のらり 大好評連載中
2020/11/19掲載

■新・汽車旅日記
~平成ニッポン、いい日々旅立ち
 
第727回「神話世界のホルンフェルス - 山陰本線 東萩~益田 -」
 
東萩を発車すると、列車はしばらく市街地を走る。萩の市街は三角州の外側に拡大し、入り組んだ海岸線と中国山地の裾の隙間を埋め尽くしている。そして越ヶ浜駅はその名の通り海沿いにある。ただし車窓に浜らしい様子はなく、民家の屋根越しの向こうは船が並んでいた。マリーナ萩というレジャーボート用の施設だ。駅前マリーナとは興味深い。ここに船を預けて、列車で乗りに来る。もっともレジャーボートのオーナーならクルマで来るだろう。いやまて、東京・大阪からクルマはキツい。飛行機と列車を乗り継いで訪れないか。いや、船上でパーティーをするなら荷物があるし、レンタカーを使うだろう。駅とマリーナのマリアージュは難しそうだ。3階建ての横長のアパート、その隣のホテルは営業していない。「萩たなかホテル」と看板にある。調べてみると、2014年7月に休館していた。バブル経済期はマリンリゾートとして賑わった頃もあっただろうに。悲しい景色が通り過ぎた。列車は右へ曲がって海岸線を離れた。谷に沿って上っていき…

杉山 淳一

杉山 淳一  ※今週休載です

バックナンバー

2020/11/19掲載

■店主の分け前
~バーマンの心にうつりゆくよしなしごと
 
第408回「流行り歌に寄せて No.208 「雨に濡れた慕情」~昭和44年(1969年)」
ついに、ちあきさんの登場である。自分で書いているにも拘らず、私の中では「待ってました!」と思わず声をかけてしまいたくなってしまう。ちあきなおみは、西田佐知子とともに、私が十代、二十代の頃から今日まで変わらず、ずっと大好きだった歌手なのである。私が、生まれて初めて買ってもらったEPレコード、即ちドーナツ盤は、ちあきなおみの『X+Y=LOVE』だった(因みに、SP盤は『月光仮面は誰でしょう』、LP盤は『吉永小百合とともに』である)。最初、彼女の何に惹かれたかといえば、ノースリーブを着て歌った時に見えた、二の腕に残る大きな疱瘡の痕だった。それをテレビで観た時、決して触れてはいけないような大人の色気を感じて、ただドキドキしていた。当時「お色気アイドル路線」で売り出していた頃のことだから、色気を持ち始めた中学生を悩殺するくらいのことは訳はないことだったと思うが、まさか疱瘡の痕にそれを感じられていたとは、気づかなかったかも知れない。とにかく、私は簡単にノックアウトされてしまったのだ。

金井 和宏

金井 和宏  
   
バックナンバー

2020/11/26掲載

■イビサ物語
~ロスモリーノスの夕陽カフェにて
 
第145回「オランダ人のリータ叔母さんのこと」
up
私が初めてシベリア経由の長距離列車でヨーロッパに出かけた時、知識として西欧の国々では、民族と国家が必ずしも一致していないことはボンヤリと知っていた。西欧は遠い存在で、郷里の札幌で西洋人を見かけることはあったが、言葉を交わしたこともなく、“ウワ~、デカイナな~”という印象を持っただけだっだ。高校の時、交換留学生としてアメリカ娘が一人ずつ順繰りで在校していた。どういう理由からか、女子ばかりだったが、彼女らは申し合わせたように、我が同胞の女学生より首ひとつ背が高く、しかもバーンと太めで大きかった。もっとも、当時の食糧事情のせいか、私たち男子にも、女子にも肥満児などは存在せず、揃いも揃ってガリガリに痩せていたから、アメリカ人留学生の体格は一際目立った。 ヨーロッパをヒッチハイクで移動し、ユースホステルを泊まり歩くうちに、自分が抱いていた西欧人のイメージを大幅に修正しなければならなくなった。皆が皆、ハリウッドやフランス映画のスターのような容貌を持っているわけではないこと…

佐野 草介

佐野 草介 

バックナンバー

2020/11/26掲載

■亜米利加よもやま通信
~コロラドロッキーの山裾の町から
 
第685回「あり得ない偶然の出会い」
up
ほとんど可能性のない確率なのに、現実に起こることがあります。私たちがスペインのマジョルカ島でクルージングの準備をしていた時、スペイン人男性ディエゴとオランダ人の奥さんティネカ、そして双子のマリーナ、パロマととても親しくなりました。彼らは鉄の船体を造って貰い、内装、エンジン、マストなど全艤装を自分でヤルという、自作艇に取り組んでいました。彼らはそのヨットで世界一周をする予定でした。ヨットの名は“Tortuga”=“亀”です。のろくても確実に歩み続けることを期待してのことです。私たちは幾度となく一緒に食事をし、一緒にセーリングに出かけたり、楽しい時間をたくさん過ごした最高のヨット友でした。“亀”はディエゴ、ティネカ、そして双子が4、5歳の時に、テストセーリングとして、地中海一周のクルージングに私たちより、今数えると2年ほど早くマジョルカ島を離れました。私たちはメノルカ島、そしてイタリアのサルデーニャ島、そのすぐ北にあるコルシカ島を巡り、イビサ島の小さな湾、プウ・ロッジに…

