■新・汽車旅日記 ~平成ニッポン、いい日々旅立ち 第737回「新横浜~福井~東京、ぐるり一周(3)- えちぜん鉄道 -」 福井商工会議所の最寄り駅は福井鉄道福武線の商工会議所前駅だ。わかりやすい。福井駅前から路面電車に乗って10分ほどだ。それを遠回りして行く。私はJR福井駅の改札を出て南口を出た。福井鉄道の駅とは反対側だ。工事中の新幹線高架駅を通り過ぎれば、えちぜん鉄道の福井駅がある。赤くて四角い建物だ。2月に来たときは外観ができあがっており、壁の赤色はサビ止め塗装の色だと思った。しかしこれが本塗装で、木材を使った内装と相性の良い“さび色”にしたという。プラットホームの天井は永平寺の格天井を模したという。ならば建物は朱色にしたと言えばいいのに、さび色である。鉄道の鉄のイメージを重ねたか。プラットホーム階の側面はガラス張りで電車が見える。鉄道模型の陳列ケースのようでおもしろい。格天井も見えるけれど、磨かれたガラスのせいで向かいの建物と青空と雲が映り込んでいた。
杉山 淳一 ※只今休載中 バックナンバー
2024/03/14掲載
■店主の分け前 ~バーマンの心にうつりゆくよしなしごと 第475回「流行り歌に寄せて No.270 「太陽がくれた季節」~昭和47年(1972年)3月10日リリース」 沢田研二の、ソロ歌手としての2枚目のシングル・レコードである。ファースト・シングルの岩谷時子、宮川泰コンビによる『君をのせて』の甘く美しいバラードとは、まったく趣の異なる曲。Wikipediaでは、ジャンルの項にプログレッシブ・ロックとある。その後のジュリーの音楽を方向づけた曲だという気もする。この頃の音楽界は、日本のロックを作り上げ、発展させて行こうという意気込みが、かなり強かったのだと思う。その代表的なシンガーとしての役割を、ジュリーに荷わせたかったのではないか。その強い意気込みは、レコーディングの場所を、ロンドンのオリンピック・スタジオにしたことでも充分に伺える。オリンピック・スタジオといえば、当時、ローリング・ストーンズ、レッド・ツェッペリン、ジミ・ヘンドリクスなど、ロック界のキングたちが録音を…
金井 和宏 バックナンバー
2024/02/01掲載
■インディアンの唄が聴こえる 第52回「終章」 ※最終回 組織として軍隊は、通常の人間性を消し去るように兵隊を訓練するものなのだろうか? そして、もし私自身が戦時中に関東軍の一兵卒として招集され、中国の普通の人、女性や子供の“試し切り”を強要されたなら、憤然と拒否するガッツもなく、上官の命令に従ったかもしれないのだ。そして、それをウジウジと悔やみ、悪夢に苛まれながら一生過ごしたかもしれないと思う。いや、逆の立場で、私自身が“試し切り”される立場だったなら、深い遺恨を残さずに殺されたとは思えない。 よく、軍の内部に身を置かない限り、軍隊内にある異常な圧力は理解し得ないと言われるが、北原泰作二等兵(※)のように体を張って抵抗した人物もいたし、ほかにも不服従を貫いた兵隊もいたのだから、軍にあっては絶対服従が至上命令であり、それに抵抗することなど不可能だったとは言い切れない部分が残る。 サンドクリークの大量虐殺の時に、上官のシヴィングトンの命令を憤然と無視し、反対したサイラス・ソウル大尉のような…
佐野 草介 バックナンバー
■亜米利加よもやま通信 ~コロラドロッキーの山裾の町から 第842回「“終わった人”?」 もうかれこれ半世紀近く一緒に暮らしていても、人間というのは(大きく出ましたよ…)相手を完全に理解するのは、ミッション・インポッシブルのようです。今になって、「アレ、ウチのダンナさんこんな人だったんだ…」と呆れたり、感心したりすることがあります。基本的には、ダンナさん、人間相手に怒り、腹を立てることがまずありませんが、その代わり、社会のあり方、システム、政治に対しては、アホが、馬鹿がと盛んに憤ります。そんなことを彼に指摘すると、「俺のは公憤と言うんだぞ、公憤がなくなったら、社会人としての人間は終わりだ」と何だか随分偉そうにノタマッテいます。内館牧子さんの『終わった人』という本がちょっとしたベストセラーになり、“終わった人”という呼び方が一般的に使われ始めたようです。それに対して、ウチのダンナさんの憤ること! 「そんな言い方、呼び方はないだろう…老人にも尊厳というものがあるはずだ」と言うのです。内館さんの本では東大法学部出の…
Grace Joy(グレース・ジョイ) バックナンバー
■ドレの『狂乱のオルランド』 ~物語の宝庫、あらゆる騎士物語の源 第7歌 邪悪な魔女アルチーナ 第3話「正気に戻るルッジェロ」 邪悪な魔女アルチーナの美貌と魔術の虜になってしまった情けないルッジェロのことはさておき、かわいそうなのは、天馬に乗って空の彼方に消えてしまったルッジェロを探し続けた清廉な乙女騎士ブラダマンテ。第3歌、第4歌でお話しいたしましたように、ルッジェロを探す道行で、醜男で、口から出まかせの嘘しか言わない奸佞漢ブルネルが持つ、全ての魔法の力を消し去る指輪をブラダマンテが奪ったのは良かったけれど、ブルネルの口車に騙されて深い穴の底に真っ逆さまに落ちたブラダマンテ。乙女騎士の命運もこれまでかと思いきや、ここで死なせてはなるものかと、物語の神様のはからいか、握りしめた蔦のクッションに救われてかろうじて死ぬのを免れたブラダマンテが、穴の底から続く洞窟に入ってみれば、そこは大魔術師マーリンの霊が祀られた地下の宮殿。そこで出会ったマーリンの霊を護る良き魔法使いメリッサから、やがてブラダマンテと…
谷口 江里也
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■よりみち~編集後記 トランプ前大統領が「スーパーチューズデー」の15州のうち14州で勝利し、共和党指名を確実にしました。「もしトラ」から「多分トラ」そして「ほぼトラ」とか言われていたのだが、ついに「ガチトラ」ですでにトランプ再選は決まっていると言い出す政治評論家も出始めている。民主党の81歳のよぼよぼバイデン大統領しか対抗馬がない現状では、トランプ再選確実も当然の反応かもしれない。日本の裏金自民党の10%台の支持率しかない岸田政権がなぜ倒れないのかも不思議な現実だが、アメリカでトランプ大統領再選がまさか現実味を帯びてきていることに恐怖を感じる。この現実は、もう誰も止められないのだろうか? 「もしトラ」で話題になっていたトランプが返り咲いたら世界はどう変わるのかまとめてみたい。 まずは現状の紛争地の問題がどうなるか気になるのだが---●ウクライナ支援からの撤退を表明=ウクライナ戦争停戦=ロシアとの対立は解消方向=莫大な復興支援金をEUと日本が負担する可能性 ●イスラエル支持の姿勢が強いキリスト教福音派を強い支持母体=親イスラエル路線を継続…
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■鏡の向こうのつづれ織り ~谷口江里也のとっておきのクリエイティヴ時空 [全24回] 谷口 江里也
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