く、そもそも、神がこのような姿かたちをしているというようなことは知りようがないのだから、せめてちゃんとした衣裳で飾り、着付けには乱れなどがないよう、気を配る必要がある。
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