のらり      大好評連載中   
 
2014/10/16掲載

■新・汽車旅日記
〜平成ニッポン、いい日々旅立ち
 
第526回「
ふたりの海幸彦 - 特急・海幸山幸2 -」 
観光特急“海幸山幸”は10時06分に宮崎駅を発車した。南宮崎駅で日豊本線と別れ、田吉駅の先で宮崎空港線と別れた。ここまではさっき通った線路の後戻り。ここから先、志布志までが日南線。私にとって未乗の区間だ。未乗区間に乗るだけでも嬉しい上に、JR九州名物の観光列車の旅ができる。一石二鳥である。“海幸山幸”の列車名は“山海の珍味が盛りだくさん”という意味ではない。この地方に伝わる“海幸彦、山幸彦”の神話に因んでいる。紹介するには長い話だ。簡単に言うと兄弟喧嘩と仲直りの話である。海で魚を獲っている兄と山で獣を獲っている弟がいて、気まぐれに山と海を交換してみたけれど、どちらもうまくいかず、弟は兄の釣り針をなくしてしまう。兄は弟を許さず、弟は針を探して家出したのち結婚。針を見つけて里帰りすると兄はまだ怒っている。弟は嫁の父にもらった道具で兄を撃退し、兄は弟に忠誠を誓う。長男の私は海幸彦が気の毒で仕方ない。大事な釣り針をなくした弟が悪い。家出したと思ったら、きれいな嫁さんをもらって帰ってきて、その嫁の家族の道具でいじめられる。理不尽である。そういえば風ちゃんも長男だ。

杉山 淳一

杉山 淳一 

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2014/10/09掲載
■店主の分け前
〜バーマンの心にうつりゆくよしなしごと
 
第267回「流行り歌に寄せて No.77 「北上夜曲」〜昭和36年(1961年)」
 
やはらかに柳あおめる/ 北上の岸辺目に見ゆ/ 泣けとごとくに/ 岩手県岩手郡岩手町の『弓弭(ゆはず)の泉』を水源とし、岩手県内を北から南へ流れ、最後は宮城県石巻市の海に注がれる北上川は、上記の通り、啄木に歌われたのを始め、いろいろな場面で名前が出てくる、最上川、阿武隈川などとともに東北を代表する河川である。濁らずに「きたかみ」と読ませる。 この『北上夜曲』は、長い間作詞・作曲者が分からないまま愛唱されてきたが、この曲が何人かによってレコーディングされた昭和36年、ようやく作者が名乗り出る。 作詞の菊地規(のりみ)は、岩手県江刺市(現在の奥州市江刺区)出身、作曲の安藤睦夫は、岩手県種市町出身である。彼らが名乗りを上げる丁度20年前の昭和16年、当時、旧制水沢農学校生で18歳であった菊地から詞を受けた、当時、旧制八戸中学生で17歳の安藤が曲をつける。菊地が、「北上川のささやき〜今はなき可憐な乙女に捧げるうた」と題した歌詞だった。 日中戦争から太平洋戦争へと向かう、いわゆる暗い時代に、しかも十代の青年たちによって作られた歌ということで、それが判明した当時は・・・
金井 和宏 金井 和宏

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2014/10/16掲載

■フロンティア時代のアンチヒーローたち
〜西部アウトロー列伝 Part 5
 
第108回「ジェシー・ジェイムス〜創られた英雄 その108 ミネソタ、ノースフィールド 

南北戦争後11年経った1876年は、アメリカ史上特筆される事件が相次いだ。元北軍派、奴隷解放派が牛耳っていた合衆国政府が、根強く残った南部勢力を排除できず、経済的な破綻を来たし始めたのだ。恐慌の暗雲が全米を覆い始めた。1876年6月25日、西部史上特筆される事件、カスター中佐(ジェイムス・アームストロング・カスター)の率いる第7騎兵隊、700名がクレイジーホース・シティングブルが率いるシャイアン、アラパホ族などの連合軍の前に全滅に近い敗北を帰した事件が起こっている。リトルビッグホーン川の会戦である(インディアンはこの川、クリークをグリーシーグラスと呼んでいる)。モンタナ州の緩やかな丘陵地は、今、観光地として賑わっている。そして、もう一つの事件はミネソタ州のチッポケな田舎町、ノースフィールドがアウトロー史の舞台になった。ミネソタ州はミズーリー州の北に隣接するアイオア州のさらに北にある、純然たる北軍派の州である。ミネソタの北はカナダに接している。ノースフィールドは、アイオア州との州境からさらに直線距離で70マイルほど北、州都セントポールの南西50マイルの距離にある。

