のらり 大好評連載中
 
2016/05/26掲載

■新・汽車旅日記
〜平成ニッポン、いい日々旅立ち
 
第589
回「四国をやっつける - 全日空589便 羽田〜松山 -」  
四国に行きたい。行かねばならぬ。2014年が終わる前に。大きな仕事がようやく手を放れた。今がチャンスだ。2014年11月23日。徹夜明けの仕事を終えて自宅に戻り、鞄に着替えなどを放り込んで家を出た。この習慣はいつからだろう。かつては旅への期待を高めつつ、出発前日までに丁寧な荷造りをしていた。しかし最近は「とりあえず詰め込んで、いずれ、列車内かホテルで整えよう」と思う。結局、旅先でも整理せず、中身をひっくり返しては詰め込んで、を繰り返す。帰りは土産の紙袋に荷物があふれる。きっと今回もそうだ。京急電鉄の羽田空港行き急行電車は平日の昼も混んでいる。私の周りは大きな鞄を持った旅行者たち。二人から数人のグループばかりだ。一人旅は少ない。はやくも私の孤独感が募っていく。ひとり暮らしの部屋では何も感じない。見知らぬ人に囲まれると寂しくなる。もう旅は始まっている。国内線ターミナル駅から第2ターミナルの出発ロビーのカウンターへ。今回は株主優待料金で手配したから、手荷物検査場に直行できない。自動チェックイン機で予約番号と株主優待券を・・・

杉山 淳一

杉山 淳一  

バックナンバー

2016/05/26掲載
■店主の分け前
〜バーマンの心にうつりゆくよしなしごと
 
第304回「流行り歌に寄せて No.109 「お座敷小唄」〜昭和39年(1964年)」  

父親が気分よさそうに歌っている。「雪に変わりはないじゃなし とけて流れりゃ皆お〜なじ〜」。小学生の私が口を挟む、「お父さん、雪に変わりはないじゃなしだったら、変わりがあるってことでしょう。だったら、とけて流れたら皆同じというのは変だよ、言葉間違っているよ」。「いいや、これでいいんだよ。ないじゃなしの方が歌いやすいじゃないか」と、いつも人の問いに対しては理路整然と答えてくれる父親が、実にあやふやな答えを返してくるのである。何とも釈然としなかったが、大人にもいい加減にしておくという解決法があるものだとぼんやり思ったものである。私がこのコラムを書く際の大切な参考書に、社会思想社刊・時雨音羽編著『日本歌謡集 明治・大正・昭和の流行歌』がある。困った時にはこの本を開くことにしているが、その『お座敷小唄』の項に、「なお『ゆきに変わりはないじゃなし』という処は間違いだというので論戦を巻き起こしたが、歌い易くやわらかくて京都らしいというので、間違いのままの方が、人々によろこばれているのも、大衆の歌らしくて面白い」とある。
金井 和宏 金井 和宏  

バックナンバー
2016/05/26掲載

■フロンティア時代のアンチヒーローたち
〜西部女傑列伝 2
 
第4回「ベラ・スター 〜カーセージ、北軍に制圧される」
 
南北戦争は、それぞれの正規軍が宣戦布告を待って戦いを始め、終戦宣言をもって戦いを止めるような対外戦争ではなかった。お国のために兵役に就く、義務だから逃れることができないから兵役に就いた兵隊とは別に、もちろんショウガナク召集に応じた者もたくさんいただろうが、北軍兵士、南軍兵士ともども、自分が属するサイドに強い忠誠心を持つと同時に相手に対する煮えたぎるような憎悪を持っていた。さらに悪いことには、正規軍の他にたくさんの私兵グループが中央の統率を離れて活躍していた。南軍派には、特にそんな私兵軍が多かった。義勇軍と言えば聞こえは良いが、血の気が多いばかりで兵隊としての基本的なトレーニングもないままの統制の取れていない殺戮集団が大多数だった。南北戦争の死亡者、戦闘員だけでなく、民間人も含めた死者の多さは、アメリカが休みなく展開してきた米西戦争、第一次世界大戦、第二次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、アフガン・イラク戦争の死者の総計をはるかに上回るという数値になって表れている。

佐野 草介 佐野 草介 

バックナンバー
2016/05/26掲載

■亜米利加よもやま通信
〜コロラドロッキーの山裾の町から
 
第466回「お墓参りとお墓の話」
 
日本に帰るたびに、私が会ったことがないダンナさんの父親のお墓にお参りしていました。過去形なのはお母さん、私にとってお姑さんですが、がもうすぐ100歳になり、足腰だけでなく記憶のほうも少し怪しくなってきたので、主賓であるお姑さんがお墓参りに参加できなくなり、私たちもお墓への足がグンと遠のいてしまったからです。命日やお盆にお墓参りをするのは、なんとも和やかで美しい習慣だと思います。私たち夫婦に子供がいませんから、何時だったか、お姑さんがポツリと、「このお墓、一体、誰が守るんだろうね」と言っていたとダンナさんがシバシ軽いショックを受けていたのを覚えています。それ以後でしょうか、ダンナさん、甥っ子、姪っ子に、「墓やるけど、いらないか?」と声をかけていますが、皆口を揃えて、「そんなもの、いらないよ」とあっさり拒否されています。私たちが死んだらそこに入り、その後、無縁仏として市が処理することになるのでしょうね。 墓は生き残った者の思惑、思い入れによって大きく変わるものです。

