のらり 大好評連載中
2019/02/21掲載

■新・汽車旅日記
~平成ニッポン、いい日々旅立ち
 
第681回「復興の街 - 石巻線 石巻~女川 -」
 up
石巻駅に13時15分に着いて街を歩いた。仙石東北ラインの接続線、仙石線の付け替え区間に乗る目的は果たした。引き返してもいいけれど、ここまで来たら女川まで行きたい。次の女川行きは14時22分だ。1時間と少し。そういえば、前回、焼きたてパンの店に寄った。行ってみよう。アーケード街を進んだ先で、たしか店構えは緑色。スターバックスに似た感じ、と思っていた。しかし、歩道の上にかかっていたアーケードは取り払われ、緑の店は見当たらない。パン屋はあった。オレンジ色の屋根、オレンジとクリーム色のレンガタイルの壁。この形は覚えている、この店だ。店内の佇まいも記憶と同じ。店員に聞くと、被災から建て替えて、ずっとこの色。緑だったことはないという。記憶なんてアテにならない。特にワタシの記憶は信頼できない。なぜか色だけがすり替わっている。

杉山 淳一

杉山 淳一  

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2019/02/14掲載

■店主の分け前
~バーマンの心にうつりゆくよしなしごと
 
第367回「流行り歌に寄せて No.172 「新宿そだち」~昭和42年(1967年)」  

今回は少しグループサウンズから離れて、典型的とも言える昭和歌謡のデュエット曲をご紹介したい。 以前、このコラムにも何度か書いたが、私が独り暮らしを始めるために、上京して最初に降り立ったのが新宿駅である。愛知県の春日井市にある神領駅から中央西線で名古屋駅、そこから新幹線のひかりに乗って東京駅、そして国電の中央線に乗り換えて新宿駅。昭和49年の9月のことだった。 まさに、絵に描いたようなお上りさんだった私は、国電から西武新宿線に乗り換えるのに高田馬場駅で乗り換えできることを知らず、同じ新宿だからすぐに連絡できるだろうと国電の新宿駅に降り立ち、西武新宿駅に向かった。 重い荷物を抱えて歌舞伎町を歩き、「こんな街に呑まれてしまったら、僕なんかひとたまりもないな」と怯えながらつぶやいたものだった。

金井 和宏

金井 和宏  
 
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2019/02/21掲載

■イビサ物語
~ロスモリーノスの夕陽カフェにて
 
第56
回「ルーシーさんと老犬アリスト」 up
シーズンオフの冬場、数年間ルーシーさんが老犬アリストの世話をしてくれた。アリストはこのロスモリーノス界隈では知らぬ者がいない有名な犬だったし、私もアリストを鎖で繋いだことがなかったから、アリストは一種の共同体の犬と言ってよいと思う。アリストの方もいたって自由気ままにあちらこちら歩き回り、馴染みの家に出入りしていた。 アリストの正確な年齢は分からないが、おそらく15歳にはなっていたと思う。口の周りが白くなり、毛の艶もなくなり、汚れたベージュ色になっていた。それに老犬臭とでも言うのだろうか、いくら洗ってやっても腐った肉のような匂いが取れなくなっていた。また、ボクサーの常とはいえ、口の脇から垂らすヨダレの量が半端でなくなり、それを頭をブルブルっと振ることで周囲にまき散らすのだ。

佐野 草介

佐野 草介 

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2019/02/21日掲載

■亜米利加よもやま通信
~コロラドロッキーの山裾の町から
 
第597
回「立ち小便は日本の伝統芸?」 up
何度かこのコラムで触れていますが、うちのダンナさんは日本人です。というか、元日本人らしい仙人です。日本の文化伝統的な禅、茶の湯、神道などには全く見向きもしないのですが、時折、ヤオラこれが日本の伝統だと…、奇妙なところで、日本的習慣を披露することがあります。 その日本の伝統芸の最たるものが“立小便”なのです。まるで犬が自分の領域を誇示するためにあちらこちらそこいらじゅうにオシッコをかけるように、うちのダンナさんは所構わず“日本の伝統芸”を披露するのです。私は若かりし頃、大阪郊外の吹田市に住んでいたことがあります。初めての外国、日本で生活を始め、カルチャーショックを受けたのが通勤電車内での居眠りと立小便です。当時の駅のトイレは、そこにそんな設備があるというだけのことで、目が潰れそうな臭気が漂い、まるで水鉄砲でオシッコのカケアイ戦争でもした後のようでした。また、すぐそこに、近くにそれなりの設備があるのに、公衆便所に入らず、入り口の柱や壁にかけている御仁が…

グレース・ジョイ

Grace Joy  
(グレース・ジョイ)
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2019/02/14掲載

■ギュスターヴ・ドレとの対話
~谷口 江里也
 

第4回「自ら切り拓いた道」 

これはあなたが1861年に発表した『神曲 地獄篇』の冒頭の版画です。人生のなかばに、生きるべき道を見失い深い森に迷い込んだダンテが、森のあまりの暗さに恐れながらも、森の奥に向かって意を決して歩み始める場面です。そこからダンテは冥界への不思議な旅をします。 考えてみればあなたも壮大な野望を胸に秘めて、この作品を手始めに、それまで誰も試みたことのない道を果敢に歩み始めたのでした。幼い頃すでに、ダンテの神曲などの古典文学の世界をことごとく絵に表すのだという夢を抱いていたあなたは、30歳を目前にした29歳の時に、その夢の実現に具体的に着手したことになります。ここで壮大な野望と敢えて記したのは、単にこれから展開することになるあなたの試みが、あまりにも壮大で途方も無い労力と創造力を必要とするものだからというだけではありません。そこにはいくつかの、視覚表現の歴史ということを考えるならば、まさに画期的でラジカルな野望(*ヴィジョン)が秘められていたからです。あなたがその革新性を明確に、あるいは戦略的に…

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谷口 江里也 

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2019/02/07掲載

■よりみち~編集後記  

日本の劣化がヒドイ。政治家の劣化は以前から言われてきたことで驚きもしないのだが、経済の劣化も近年激しく、Japan as No.1などと誉めそやされていた時代がかつてあったことなど信じられないほど、欧米諸国にも、アジア新興諸国にも遅れをとり始めている体たらくぶりだ。その昔、世界のトップ企業の常連であった日本の企業はほとんど姿を消してしまい、12位になんとかトヨタ自動車が滑り込んでいるだけだ(三菱UFJFグループ37位、ソフトバンク39位、NTT46位、本田技研58位、三井住友Fグループ59位;参考:Forbs Japan)。この政治、経済の劣化だけでなく、問題はさらに深刻になってきており、日本のあらゆる分野で劣化が顕在化しているのだ。どうも日本には、バブル時代(1980年代後半から1990年代初頭の好況期)の清算がしっかりされてこなかったツケが今頃になって回ってきているように思えてしまう。バブル崩壊後に続いた経済低迷期に、経済立て直しに必要な強力な政治リーダーが結局出現せず、揚げ足取りの短期政権ばかりが続くばかりで、政治改革どころか…

よりみち

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