のらり 大好評連載中
 
2016/07/07掲載

■新・汽車旅日記
〜平成ニッポン、いい日々旅立ち
 
第595
回「三兄弟に会いたい − 予讃線 伊予大洲〜宇和島 −   
車窓は初秋の晴天である。伊予大洲を出ると肱川を渡り、その鉄橋から大洲城がちらりと見えた。1331年の築城から680年の歴史があるという。江戸時代から城下町として発展し、大津藩の中心となった。大洲の名は、城主だった脇坂安治が淡路国洲本から着任したからという説もある。鉄橋を過ぎると肱川は南へ上り、線路は真西へ向かって上っていく。小さな谷へ。秋晴れの青空。山の緑はまだ深い。トンネルを抜けると線路が下り坂になった。エンジン音が穏やかになりスピードが上がる。八幡浜駅のホームに別府連絡という文字を見つけた。宇和島運輸フェリーは1日6往復。所要時間は2時間50分。最短は少し北側、四国の佐多岬と九州の佐賀関半島を結ぶ国道九四フェリーという便があって、所要時間は1時間10分。南九州と近畿を結ぶルートとしては、関門トンネルよりこちらの方が速いのかもしれない。八幡浜は海沿いの町だけど、車窓から海は見えない。線路は南の谷に向かった。いったん上がった速度が、また落ち着いてくる。高い山の頂上付近は紅葉が始まっている。山肌の斜面に低い木が整列する。蜜柑畑のようだ。

杉山 淳一

杉山 淳一  

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2016/07/21掲載
■店主の分け前
〜バーマンの心にうつりゆくよしなしごと
 
第308回:流行り歌に寄せて No.113 「花と竜」〜昭和39年(1964年)」  

私が二十歳代の頃、お互いの年齢を遠回しで聞くのに「オリンピックの時、何年生だった?」という言葉を、みんな時々使っていた。オリンピックとは、当然、東京オリンピックのことである。私で言えば、相手が小学5年生だったら2級先輩、1年生だったら2級後輩ということになる。そのうちにオリンピックの後に生まれたという人が社会に出てきて、その時はかなり衝撃的だったのだが、今では店の常連さんの中には五輪後生まれの方が多いほどで、その中で年長者は50歳を超えている。戦前、戦中、戦後生まれという言い方が、以前からたいへんよく使われてきているが、私の中では無意識のうちに五輪前、五輪後生まれというふうに、世代を大雑把に区切っている気がする。今回ご紹介する曲は、昭和39年10月25日(日)から日本テレビ系で放映された、テレビドラマ『村田英雄の花と龍』の主題歌である。25日と言えば15日間開催された東京オリンピックの、閉会式の翌日であり、五輪後生まれ最初のヒット曲と言える。私がもう20年以上前に原子力発電所の従事者として、福島をはじめいくつかの現場で働いていた際、仕事仲間には北九州出身の人が多く・・・
金井 和宏 金井 和宏  

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2016/07/28掲載

■フロンティア時代のアンチヒーローたち
〜西部女傑列伝 2
 
第11
回「ベラ・スター 〜藪の中」 
当時の新聞報道を総合し、最大公約数的にまとめると、ベラ・スターがノックした玄関ドアを開けたのは、高齢のグレイソソン夫人、スーザンだった。ドアロックが外され、玄関が大きく開かれると同時に男共が素早く室内に入り込み、叫び狂う老嬢を黙らせ、ワット・グレイソンを椅子に縛りつけ、首にロープを回し、そのロープを天井の梁にかけ回し、椅子に座ったまま縛り首にする体勢を取った。金貨の在り処を吐かせようというのだ。二、三度ワットを宙に浮かせたが吐かず、それじゃグレイソン夫人、スーザンを吊るすぞと脅しをかけ、金貨の在り処を吐かせた。賊は意気揚々と引き上げ、彼らの隠れ家、ヤンガーズベンドに身を潜めた。翌日、奪った金を勘定したところ、総額3万4000ドルに及んだが、そのうち、1万2000ドルは合衆国政府発行の金券で、銀行間取引や政府への支払いにしか使えない種類の紙幣だった。というのがあらましだが、いくら引退した判事でも、自宅に金貨で3万ドル近く置くのはいかにも不自然だ。日が経つにつれて、新聞で書きたてられる強奪された金額が次第に減り始め、1週間後の新聞には被害総額4000ドル以下と書かれている。

