のらり      大好評連載中   
 
2014/04/24掲載

■新・汽車旅日記
〜平成ニッポン、いい日々旅立ち
 
第509回「憧れの宇高航路 - 四国フェリー -」  

高松築港駅を出て、お城の敷地を回り込むように歩く。石垣の上、白い建物がライトアップされている。天守ではなく北の丸の月見櫓とのこと。高松城の天守は明治時代に解体された。復元の動きがあるけれど、資料が少ないという。月見櫓を通り過ぎると明るい建物、四国フェリーのターミナルビルがある。黄色地に赤文字。閉店セールでやけくそ気味なバッタ屋のようだ。これだけ目立てば、明日の朝に迷わないだろう。私は夕食になぜか徳島ラーメンを食べて、ホテルにチェックインした。高松駅に近くの安いビジネスホテルは最悪な宿だった。宿泊予約サイトでは、「設備は古いが立地はよく、24時間出入り自由」という評価だった。これは早朝に出発する私にとって都合がよかった。ただし、早朝出発するために早寝しようと思ったら、とにかく騒がしい。扉をバタバタと開閉する音、廊下を走り回る輩。毛布を被ってもどこかの部屋の話し声が聞こえる。若い声だが子供ではない。卒業旅行の大学生かもしれない。

杉山 淳一

杉山 淳一 

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2014/04/24掲載

■店主の分け前
〜バーマンの心にうつりゆくよしなしごと
 
第256回「流行り歌に寄せて No.66 「潮来花嫁さん」〜昭和35年(1960年)」
 
私が小学生の頃、病院に診察に行ったときに見ていた『アサヒグラフ』や『毎日グラフ』に、よく"水郷"の写真が掲載されていた。自分たちは普通に道路を歩いたり、バスに乗ったりして気楽に移動できる。けれども、水郷と呼ばれる土地に住む人々は、いちいち船で移動するのだから、それは大変なことだと思ってみたり、反面そんな生活も一度はしてみたいなと憧れたりしていたのである。この歌が歌われていた頃は、利根川下流域から霞ヶ浦にかけて、千葉県香取市、茨城県潮来市あたりの低湿な地域では、江間(えんま)と呼ばれる水路が縦横に張り巡らされていて、水田や一般生活の用水路として利用されていたらしい。また前述の人の移動や、荷物の運搬にはその江間の水上で"サッパ舟"と呼ばれる舟が使われていた。その名前の由来は、―の形が笹の葉の形に似ていることから、田圃の端で作業する舟の田っ端(タッパ)舟が変化して、作場田(サクバタ)舟が訛って、という三説があるらしい。

金井 和宏 金井 和宏 

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2014/04/24掲載

■フロンティア時代のアンチヒーローたち
〜西部アウトロー列伝 Part 5
 
第83回「ジェシー・ジェイムス〜創られた英雄 その83 ピンカートン探偵社登場 

恐怖の5人組は西に向かって逃走した。一団とならずに二騎が先行し、およそ100メートル遅れでもう二人、さらに50メートルほどの距離を置いて一人が予備の馬を曳きどん尻を勤め、一網打尽になる危惧を避けて行進した。その上、街道を避け、南ミズーリーを覆っているブッシュ、深い森の中を進んでいた。2月1日には人里離れたカレント川沿いにあるクック夫人の家に押し入り、夕食を作らせ腹ごしらえをし、翌2日の早朝、さらに西に向かった。この逃走の模様は、もちろんギャング団は何も語っていないのだが、いかにもこの逃走行に同行したかのようにゴシップ新聞が書きたてている。それは列車強盗団の逃亡というより、紳士、騎兵団の行軍のようで、クック夫人の一宿一飯の世話にも、途中のどのような店や宿にも過分な支払いをし、丁寧にお礼を述べた…とある。当然、即座に追跡団が組織された。しかも、例によって大々的な規模で村のボランティア勇士が主力だった。このように訓練が全く行き届いていない血気に逸る・・・

