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■よりみち~編集後記

 

更新日2014/01/23


巷の話題は1月23日告示された東京都知事選挙だろう。予想通り細川護熙元総理が出馬したことで、原発ゼロが俄然注目される選挙になった。前回の都知事選の次点となった日本弁護士連合会前会長の宇都宮健児氏が、最初に出馬表明したが、細川氏は告示ぎりぎりまで態度を保留し、宇都宮氏との候補統一もあるのではという期待もあったのだが、結局は話し合いすら持たれずいきなり選挙戦に突入した形になった。知名度から自民党東京都連及び公明党の推薦を受ける舛添要一氏が有力視されてはいるものの、それぞれの候補は「脱原発」を表明しているため、得票が分散することは確実で、投票率は伸びそうもない感じがする。結局のところ16人もの候補者が名乗りを挙げる選挙となってしまった。宇都宮健児氏だけであれば、脱原発、原発再稼動阻止、東京電力への補償問題の追及など、確実に前進することは明らかで、充分勝ち目もあると思えたのだが、小泉元総理が原発ゼロ発言を繰り返しながら細川元総理に接近し、担ぎ上げられた形になった。民主党や生活の党などが支援を表明しているが、負け犬イメージが強すぎて決してプラスには作用しないだろう。75歳にしては衰えは感じない細川氏ではあるが、あまりに政治的なブランクが長すぎ、1993年の細川連立政権で閣僚経験なしの初総理が誕生した当時のことや日本新党ブームのことを知っている人は若者ではほとんどいないはずだ。20年も前の総理大臣が東京都の知事に名乗りを挙げること自体前代未聞なのだから、異例の連発である。

「森の長城プロジェクト」http://greatforestwall.com/(宮脇昭・横浜国大名誉教授が提唱する「いのちを守る森」づくりを実践している)で公益財団法人 瓦礫を活かす森の長城プロジェクトの理事長を務める細川氏が元総理は、知名度を活かして東日本大震災の復興計画に参画し、そして脱原発から再生可能エネルギーへのエナジーシフトを目指しており、さすが元総理大臣だなと思えたのだが、やはり御殿様の血なのか、オダテ挙げられやすい性格は全く変わっていないようだ。世の中の流れや方向性はよく見えている人なのだが、御殿様特有の詰めの甘さが目立つのだ。祭り上げられるのはよいのだが、調整などしたことがないためなののだろうが、船頭がたくさん船に乗り込んできて混乱してきても、早目に手が打てないのだ。あの日本新党でも最初の頃の理念や行動は素晴らしく、期待が持てたのだが、色んな人の意見が交錯し、勝手に船が動き始め、“よきに計らえ”と言っているうちに船が陸に乗り上げてしまい、それでも何もできず船が沈んでしまったわけで、どうも今回も理念や計画に溺れてしまうのではないかと思えるのだ。もし本当に、細川氏が原発ゼロを実現するために東京からシフトチェンジしていくことを考えているのであれば、前回の選挙の次点得票者であり、脱原発を推進しようとしている宇都宮氏と話し合いを行い、候補の一本化を目指すのが当然だと思える。まずは、脱原発知事を確実に誕生させることが大切で、得票の分散化が危険であることは誰でも考えることだろう。それができなかったということは、すでに船頭がたくさんいるということなのかもしれない。自分もずっと脱原発を主張してきたといい始めている舛添さんでは原発の再稼動は止められないし、止めるつもりもないはずで、政治評論家は脇が甘いのは猪瀬前知事の例もあるように明らかなのだが・・・ (越)

 

 

 


■猫ギャラリー ITO JUNKO

 

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