のらり 大好評連載中   
2017/05/25掲載

■新・汽車旅日記
〜平成ニッポン、いい日々旅立ち
 
第631
回「航空機の搭乗経路 − 山梨リニア実験線 2 −」  
実験センターの扉が開いた。アスファルトの広場があり、門扉から建物まで青色にペイントされている。自然に建物の入り口に向かうデザインだ。脇に記念写真の看板があった。リニア車両の客室窓から顔を出すデザインだ。簡単には入れない場所だから、母と窓枠に収まり、シャッターを押してもらった。飯田の老夫婦の流儀で「遺影にしよう」と言い出しそうになる。もちろん口には出さない。正面の建物はリニア中央新幹線の駅を模しているようだ。全面ガラスの向こうに搭乗券発見機が見える。鉄道と言うより、航空機の雰囲気である。そこは入り口ではなく、左側を向くと自動ドアがある。中に入るとすぐに荷物検査場があった。まるで空港だ。カゴに鞄を載せ、ポケットの中身をぶちまけてゲートを潜る。鞄は口を開けるように指示される。係員がペットボトルのフタを開けて匂いをかぐ。かなり念入りだ。2ヵ月前、東海道新幹線でガソリンを持ちこんだ老人が焼身自殺を図るという大事件が起きた。

杉山 淳一

杉山 淳一

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2017/05/18掲載

■店主の分け前
〜バーマンの心にうつりゆくよしなしごと
 
第327回「流行り歌に寄せて No.131「君といつまでも」〜昭和40年(1965年)」

京南大学のかっこいい若大将。小学校の多くの友だちは憧れていたが、私はなぜか関心がなかった。自分の生活とはあまりにもかけ離れていた存在だったからかもしれない。明るく華やかで躍動感溢れる、都会での学生生活が絵空事のようで、正直、鬱陶しかった。半世紀経った今でも、その感は拭えないようだ。こんなことを書き出すと、私の店にも何人かはいらっしゃる加山雄三ファンを、完全に敵に回してしまいそうだが、 性に合わないのだからご勘弁いただくしかない。但し、その若大将シリーズと同じ時期に作られた、黒澤明監督の『椿三十郎』や『赤ひげ』、成瀬巳喜男監督の『乱れる』や『乱れ雲』に出演している時の加山雄三には良い印象がある。殊に成瀬巳喜男の遺作となった『乱れ雲』では司葉子との共演で、難しい役柄を好演していて、実力のあるところを見せていた。私は7、8年ほど前に日本映画専門チャンネルでこの映画を観る機会を得たが、「うまい役者さんなんだなあ」と感じたものである。

金井 和宏 金井 和宏 

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2017/05/25掲載

■フロンティア時代のアンチヒーローたち
〜西部女傑列伝 4
 
第7回「パール・ハート〜名前を消した転落の後半生」<最終回> 

パール・ハートが特赦で釈放されてから、ドサ廻りの見世物ショーに加わっていたところまでは確かだ。田舎の町々を2、3年回っていたようだ。そのショーを見たという証言もたくさん残っているが、ハナからいい加減な見世物だから、パール本人が"アリゾナの盗賊女王"として出演していたのか、誰か他の女性が代役を勤めていたのか判然としないところがある。 と言うのは、一つのショーが当たりを取ると、即、雨後の竹の子のごとく、同じようなショーが続々と現れ、パールが同時進行の形でかけ離れた町々に登場しているからだ。一説によれば、バッファロー・ビルのワイルド・ウエスト・ショーに呼ばれ、駅馬車強盗を再現したこともあると言われている。当時のワイルド・ウエスト・ショーのポスターや演目にパールの名を見つけることはできなかったが…。パールはカンサスシティーでタバコ屋を営んでいたらしい、と言えるのは1904年にL.P.キール夫人と名乗る女性が盗品を売買していたとして逮捕…

佐野 草介 佐野 草介 

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2017/05/25掲載
■亜米利加よもやま通信
〜コロラドロッキーの山裾の町から
 
第514回「一般化してきた男性の化粧
昔、プエルトリコで暮らしていた時、テレビを持たない私たちにわざわざ声をかけ、日本のサルサバンドが当地に来ており、演奏ステージの中継をテレビでやっているから観においでと、友人が呼んでくれたことがあります。行って観て驚いたことに、このバンドのメンバー全員が顔を真っ白に塗り、まるで舞妓さんか歌舞伎役者のようなメイクアップをして、中南米のダンス音楽サルサを歌い、演奏していたのです。バンド名は“ラ・ルーツ”(光)と言います。はじめ奇妙に見えていたのが、じきに、舞台演奏にピッタリとはまっているように見えてきたから不思議です。もっとも、彼らの演奏は地元プエルトリコの人たちを唸らせるほど巧みですし、スペイン語の発音もとても上手でした。このように、一種の仮面を被ることによって、逆に内在する個性が発揮できるケースもあるものだと感心させられました。考えてみるまでもないことですが、舞台に上がるヒトは大なり小なり、女も男も舞台化粧をしています。
グレース・ジョイ Grace Joy
(グレース・ジョイ)
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2015/10/15掲載

