のらり 大好評連載中   
 
■よりみち~編集後記

 

更新日2011/05/12


福島原発は本当に大丈夫なんだろうか? 大震災2ヶ月目になって、やはり一号機には冷却水がまともに入っていなっことが発表され、燃料棒からほとんどの核燃料が溶け出して、炉心の下に溜まっている状態だという。事故発生当時一番心配された「メルトダウン」の状態だったということで、東電も政府も隠蔽工作を行っていたとしか思えない。2ヶ月前にその可能性が指摘されていたにも関わらず、ひたすらとぼけて、とにかく冷却水を注入すれば水素爆発は回避できると、現実に起こっている現象を一切不明と逃げ切ってパニック防止に努めたのだろう。一号機には当初から大量の海水が注入され続けており、それでも一定の水位に達しないことが誰もが不思議に思っており、炉心に穴や亀裂が入っていて海水がダダ漏れしているからではないかと素人でも考えていたことだが、原因不明を繰り返すだけで、とにかく海水を注入し続け冷却するしか今は方法がないと発表してきたわけだ。2ヶ月間水を入れ続けても、容器がいっぱいにならないとすれば、水が大量に漏れていることは明白で、2ヶ月目になって今日分りましたという不自然な発表は、混乱を回避するために事実を伏せていて、温度が上昇していない今だから発表できたとしか考えられない。原子力の専門家集団がこの現実を誰も予測できなかった想定外の現象だと言うのであれば、日本の原子力学会は素人以下の烏合の衆でしかないということで、これからの水棺計画や石棺計画は単なる絵に描いたモチになり兼ねない。
メルトダウンした核燃料が果たして炉心に留まっているか疑問だ。当然、注入し続けている水は地中深く漏れ続けているか、ピットでは発見されてはいないが、海に流れ込んでいる可能性が高いだろう。チェルノブイリの場合には核爆発を起こしてしまったが、1回の爆発後は収束に向かったわけで、福島の場合には核爆発の危険は回避できたものの放射能漏れが継続中で、それを止める術がない状態であり、その汚染水の量が増え続けているわけで、レベル7と認定した時点で、メルトダウンの現実を知っていたと考える方が自然だろう。先日は神奈川県の南足柄市の新茶から高濃度の放射線が検出されて出荷したお茶の回収を始めているようだが、放射能で汚染された水が地中に漏れているのだから、今後は地下水の汚染が深刻な問題になりそうだ。
浜岡原子力発電所のすべての原子炉を止めたことは管内閣唯一の英断だろう。さらに今後の原子力開発事業に関しても縮小の方向性を示してもらいたかったが、これは今後の課題だろう。今回の福島原発事故は世界中に原発の危険性を示すこととなったが、今一番の心配が、オサマ・ビン・ラディンの殺害で注目される報復テロのターゲットとして、世界中の原発が狙われる可能性が高まったのではないかということだ。これほど簡単に民衆を恐怖に陥れることができることをテロリストは学習したはずで、自爆テロで電源系を狙うだけで大パニックを起こすことができ、空港などを狙うよりよほど簡単にそして確実にパニックを引き起こせるターゲットだということを理解したはずだ。極端に言えば、一人のテロリストが高性能なロケット砲一台で、とんでもないテロを引き起こせるということで、テロ対策を考える前に速やかに原発を止めて、自然エネルギー路線に転換すべきだと福島原発事故は警告しているのだと考えるべきではないだろうか・・・(

 

 

 


■猫ギャラリー ITO JUNKO

 

このコラムの感想を書く
 



のらり編集部

著者にメールを送る


バックナンバー

■更新予定日:毎週木曜日