佐野 草介 佐野 草介 

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2016/07/28掲載

■亜米利加よもやま通信
〜コロラドロッキーの山裾の町から
 
第473回「日本の百歳のお母さん」
 
義理のお母さんが100歳まで後21日というところで、亡くなりました。100歳のお祝いをしようと、義理のお姉さんたちが色々計画を立てていたようですが。お母さんは早くに夫を亡くし、それから文字通り女手ひとつで5人の子供を育ててきましたから、ウチのダンナさんがいつも言うように"貧乏の子沢山"を絵に描いたような生活だったのでしょう。いまだにダンナさん"貧乏の話なら誰にも負けないぞ"と変な自慢をするくらいです。それでいて、お母さんの口から、苦労話、愚痴のたぐいをまったく聞いたことがありません。きっと素晴らしい"記憶のフィルター"を持っていて、良い思い出だけが残ったのでしょう。常に明るく、楽観的、よくジョーダンを言い、笑い、肯定的な人でした。三十数年前、日本で初めてダンナさんの家族に会った時も、変な外人の私を真っ先に受け入れてくれたはお母さんでした。外人扱いせず、至極普通の人間として接してくれたのです。私の日本語も今ほどでなく、おぼつかないものでしたし・・・

グレース・ジョイ Grace Joy
(グレース・ジョイ)
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2015/10/15掲載

■現代語訳『枕草子』
〜表現哲学詩人谷口江里也が翻訳

第17回「市は、辰の市」  
市は、たつの市、さとの市、海石榴(つば)市など、大和には市のついた町がたくさんあるけれども、長谷寺にお参りをした人が、必ずのようにこの地に泊るのは、観音さまとのご縁を大切にしたいという、特別の気持があるからだろう。ほかにもこのあたりには、おふさの市や、しかまの市や、もちろん飛鳥の市もある。峰といえば---峰といえば、ゆづる葉の峰、阿弥陀の峰、そしていやたかの峰。原には---原には、みかの原、あしたの原、園原なんていうのもある。淵には---淵には、かしこ淵というのがあるけれども、一体どういう気持で、どなたがそうと教えて、そんな名前になったのだろう。青色の淵なんていうのも面白い。まるで蔵人が着るお召しのよう。ほかにも、隠れの淵や、いな淵なんていうのもあって面白い。海といえば---琵琶湖のみずうみ、与謝の海、そして、かはふちの海。陵には---陵みささぎには、うぐいすの陵、かじはぎの陵、そして、あめの陵などがあって、どれも歌に歌われして風情がある。       

谷口 江里也 谷口 江里也

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2016/07/14掲載

■よりみち〜編集後記  

7月10日の参議院選挙は悪夢を見ているような感じがした。口先だけの野党連合では求心力になりえないとは思っていたが、ここまで自公に惨敗するとは考えてもいなかった。何かが決定的にずれているのだが、その何かが見えてこない。唯一の希望は東京選挙区の三宅洋平氏の当選だったが、6番目の得票数50万票の半分の257,036票しか伸びず9番目で落選となった。憲法改正の発議に必要な全体の3分の2の議席までは届かないと思っていたのだが、あっさりとクリアして自民単独でも過半数を越えてしまった。事前のアンケート(7/9/2016;NHK世論調査)でも憲法改正に賛同する有権者は27%と明らかに安倍政権の憲法改正には懐疑的なはずなのに、自公が完勝した現実は、野党の信頼性の欠如以外にない。いくら安倍ポチ政権の憲法改正の暴走を止めようと声高に叫ぼうが、前政権であった民主党政権時代の経済の停滞や政治的混乱を繰り返されては堪らんと、消去法で自公に票が集まったとしか思えない。

よりみち 「のらり」編集部

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  ■フロンティア時代のアンチヒーローたち [全151回] 〜西部アウトロー列伝 Part1:Butch Cassidy(ブッチ・キャサディ)
佐野 草介
佐野 草介
■グレートプレーンズのそよ風 [計28回] 〜アメリカ中西部今昔物語
Grace Joy(グレース・ジョイ)
グレース・ジョイ
■貿易風の吹く島から [全157回] 〜カリブ海のヨットマンからの電子メール
佐野 草介
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■くらり、スペイン [計94回] 〜移住を選んだ12人のアミーガたち、の巻/〜イベリア半島ふらりジカタビ、の巻
湯川 カナ
湯川 カナ
■拳銃稼業 [全58回] 〜西海岸修行編
中井 クニヒコ
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■現代語訳『風姿花伝』 [全63回]
 〜世阿弥の『風姿花伝』を表現哲学詩人谷口江里也が現代語に翻訳

谷口 江里也
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■随想『奥の細道』という試み [全48回]
 〜谷口江里也が芭蕉を表現哲学詩人の心で読み解くクリエイティヴ・トリップ

谷口 江里也
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■鏡の向こうのつづれ織り [全24回] 〜谷口江里也のとっておきのクリエイティヴ時空  
谷口 江里也
鏡の向こう
■もう一つの世界との対話 [全24回] 〜谷口江里也と海藤春樹のイメージトリップ  
海藤 春樹_人形_IMAGES 谷口 江里也_詩_TEXT
もうひとつの世界
■岩の記憶、風の夢 [全57回] 〜my United Stars of Atlantis
谷口 江里也
岩の記憶

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