■現代語訳『枕草子』
〜表現哲学詩人谷口江里也が翻訳

第17回「市は、辰の市」  
市は、たつの市、さとの市、海石榴(つば)市など、大和には市のついた町がたくさんあるけれども、長谷寺にお参りをした人が、必ずのようにこの地に泊るのは、観音さまとのご縁を大切にしたいという、特別の気持があるからだろう。ほかにもこのあたりには、おふさの市や、しかまの市や、もちろん飛鳥の市もある。峰といえば---峰といえば、ゆづる葉の峰、阿弥陀の峰、そしていやたかの峰。原には---原には、みかの原、あしたの原、園原なんていうのもある。淵には---淵には、かしこ淵というのがあるけれども、一体どういう気持で、どなたがそうと教えて、そんな名前になったのだろう。青色の淵なんていうのも面白い。まるで蔵人が着るお召しのよう。ほかにも、隠れの淵や、いな淵なんていうのもあって面白い。海といえば---琵琶湖のみずうみ、与謝の海、そして、かはふちの海。陵には---陵みささぎには、うぐいすの陵、かじはぎの陵、そして、あめの陵などがあって、どれも歌に歌われして風情がある。

谷口 江里也 谷口 江里也

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2017/03/30掲載

■よりみち〜編集後記  

インターネットによるIT技術や科学技術がますます進化する一方で、世界中で退化や劣化現象が起こっているのが不気味でしょうがない。明るい未来の展望が語られている隣で、100年前の世界を理想化して逆戻りしたがるスーパーナショナリズムの人々やネトウヨたちが声を上げ始めている。ことの起こりはよくは分からないが、アルカイーダによる9.11のNYテロあたりからかもしれない。アフガニスタン内戦、イラク侵攻、アラブの春、ISの台頭、シリア内戦、そして政情不安からくる激増する移民・難民問題、イギリスのEU離脱や難民受入拒否を契機とするネオナチ的な排外主義政党の躍進と繋がり、今年2017年にはまさかのトランプ大統領の誕生と、まさに坂道を転げるように保護主義や超保守政党が世界中に拡大している。この世界的な現象はやはり格差社会の歪みからきているのだろう。「世界の資産保有額の上位62人の総資産は、下位50%(36億人)の人々の総資産に匹敵」<オックスファム;経済格差に関する最新報告書『最も豊かな1%のための経済』>

よりみち 「のらり」編集部

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<<佐野 草介の著書>>

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ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。
日本全国列車旅、
達人のとっておき33選


  ■フロンティア時代のアンチヒーローたち [全151回] 〜西部アウトロー列伝 Part1:Butch Cassidy(ブッチ・キャサディ)
 佐野 草介
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■グレートプレーンズのそよ風 [計28回] 〜アメリカ中西部今昔物語
 Grace Joy(グレース・ジョイ)
グレース・ジョイ
■貿易風の吹く島から [全157回] 〜カリブ海のヨットマンからの電子メール
 佐野 草介
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■くらり、スペイン [計94回] 〜移住を選んだ12人のアミーガたち、の巻/〜イベリア半島ふらりジカタビ、の巻
 湯川 カナ
湯川 カナ
■拳銃稼業 [全58回] 〜西海岸修行編
 中井 クニヒコ
中井 クニヒコ
■現代語訳『風姿花伝』 [全63回]
 〜世阿弥の『風姿花伝』を表現哲学詩人谷口江里也が現代語に翻訳

 谷口 江里也
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■随想『奥の細道』という試み [全48回]
 〜谷口江里也が芭蕉を表現哲学詩人の心で読み解くクリエイティヴ・トリップ

 谷口 江里也
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■鏡の向こうのつづれ織り [全24回] 〜谷口江里也のとっておきのクリエイティヴ時空  
 谷口 江里也
鏡の向こう
■もう一つの世界との対話 [全24回] 〜谷口江里也と海藤春樹のイメージトリップ  
 海藤 春樹_人形_IMAGES 谷口 江里也_詩_TEXT
もうひとつの世界
■岩の記憶、風の夢 [全57回] 〜my United Stars of Atlantis
 谷口 江里也
岩の記憶

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