のらり      大好評連載中   
 
2014/04/17掲載

■新・汽車旅日記
〜平成ニッポン、いい日々旅立ち
 
第508回「夕暮れの梅 - 高松琴平電鉄琴平線 -」  

長尾寺をひとめぐりして長尾駅に向かう。腹が減っているけれど、駅の周辺に飲食店がない。うどん屋も見つけられない。うどん県はコンビニよりうどん屋のほうが多いという話ではなかったか。八十八ヶ所のお寺につき、ひとつやふたつのうどん屋があってもいいはずだ。お遍路さんたちの食事はどうする。宿で握り飯を包んでもらう習わしだろうか。『カラオケ お好み焼き 定食500円』という看板があった。どこか寂しそうで、落ち着きもなさそうだ。空腹もまた良し。ゆるい足取りで、長尾駅には14時30分ピッタリに着いた。時刻表を見ると2分前に列車が出て行ったばかりだ。20分間隔の運行で、次の発車時刻は14時48分。なんと、当初の予定通りになった。これは良いことだ。カーナビのルートに適帰したような、ホッとした気持ちになる。駅前のベンチに座り、携帯端末をいじって時間をつぶす。その画面にときどき水滴が落ちる。また雨が降り出した。私は帰りに金比羅様へお参りしようと思っている。長い階段がある。カッパか帽子がほしい。

杉山 淳一

杉山 淳一 

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2014/04/10掲載

■店主の分け前
〜バーマンの心にうつりゆくよしなしごと
 
第255回「流行り歌に寄せて No.65 「アカシアの雨がやむとき」〜昭和35年(1960年)」
 
西田佐知子は、私の最も好きな女性歌手の一人である。いわゆるノン・ビブラートと呼ばれる抑揚を押さえた歌い方は元より、クールな顔立ちも含めて、彼女の虜だとも言える。だから舞い上がって、彼女の礼賛に終始する文章にならぬよう自戒しながら、このコラムを書いていくのに一苦労するほどである。西田佐知子は、昭和14年1月9日、大阪市城東区に生まれる。高校時代の昭和31年の9月、『伊那の恋唄』という曲で日本マーキュリーから「西田佐智子」という名前でデビューする。昭和33年には日本コロムビアに移籍。「浪花けい子」の名前で何曲かを吹き込んでいるが、この芸名、当時ご本人はどう思われたのだろうか、一度聞いてみたい気はする。そして昭和34年、今度はポリドールに移って、西田佐智子名義に戻り、『夜が切ない』を発売した。この『アカシアの雨がやむとき』は、昭和35年に発表されたポリドール移籍後4曲目の曲だが、当時は普通に行なわれていた、A面B面別の歌手による吹き込みで・・・

金井 和宏 金井 和宏 

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2014/04/17掲載

■フロンティア時代のアンチヒーローたち
〜西部アウトロー列伝 Part 5
 
第82回「ジェシー・ジェイムス〜創られた英雄 その82 最も敬愛されている盗賊 

ジェイムス&ヤンガー兄弟に、アーサー・マコイを加えた5人組がルイジアナ州から北上し、ミズーリーの州境に舞い戻ってきたのは、年も明けた1875年の1月末のことだった。 足取りがはっきりしているのは、1月30日にミルスプリングにあるギルブレース夫人(Mrs. Gilbreath)の旅籠に泊まっているからだ。彼女は一行が重装備、大型のリボルバー拳銃に、ライフル、ダブル銃口ショットガン、大きくて立派な馬を持っていたことに驚いている。おまけに乗り換え用の予備の馬まで引いていた。いくらこの時代でも、そのような重装備に身を固めて旅行する人は珍しかった。宿の中でも、彼らは詳しい地図を広げ、コンパス(磁石)でなにやら仔細に検討していたのが印象的だったとギルブレース夫人は語っている。5人組は『恐怖の5人組(Terrible Quintet)』としてミズーリー州内に宣伝され、知れ渡っていたが、まだド田舎の旅籠までは伝わっていなかったのだろう。翌日、彼らはアイロン・マウンテン鉄道が走るガッズヒルに向かった。

