■インターネットによるIT技術や科学技術がますます進化する一方で、世界中で退化や劣化現象が起こっているのが不気味でしょうがない。明るい未来の展望が語られている隣で、100年前の世界を理想化して逆戻りしたがるスーパーナショナリズムの人々やネトウヨたちが声を上げ始めている。ことの起こりはよくは分からないが、アルカイーダによる9.11のNYテロあたりからかもしれない。アフガニスタン内戦、イラク侵攻、アラブの春、ISの台頭、シリア内戦、そして政情不安からくる激増する移民・難民問題、イギリスのEU離脱や難民受入拒否を契機とするネオナチ的な排外主義政党の躍進と繋がり、今年2017年にはまさかのトランプ大統領の誕生と、まさに坂道を転げるように保護主義や超保守政党が世界中に拡大している。
■この世界的な現象はやはり格差社会の歪みからきているのだろう。「世界の資産保有額の上位62人の総資産は、下位50%(36億人)の人々の総資産に匹敵」<オックスファム;経済格差に関する最新報告書『最も豊かな1%のための経済』;2016年1月>とあるように、富める者はより巨万の富をタックスヘイブンの活用で増大させ、貧しい者は出口のない底なし沼の貧困に喘ぎ、富める国への移住しか活路が見出せない人々が激増しているのが現実だろう。
■拡大する格差を是正するには、富の分配システムに手を付けない限り解決しない問題であることは誰にでも分かっていることだが、その動きは全く鈍くほとんど動きが見えなてこない。トランプさんのように鎖国してでもアメリカ一国だけの利益を守ることしか考えていないトップでは、今後もその動きは遅くなりそうだ。まずはタックスヘイブン禁止法案を国際協定で制定して、国際金融法で抜け道をなくし、富の集中を抑制すべきだろう。今こそ国際連合の出番だと思うのだが、結局、何もできない形式だけの組織なのだろうか。(越)
格差に関する最新報告書発表 「最も豊かな1%のための経済」(オックスファム)http://oxfam.jp/news/cat/press/post_666.html
 
|