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■現代語訳『風姿花伝』
  ~世阿弥の『風姿花伝』を表現哲学詩人谷口江里也が現代語に翻訳
更新日2010/09/30



第二十七回
風姿花伝 その四
神儀ということについて 
申楽の始り その一

 

一、申楽(さるがく)の始りというのは、天照大神(あまてらすおおみかみ)が天岩戸(あまのいわと)に籠(こも)ってしまわれ、天下がすっかり闇に覆われてしまったとき、八百萬(やおよろず)の神さまたちが、天香久山(あまのかぐやま)に集まって、なんとか大神のお気持ちを引こうと考えて、神楽を演奏し、続けて、舞を舞う細男(せいなう)を行われた。

その舞手のなかに、天の鈿女(うずめ)の尊(みこと)が進み出られ、榊の枝に幣(しで)をつけて、声をはりあげ、火處を焚き、足を踏みならして、神懸かりとなって、歌い、舞い、楽器を演奏した。その声がかすかに聞こえたために、大神は天岩戸を少し開けて外のようすを見ようとされた。そのとたん、国土は再び明るくなり、神々たちのお面(かお)も白く明るくなった。その時のお遊びが、申楽のはじめだとか。詳しくは口伝に記したとおりである。

 

 

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谷口 江里也
(たにぐち・えりや)
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詩人、ヴィジョンアーキテクト。言葉、視覚芸術、建築、音楽の、四つ の表現空間を舞台に、多彩で複合的なクリエイティヴ・表現活動を自在 に繰り広げる現代のルネサンスマン。著書として『アトランティス・ ロック大陸』『鏡の向こうのつづれ織り』『空間構想事始』『ドレの神 曲』など。スペースワークスとして『東京銀座資生堂ビル』『LA ZONA Kawakasi Plaza』『レストランikra』などがある。
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