佐野 草介 佐野 草介 

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2014/04/17掲載

■亜米利加よもやま通信
〜コロラドロッキーの山裾の町から
 
第358回「親切なのか、それとも騒音なのか?」 

クロアチア領土の"ハヴァール"という島にいます。アドリア海に浮かぶヴァカンスの島ですが、夏のハイシーズンになる前のアパートをとても安く借りることができたので、暫くはこの島で過ごすことにしました。ここは、それはそれは静かな島です。聞こえてくるのは、岩の海岸に打ち寄せる波の音と小鳥の鳴き声だけです。夜、最大の騒音は、冷蔵庫が始動する時のブルルンと震える響きです。静かもなにも、この島に渡るのさえ全く音なしの構えでした。ハヴァール島に渡るフェリーの桟橋に何の掲示板もなく、もちろんアナウンスもありません。一体どうやってアドリア海に沢山ある島の中から目的の島に行くフェリーを見つけるのかが問題でした。切符売り場のお姉さんは、第4桟橋に行けば分かると教えてくれましたが、その第4桟橋なるものが一体どこにあるのか、沢山停泊しているフェリーの乗組員に訊いても、誰も知らないのです。目的の島の名前、ハヴァール、ハヴァールを連発し、やっと最後尾に泊まっているカタマランらしいと見当をつけましたが、ハヴァールという細長い島の両端と中央に三つの港があり・・・

グレース・ジョイ Grace Joy
(グレース・ジョイ)
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2014/04/17掲載

■現代語訳『方丈記』
〜鴨長明の『方丈記』を表現哲学詩人谷口江里也が現代語に翻訳
 
第5回 方丈記  
そのころ、たまたまの用事のついでに、新しい都が置かれた摂津の国に行ってみた。その様子はと言えば、都にするには土地が狭く、区切ってみれば、平安京のように九条の区画をつくることはできず、北には高い山があり、南はすぐに海になってしまうので、いつも波の音が聞こえてうるさく、潮風も激しい。天皇の御殿である内裏は山の中の丸太造りで、むかし天智天皇が皇太子の時に造られたという御殿も、あるいはこのような感じのものだったのかとも思われて、それなりに優雅なものではあった。もとの都では、毎日まいにち家を壊して、その木材をどんどん、川が船でいっぱいになるほどの数の川船に積んで運び出していたが、その木を用いて造った家はどこにあるのだろう。そこやかしこに空き地が目だち、その材で造ったと思われるような家は少なかった。そんなわけで、この新しい都にやってきた人はみな、浮雲のような、これからどうなるかも分らない、たよりない気分でいて、もともとこの地で暮らしていた人たちは、自分たちが住んでいた場所を奪われてしまったことを憂い・・・

谷口 江里也

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2014/03/20掲載

■よりみち〜編集後記  

ウクライナの反政府運動がクリミア自治共和国のロシア併合へと急展開してしまった。ほんの2週間足らずでここまでの変化は誰も予想できなかっただろう。それにしても、ロシアのプーチン大統領の強気の構えには驚かされた。なりふり構わずと言ってもよいほどで、怖いものは何もないとでも言いたげだ。ロシアからすれば、元々クリミア半島はソ連の時代からの領土であり、ウクライナもソ連の植民地であり、ロシア人が支配していた国であり、住民もロシア人ばかりなのに、なぜウクライナの独立でロシアが言いなりになる必要があるのかという論理であり、ロシアの唯一凍らない軍港があるクリミア半島を死守して何が悪いということなのだろう。背景には、EUのロシアの天然ガスの依存度が高いことが大きいようだ。ロシアにへそを曲げられ、ガスを止められたらヨーロッパは成り立たなくなるという切実な問題があり、建前としてはアメリカや国連に歩調を合わせ、ロシアへの経済制裁を打ち出してはいるものの、裏では資源のストップだけは避けたい本音があるため、強硬姿勢を取れないのだ。アメリカにしても同じで、CIAとNSAの元職員、エドワード・スノーデンが1年間の条件付きとはいえロシアに滞在中・・・

よりみち 「のらり」編集部

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佐野 草介
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