佐野 草介 佐野 草介 

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2014/10/16掲載

■亜米利加よもやま通信
〜コロラドロッキーの山裾の町から
 
第385回「幼児化した文化? コンサート衣装考」
  
札幌郊外の団地、駅前の高層アパート(日本流に言うなら「マンション」ということになるのでしょうね)に仮住まいしています。買い物にとても便利なところで、エレベーターを降りれば1階がスーパーマーケットですし、50メートル離れたところに別に二つのスーパーマーケットがあります。そして、歩いて1分の駅に隣接した図書館と400席余りのコンサートホールがあるのです。その図書館とホールの間にある広いロビーで、ランチタイム・コンサートも開かれますし、ホールでも地元の音楽家、コーラスグループのリサイタル、ピアノ教室の発表会から札幌交響楽団やNHK交響楽団、室内楽まで幅広いプログラムが催されます。私たちは何でもかんでもといった感じで、そのホールに何かあるたびに通っています。私が驚き、呆れるのは衣装です。バレーの発表会では、ヨチヨチ歩きの子供たちからオバサンクラスまで、曲に合った(体型と技術にでありません)衣装を身にまとうのは良いのですが、ピアノ、ヴァイオリンなどのリサイタル、発表会でも・・・

グレース・ジョイ Grace Joy
(グレース・ジョイ)
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2014/10/16掲載

■現代語訳『方丈記』
〜鴨長明の『方丈記』を表現哲学詩人谷口江里也が現代語に翻訳
 
第15回 方丈記  
たまたま聞き及ぶ都の便りによれば、どうやら、私がこの場所に移り住んできてから後に亡くなられた、高貴な方々がずいぶんといらっしゃるらしい。だとしたら、そういう身分にはない、名もない人々が、どれほどたくさんこの世を去っていかれたかなど、知るよしもないことだろう。たび重なる火災で家が燃えてしまった人も、どんなにいるだろうと思うけれども、この私の、粗末なつくりの庵に限っては、静かでのどかなばかりで、火事などとても起こりそうにない。いくら狭いとはいっても、夜に寝るために横になる所には木の床があり、昼のあいだ座って書物を読んだりする場所もある。自分一人が寝起きするにはまったく不足などない。ヤドカリは、自分の体に合った小さな貝を好んで家にするけれども、これはヤドカリが物事を良く知っているからだと思える。私も同じように、物事の道理を知り、この世の中で生きて行くということがどういうことかを良く知ったならば、余計なことを願ったりせず、あくせくしたりもしないだろう。

谷口 江里也

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2014/07/17掲載

■よりみち〜編集後記  

ブラジルで開催されたFIFAワールドカップは、準決勝でのブラジルの世紀の大敗(7−1でドイツに完敗)と、それと対照的で見事なゲームを展開した決勝ドイツVSアルゼンチン戦は、1−0でドイツの勝利で幕を閉じたのだが、いつもワールドカップの試合を見る度に、自分の中に流れる血にもナショナリズムが宿っていることを知らされるのだが、まさに国旗を背負った選手たちが死に物狂いでボールに向かい、自分の祖国のためにゴールをひたむきに狙う姿は、人々に文句なしの感動を与える。試合後に負けた国の選手に歩み寄り互いの健闘を讃え合い、相手を慰める姿にスポーツマンシップの素晴らしさを感じる瞬間である。あり得ない話だろうが、イスラエルとパレスチナが、今も続く爆撃やミサイル攻撃を中止して、武器をすべて捨てて、サッカーで思う存分フェアプレイの試合でケリをつけられたら、どんなに平和な社会になるだろうと夢想してしまう。試合終了後、互いに相手の健闘を讃え合い、次の試合は負けないぞと、笑顔で握手することができたならどんなに素晴らしい未来が見えてくるだろう。夢とは分っていても、希望は捨て去ることができない。

よりみち 「のらり」編集部

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