■めだかのスイスイあまぞん日記~~ゆったり南米ブラジル暮らし

夏川めだか
(なつかわ・めだか)


仙台市広瀬川にて誕生。その後利根川、井の頭公園の池、ダブリンのギネスビール、多摩の浅川などを転々とし、さらなる新天地を求めて、ついに世界第一の流域を誇るアマゾン川へ流れ着く。



第1回:アマゾンでジャングル暮らし?
第2回:こんなとこに住んでいます。

■更新予定日:隔週木曜日

第3回:ゆるゆるモードにはまる。

更新日2004/08/05


こんにちは、めだかです。

ベレンに住むようになってから4ヵ月近くになるけれど、ニホンとはずいぶん違うなーと感じるのは時間の感覚だ。人も空気も、ゆったりしているというか、のんびりしているというか…。果てしなく広がる大地と大河アマゾンの存在がそうさせるのかしら。

たとえば、郊外の街に野球の試合(注:ベレンは日系人が多くて野球も人気)を見に行ったときのこと。朝9時から始まると聞いていたので、少し前に球場に着いた。が、ほとんど人影はなくカラーンとしている。おかしいなぁと思っているとパラパラと車が到着し始め、10時過ぎになってようやくメンバーがそろって準備運動が始まり、試合開始は11時を回っていた。

かと言って、別に早く来た人が遅く来た人を責めるわけでもなく、皆でワイワイと楽しそうにプレーボール。2時間も待たされちゃったよ、とぶつくさ(胸の中で)つぶやいているのはワタシだけみたいだった。

これがニホンだったら、<8:20~ 開会の挨拶/8:35~ 注意事項の確認/8:45~ 準備運動/9:00~ 試合開始>てな感じで分刻みで予定が決められていて、実際その通りに事が運び、遅刻なんてしたら大変だよなーと思った。学校の行事だろうと町内会のお祭りだろうと、たいていタイムスケジュールがきっちりしていて、その通りに進むのがトーゼンだったもの。

でも、その後いろんな催しに参加してみたけれど、どこでも似たりよったりなのだ。1時間遅れのスタートならまぁ普通。2時間程度遅れたってへーき。そのうち始まるだろうから、近くの人とおしゃべりして楽しんでいればいいんだし、イライラしたってしょうがないじゃない、という感じ。

あるいは、友だち数人で集まって遊ぼう、なんていうときでも状況は同じだった。誰かが30分くらい(あるいはもっと)遅れても、イラついたりする人はいなくて、当人が現れれば何事もなかったかのように「じゃ行こうか」となる。「どうして遅れたの?」なんて尋ねる人もいない。


ベレン郊外の川沿いの街で

何しろテレビ番組でさえ予定通りには始まらないのだ。新聞の番組表とズレていることはよくあるし、この前は「今晩7時スタート!」と何度もCMが流れていた番組を見ようと待っていたら、全然始まらず、何のお知らせもないまま15分くらい過ぎてから始まっていた。ニホンだったら視聴者から苦情が殺到し、スポンサーは激怒し、関係者のクビも飛んでしまいそうな話だけど、ここではそんなことはなさそう。

そうか、ブラジル人は「○○時までに△△しなくちゃいけない」ということにあまりとらわれていないから、ゆったりして見えるんだな。自然の流れにまかせましょう、というおおらかな姿勢なのだ。それに、始まりや終わりの時間が少々ズレようとも、毎日ちゃんと世の中は動いているし、そのことで特に大きな問題が起こっているようにも思えない。

最初は、ニホンとはずいぶん違う価値観に戸惑ったけれど、だんだん慣れてくると、このゆるさが逆に心地よくなってくる。だって、それはつまり、「焦ったり」、「せかされたり」、「時間に追われてイライラしたり」というストレスのない生活なんだもの。

いやー、イカン、イカン。このブラジル仕様の時間感覚にどっぷりはまりこんでしまうと、「時は金なり」の国にはもう戻れなくなってしまいそう。でも、ま、それもまたアリかもなぁ…。なんてことを思いながら、今日もゆるゆるとした流れの中に漂っています。

 

 

第4回:「おんな」を満喫! ブラジル人女性。