佐野 草介 佐野 草介 

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2014/04/24掲載

■亜米利加よもやま通信
〜コロラドロッキーの山裾の町から
 
第359回「ゴミを出さない、造らないライフスタイル

アドリア海に浮かぶハヴァール島に来て10日になります。ゴミだらけの悲惨な状態だったプエルトリコ、狭い旧市街の片隅や砂浜にゴミが目立ったイビサ島、中国からの流れてきた??と現地の人がこぼしている沖縄の海岸のゴミ、それに私たちが訪れたカリブの島々に比べ、この島は驚くほどきれいです。大きな川がどこにもないので、内陸から汚い水やゴミが海に流れ出すことが少ないということもあるでしょう。でも、それ以上に島の人たちが自分の家の庭だけでなく、公共の道路や海岸をきれいに保とうといつも掃除しているから、こんなにきれいな町並み、海岸を保つことができるのでしょう。ホウキを手に道路を掃いている人の姿をよく目にします。10日経って驚いたことですが、私たちがゴミバケツに溜めるゴミも、小さなビニールの袋一杯分にもならないのです。ココへ来る前に日本で友達の2階を借りて、自炊していましたが、その時のゴミの量の多さに比べると、5分の1いや、10分の1以下でしょう。日本ではゴミの分類がうるさく、なかなか一生懸命リサイクルを試みていると感心していました。

グレース・ジョイ Grace Joy
(グレース・ジョイ)
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2014/04/17掲載

■現代語訳『方丈記』
〜鴨長明の『方丈記』を表現哲学詩人谷口江里也が現代語に翻訳
 
第5回 方丈記  
そのころ、たまたまの用事のついでに、新しい都が置かれた摂津の国に行ってみた。その様子はと言えば、都にするには土地が狭く、区切ってみれば、平安京のように九条の区画をつくることはできず、北には高い山があり、南はすぐに海になってしまうので、いつも波の音が聞こえてうるさく、潮風も激しい。天皇の御殿である内裏は山の中の丸太造りで、むかし天智天皇が皇太子の時に造られたという御殿も、あるいはこのような感じのものだったのかとも思われて、それなりに優雅なものではあった。もとの都では、毎日まいにち家を壊して、その木材をどんどん、川が船でいっぱいになるほどの数の川船に積んで運び出していたが、その木を用いて造った家はどこにあるのだろう。そこやかしこに空き地が目だち、その材で造ったと思われるような家は少なかった。そんなわけで、この新しい都にやってきた人はみな、浮雲のような、これからどうなるかも分らない、たよりない気分でいて、もともとこの地で暮らしていた人たちは、自分たちが住んでいた場所を奪われてしまったことを憂い・・・

谷口 江里也

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2014/03/20掲載

■よりみち〜編集後記  

ウクライナの反政府運動がクリミア自治共和国のロシア併合へと急展開してしまった。ほんの2週間足らずでここまでの変化は誰も予想できなかっただろう。それにしても、ロシアのプーチン大統領の強気の構えには驚かされた。なりふり構わずと言ってもよいほどで、怖いものは何もないとでも言いたげだ。ロシアからすれば、元々クリミア半島はソ連の時代からの領土であり、ウクライナもソ連の植民地であり、ロシア人が支配していた国であり、住民もロシア人ばかりなのに、なぜウクライナの独立でロシアが言いなりになる必要があるのかという論理であり、ロシアの唯一凍らない軍港があるクリミア半島を死守して何が悪いということなのだろう。背景には、EUのロシアの天然ガスの依存度が高いことが大きいようだ。ロシアにへそを曲げられ、ガスを止められたらヨーロッパは成り立たなくなるという切実な問題があり、建前としてはアメリカや国連に歩調を合わせ、ロシアへの経済制裁を打ち出してはいるものの、裏では資源のストップだけは避けたい本音があるため、強硬姿勢を取れないのだ。アメリカにしても同じで、CIAとNSAの元職員、エドワード・スノーデンが1年間の条件付きとはいえロシアに滞在中・・・

よりみち 「のらり」編集部

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佐野 草介
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