のらり 大好評連載中
2019/03/21掲載

■新・汽車旅日記
~平成ニッポン、いい日々旅立ち
 
第683回「日本一高い地下鉄駅 -仙台市地下鉄東西線 仙台駅~八木山動物公園駅-」
 
約20分の散策で荒井駅に戻った。06時30分。誰もいないコンコース、いや、女性がひとり、ベンチに座ったまま寝ている。ラメの入ったハイヒール。ピンク色のワンピースに芥子色のコート。襟に大きなファーを巻いている。彼女も結婚式の二次会帰りか。幸せな夢を見ている様子。駅舎の2階は展示施設があるらしいけれど、この時間はまだ空いていない。屋上庭園があるらしい。しまった。そうと知っていれば、あとから来れば良かった。地下のプラットホームで電車を待つ。06時37分発の電車は、運転席の窓ガラスに水滴が付いている。車庫に屋根がない証拠である。また雨が降り出したらしい。電車は私だけ乗せて出発する。仙台駅に近づくにつれて、すこしずつ乗客が増えてくる。そして仙台駅でどっと降りる。都心を貫く地下鉄の典型的な旅客傾向であった。地下鉄といっても、たいていの地下鉄に地上区間はある。地下鉄だから景色は見えない。

杉山 淳一

杉山 淳一 ※今週も休載します

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2019/04/18掲載

■店主の分け前
~バーマンの心にうつりゆくよしなしごと
 
第371回「流行り歌に寄せて No.176 「伊勢佐木町ブルース」~昭和43年(1968年)」 up
伊勢佐木町四丁目のイセザキモールにある、グランドピアノを象った『伊勢佐木町ブルース』の歌碑の五線譜には、あの有名な 『アァ アァ』というため息の部分、二分休符記号の上に括弧書きで、ただ(タメ息)と書かれているだけである。川内康範の発案で、実にユニークな形でため息を曲の中に入れたこの名曲も、当時は「お色気過多」と考える人も少なくなかったようだ。2年ぶりに第2回出場を果たしたこの年の『第19回NHK紅白歌合戦』では、ため息部分を「カズー」という膜鳴楽器の一種を紅組司会の水前寺清子や、佐良直美など、他の出場者数人が吹いてその代わりとした。まだ中学1年生の私にも、その光景は奇妙に映った。白組司会の坂本九は「ダチョウのため息ですか」と表現した。それから14年後の昭和57年『第33回NHK紅白歌合戦』で再びこの曲を披露した時は差し替えが行なわれず、ため息を聴くことができた。

金井 和宏

金井 和宏 
   
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2019/04/18掲載

■イビサ物語
~ロスモリーノスの夕陽カフェにて
 
第64回「サン・テルモのイヴォンヌ その2」
 up
イヴォンヌが作り上げたメニューは、レストランに関わる者なら誰しもそうありたいと思うような簡素なものだった。メインディッシュは5種類のみ、それを大量に売りさばくのだ。次元は違うがラーメン屋が味噌、醤油、塩ラーメンの3種類だけで勝負しているように、イヴォンヌのフランス料理もフレミニヨン、1年モノの若牛の背肉のペッパーステーキ、ニューヨークカットのような骨付きの厚切り肉にイビサの薬草を振りかけたステーキ、豚もポークチョップのみで塩、胡椒だけ、タルタルステーキ、後は毎日の日替わりメニュー、本日のお薦め料理で、クスクス、ブイヤベース、ラムチョップ、コルドン・ブルー、魚介類プレートで、付け合せの野菜のごった煮は日々変わる。それにベルギー産のジャガイモを丸焼きにしたベイクドポテトを添えて出すのだ。 メニューを絞り、仕入れの無駄をなくし、調理場を簡素化させて効率よく材料を切り盛りさせているのだ。

佐野 草介

佐野 草介 

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2019/04/18日掲載

■亜米利加よもやま通信
~コロラドロッキーの山裾の町から
 
第605回「日本と世界の浮気事情を比べてみる」
 up
古来、人間が生きている限り、種の保存を計らなければなりません。 アダムにとってイヴ一人しか愛情を注ぐ相手がいなかった時と違い、今では選択の余地がたくさんありすぎて、対象を絞るのが難しくなり、国家公認で結婚した後でも、アレッ、もっと良い選択肢があったのではないか? と、実際にはあり得ない幻想を抱き、浮気、本気に走るのでしょう。 一夫多妻を許している国、宗教がまだあるにはありますが、近代社会ではだんだん肩身が狭くなりつつあります。離婚社会のアメリカは、時間的に引き伸ばした一夫多妻、一妻多夫の国です。一生の間に何人かの奥さん、旦那さんを体験するのですから、たとえ同時進行でなくても、一夫多妻、一妻多夫だと言ってよいでしょう。ヘンリー8世が6人の奥さんを次々と取り換え、前の奥さんを牢屋に入れたり、首をちょん切ったりした伝統をハリウッドが引き継ぎ、何かにつけハリウッドに憧れているアメリカ人が…

グレース・ジョイ

Grace Joy  
(グレース・ジョイ)
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2019/04/11掲載

■ギュスターヴ・ドレとの対話
~谷口 江里也
 

第8回「美しい悪魔」 

ジョン・ミルトン(1608~1674)の『失楽園』は不思議な物語です。何しろ主役が、キリスト教の世界でもっとも忌み嫌われるべき悪魔(サターン)です。この物語は基本的には、人間がどうして楽園であるエデンの園を追い出されることになったのかという顛末を巡る物語ですけれども、同時に、天界にあって美しく光り輝く天使と呼ばれたルチフェルが、どうして地獄に堕とされることになったのか、どうしてサターンと呼ばれるようになったのかということを軸に物語が展開されます。つまり『失楽園』は、二つの意味での楽園喪失の物語だとも言えます。人間がエデンを追い出されたのは、決して採って食べてはならないと神から言われていた知恵の木の実を食べたからで、その罰として、食べるものに困ることのないエデンを出て、自分の手で食べ物を得なくてはならなくなってしまったというわけです。一方、明けの明星(ルシファー)としても知られる大天使ルチフェルは、天界にあって最も美しかった…

elia

谷口 江里也 

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2019/04/04掲載

■よりみち~編集後記  
あと1ヶ月弱で「平成」という時代が終わりを迎える。4月1日に発表された新元号「令和」については、「平成」に替わった時よりもインパクトがないように思えた。想像もしていなかった「令」の文字に戸惑ったからだ。「令」の意味として、命令、言いつける、勅令、法律、規則、長官、お告げ、戒め、教え、もし、良い、立派、などがあるようだが、どうしても「命令」「勅令」「法律」のように「言いつける」という意味合いにイメージが集中してしまい、「令和」が平和を上から目線で法制化したい安倍晋三という存在にイメージがダブってしまい、素直に良い元号だと評価できない自分がいた。そして、今まで前例がない総理大臣による談話により、新元号制定の意味合いが国民に説明されるというパフォーマンスまで披露されたわけで、その内容の最も強調したい点が、従来の元号制定で慣例となっている中国の故事や文献から抽出した言葉でなく、初めて日本独自の故事から抽出した元号であることだった。日本最古の和歌集とされる『万葉集』の中の一節からとられているようだが…

よりみち

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