グレース・ジョイ

Grace Joy  
(グレース・ジョイ)
バックナンバー

2020/11/19掲載

■明日の大人たちのためのお話  
第6回「ギンヤンマのシュンシュン」
シュンシュンは、この夏に池のなかから出て、くうちゅうや、くさばなの上をシュンシュンとびまわることができるようになったギンヤンマです。ギンヤンマはトンボのなかでは大きなトンボです。 トンボは、ギンヤンマもアカトンボもシオカラトンボもイトトンボも、みんな小さいうちは水のなかで、ヤゴという、とてもトンボには見えないすがたでくらします。ヤゴには羽はありませんけれど足はあります。その足で水のなかをうごきまわって、ボウフラやミジンコなどを食べて大きくなります。 池のそこにはどろがありますから、ヤゴはどろとにたような、あまりめだたない色をしています。あまりめだつと魚たちに食べられてしまうからです。さいきん、がいこくからやってきたブラックバスなどの、大きくなるためにたくさん食べる魚がふえてきて、小さな魚やヤゴたちをどんどん食べてしまうので、ギンヤンマはだんだんへってきています。 どうしてがいこくの魚がにほんの池にいるかというと、大きな魚をつってあそびたい人とかが池にはなしたりしたのが、大きくなってふえたりするからです。

elia

谷口 江里也 

バックナンバー

2020/11/26掲載

■よりみち~編集後記  up 
11月26日までの新型コロナウイルスの各国別感染者数(死者数)の推移をまとめました。
covid19_weekly_112620_s
※欧州、アメリカの感染拡大の勢いが止まりません。特にイタリアの死亡者数やロックダウンをしていないスゥエーデンの激増が心配されます。日本も第三波対策を発表しましたが、年末シーズンに向かって効果が出るのか疑問です

よりみち

「のらり」編集部

バックナンバー


【のらり文庫】電子書籍販売中

mail お問合せ・ご意見はこちらから

バックナンバー
インタビュー
jun_gallery


<<佐野 草介の著書>>amazon2
アウトローシリーズ 1
amazon cover
ブッチ&サンダンス
ワイルドバンチの素顔を追って

Kindle版
 
<<佐野 草介の著書>>
アウトローシリーズ 2
amazon2 amazonPO8 Cover
ブラック・バート“PO8”
駅馬車専門の紳士的怪盗

Kindle版

<<佐野 草介の著書>>amazon2
アウトローシリーズ 3
amazonEarp Cover
ワイアット・アープと
OK牧場の決闘の真相

Kindle版

<<佐野 草介の著書>>amazon2
アウトローシリーズ 4
amazonKid Cover
ビリー・ザ・キッド
真実の素顔を追って

Kindle版

<<佐野 草介の著書>>amazon2
アウトローシリーズ 5
amazonjjames_cover
ジェシー・ジェイムス
創られた英雄伝説

Kindle版


<<佐野 草介の著書>>amazon2
アウトローシリーズ 6-10
amazonjyoketsu_s
西部女傑列伝
伝説の女性アウトローたち

Kindle版



<<佐野 草介の著書>>
kindle版
貿易風の吹く島から
カリブ海のヨットマンからの
電子メール

Kindle版


<<Grace Joyの著書>>
joy_coveramazon
グレートプレーンズのそよ風
アメリカ中西部今昔物語

Kindle版


<<谷口 江里也の著書>>
amazon01

ibiza-catamazon
イビサ島のネコ
Los Gatos de Ibiza



<<杉山淳一の著書>>
amazon

amazon01
ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。
日本全国列車旅、
達人のとっておき33選

  フロンティア時代のアンチヒーローたち [全151回] ~西部アウトロー列伝 Part1:Butch&Sandance
 佐野 草介
佐野 草介
グレートプレーンズのそよ風 [計28回] ~アメリカ中西部今昔物語
 Grace Joy(グレース・ジョイ)
グレース・ジョイ
貿易風の吹く島から [全157回] ~カリブ海のヨットマンからの電子メール
 佐野 草介
佐野 草介
くらり、スペイン [計94回] ~移住を選んだ12人のアミーガたち、の巻/~イベリア半島ふらりジカタビ、の巻
 湯川 カナ
湯川 カナ
拳銃稼業 [全58回] ~西海岸修行編
 中井 クニヒコ
中井 クニヒコ
現代語訳『風姿花伝』 [全63回]
 ~世阿弥の『風姿花伝』を表現哲学詩人谷口江里也が現代語に翻訳

 谷口 江里也
谷口 江里也
随想『奥の細道』という試み [全48回]
 ~谷口江里也が芭蕉を表現哲学詩人の心で読み解くクリエイティヴ・トリップ

 谷口 江里也
谷口 江里也
鏡の向こうのつづれ織り [全24回] ~谷口江里也のとっておきのクリエイティヴ時空  
 谷口 江里也
鏡の向こう
もう一つの世界との対話 [全24回] ~谷口江里也と海藤春樹のイメージトリップ  
 海藤 春樹_人形_IMAGES 谷口 江里也_詩_TEXT
もうひとつの世界
岩の記憶、風の夢 [全57回] ~my United Stars of Atlantis
 谷口 江里也
岩の記憶

【のらり】更新ニュースを毎週発行しています。 ご希望の方(不要の方)ご登録ください。サンプル
※注意:現在、ジャンクメール増加のため自動登録を中止しています。こちらから「ニュース希望」とご連絡ください。

更新ニュースの連絡がない場合、掲載の不備、ご意見・ご要望などがありましたらこちらへご連絡ください。