■挨拶は「もうごはん食べた?」 〜バンコク街角通信

増成 ヒトミ
(ますなり・ひとみ)


1968年生まれ。埼玉育ち。大学卒業後勤め人を経て、97年からタイのバンコク在住。几帳面を絵に書いたような性格が、タイに来てから後天性マイペンライ症候群に。「ヒトミのバンコクな毎日」もどうぞ。


第1回:挨拶は「もうごはん食べた?」
第2回:果物で知る季節
第3回:懐かしきふるさとの味
―ソムタム―



■連載完了コラム
■My Bangkok Life
〜暮らしてわかったマイペンライの国
 
[全29回]


■更新予定日:隔週木曜日

第4回:インスタント麺のサラダ―ヤム・マーマー―

更新日2003/08/14


日本生まれのインスタントラーメンは、海を渡りここタイにもやってきた。

タイのインスタント麺で最もポピュラーなのは“トムヤム味”。ご存知、トムヤムクンのトムヤムだ。パッケージに使われている写真には、それはそれは大きな海老がどーんと麺の上に乗っているけれど、タイ人でそんな豪気な食べ方をする人は、国中探し回っても多分一人もいないだろう。

タイ人が自分でインスタント麺を作って食べるときは、素うどんならぬ素ラーメンが普通だからだ。ちょっと贅沢したいときは卵を落とす程度。これでパッケージの写真の海老に想いをはせながら、一人寂しくツルツルと麺をすするのが正しい。

興味深いのは、このインスタント麺、乾麺と同じ位置づけで料理の中に取り入れられていること。麺を売る屋台にはたいてい米粉でできた麺のクェイティアオに中華麺のバミーが揃えられているが、そこに袋に入ったトムヤム風味のインスタント麺が鎮座している場合がある。

これをどうやって調理するかというと、麺と調味料はインスタントのものを使い、野菜や肉、ルークチン(魚や肉のすり身で作ったつみれ)などの具とスープをそれに加えるといった感じだ。茹でた麺に具を加えて、焼きそばのように炒める場合もある。

なにも屋台にまで来てインスタント麺をわざわざ食べなくてもと思うのだが、「インスタント麺=他に何もないときに食べるもの」という公式は彼らの中に定着していないらしい。そもそも中華麺のバミーは生麺なので、インスタント麺は中華乾麺という扱いになるのだろう。

このインスタント麺を使った料理の応用編ともいうべきなのが、ヤムだ。玉ねぎやトマト、セロリの葉、ひき肉などと春雨を酸っぱ辛く和えた春雨サラダ、“ヤム・ウンセン”は、タイ料理の中でもポピュラーな料理として知られている。

この春雨をインスタント麺に替えて、ヤムを作ってしまうのがいかにもタイらしい。この料理はインスタント麺のブランド名を取って、“ヤム・マーマー”と呼ばれていることが多い。細い春雨よりボリュームがあるので、これ一品をランチに食べてお腹を満たしているOLもいるのだとか。


ヤム・マーマー(インスタント麺のサラダ)

調理のときに「味は濃い方がいい?」と聞かれるので、こくりとうなずくと、インスタント麺に付属の調味料をザッと入れてくれる。こうすると辛みも塩気もかなり強くなり、ランチというより酒の肴になりそうな味だ。でも、一度食べるとなんとなくまた食べたくなってしまう、ジャンクフード特有の不思議な魅力を持っている。

 

 

第5回:タイ風洋食?―パット・マカロニー―

 
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