グレース・ジョイ Grace Joy
(グレース・ジョイ)
バックナンバー
2015/10/15掲載

■現代語訳『枕草子』
〜表現哲学詩人谷口江里也が翻訳

第17回「市は、辰の市」  
市は、たつの市、さとの市、海石榴(つば)市など、大和には市のついた町がたくさんあるけれども、長谷寺にお参りをした人が、必ずのようにこの地に泊るのは、観音さまとのご縁を大切にしたいという、特別の気持があるからだろう。ほかにもこのあたりには、おふさの市や、しかまの市や、もちろん飛鳥の市もある。峰といえば---峰といえば、ゆづる葉の峰、阿弥陀の峰、そしていやたかの峰。原には---原には、みかの原、あしたの原、園原なんていうのもある。淵には---淵には、かしこ淵というのがあるけれども、一体どういう気持で、どなたがそうと教えて、そんな名前になったのだろう。青色の淵なんていうのも面白い。まるで蔵人が着るお召しのよう。ほかにも、隠れの淵や、いな淵なんていうのもあって面白い。海といえば---琵琶湖のみずうみ、与謝の海、そして、かはふちの海。陵には---陵みささぎには、うぐいすの陵、かじはぎの陵、そして、あめの陵などがあって、どれも歌に歌われして風情がある。
      

谷口 江里也 谷口 江里也

バックナンバー
2016/03/24掲載

■よりみち〜編集後記  

ベルギーの首都ブリュッセルのザベンテム空港で3月22日午前8時、2回の爆弾テロが発生、その1時間後、 ブリュッセル市内のマルベック地下鉄駅でも自爆テロが起こった。この連続テロによって空港で14人、地下鉄で20人が死亡し、250人以上が負傷した。18日にはパリ連続襲撃事件の主犯格とされるサラ・アブデスラム容疑者が逮捕されたニュースが世界中を駆け回ったばかりで、パリのテロ事件の関係者による報復テロのようで、IS系メディアで犯行声明が出されている。爆弾テロや自爆テロは余程警戒網を張り巡らせ、検問を密にしないと事前に容疑者を確保することは不可能に近いだろう。今回の爆弾テロも周到に計画されていたことが分かっており、パリのテロ事件が突発的なものではなく、今後も続けられるテロ事件の前触れだったことを印象付けようとしている。それもISで訓練を受けシリア難民としてまぎれ込んだテロリスト集団ではなく、ヨーロッパで生まれ、ヨーロッパの教育を受けているISシンパのイスラム教を信奉する若者たちがテロリストとして養成されている現実を直視しなければならない。

よりみち 「のらり」編集部

バックナンバー

  バックナンバー インタビュー
のらりギャラリー
A garden of the spring

 


  ■フロンティア時代のアンチヒーローたち [全151回] 〜西部アウトロー列伝 Part1:Butch Cassidy(ブッチ・キャサディ)
佐野 草介
佐野 草介
■グレートプレーンズのそよ風 [計28回] 〜アメリカ中西部今昔物語
Grace Joy(グレース・ジョイ)
グレース・ジョイ
■貿易風の吹く島から [全157回] 〜カリブ海のヨットマンからの電子メール
佐野 草介
佐野 草介
■くらり、スペイン [計94回] 〜移住を選んだ12人のアミーガたち、の巻/〜イベリア半島ふらりジカタビ、の巻
湯川 カナ
湯川 カナ
■拳銃稼業 [全58回] 〜西海岸修行編
中井 クニヒコ
中井 クニヒコ
■現代語訳『風姿花伝』 [全63回]
 〜世阿弥の『風姿花伝』を表現哲学詩人谷口江里也が現代語に翻訳

谷口 江里也
谷口 江里也
■随想『奥の細道』という試み [全48回]
 〜谷口江里也が芭蕉を表現哲学詩人の心で読み解くクリエイティヴ・トリップ

谷口 江里也
谷口 江里也
■鏡の向こうのつづれ織り [全24回] 〜谷口江里也のとっておきのクリエイティヴ時空  
谷口 江里也
鏡の向こう
■もう一つの世界との対話 [全24回] 〜谷口江里也と海藤春樹のイメージトリップ  
海藤 春樹_人形_IMAGES 谷口 江里也_詩_TEXT
もうひとつの世界
■岩の記憶、風の夢 [全57回] 〜my United Stars of Atlantis
谷口 江里也
岩の記憶

【のらり】更新ニュースを毎週発行しています。 ご希望の方(不要の方)ご登録ください。サンプル
         メールアドレス

  TOP-トップページ》 《コラム一覧 》 《のらりインタビュー》 《コラム・バックナンバー
……………………………………現在連載コラム……………………………………
新・汽車旅日記 】 【店主の分け前 】 【フロンティア時代のアンチヒーローたち Part5
 【亜米利加よもやま通信 】 【現代語訳『枕草子』 】 【よりみち
………………………………掲載完了イチオシコラム………………………………
[拳銃家業 ] [貿易風の吹く島から ] [ くらり、スペイン ] [グレートプレーンズのそよ風 ]   [岩の記憶、風の夢 ] 
[フロンティア時代のアンチヒーローたち ] [随想『奥の細道』という試み ]

     

このサイトに関するご意見・ご感想・お問い合わせはこちらまで。
Copyrights 2016 Norari