のらり      大好評連載中   
 
2015/08/20掲載

■新・汽車旅日記
〜平成ニッポン、いい日々旅立ち
 
第560
回「石巻線マンガッタンライナー - 石巻線 石巻〜浦宿 -」  
石ノ森萬画館は震災前に訪れて見学済みだ。あの時は上層階の食堂でキレンジャーのカレーライスを食べた。テーブルの横の窓から街並みを見下ろせた。そこからの景色を見たいし、マクロス展も気になる。後ろ髪を引かれる思いで駅に戻る。その帰り道に見覚えのあるビルがふたつ。明治時代というか、大正ロマン風の建物だが健在である。街並みは変わっていないと思ったけれど、帰り道に落ち着いて眺めると、少し記憶と違っている。たしか大正ロマンビルの隣に、江戸時代から続いていそうな、木造の立派な商店もあった。それがない。空き地も目立つ。見渡せば、木造建築はひとつもなかった。そういうことか。新しい街並みと思っていたけれど、それはただ、古い建物が消えて、新しい建物が残り、更地に新しい建物ができて、新しい景色になった。石巻の街並みは、時代の連続性を失っていた。どんな都市でもいずれそうなるけれど、石巻は短時間で変わった。津波に地上げされたようだ。海外のコーヒーチェーンのような洒落た店がある。コーヒーを飲もうと思って店内に入るとパン屋だった。以前はこんな店はなかった。

杉山 淳一

杉山 淳一  ※今週休載です

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2015/08/27掲載
■店主の分け前
〜バーマンの心にうつりゆくよしなしごと
 
第287回「流行り歌に寄せて No.97 「東京五輪音頭」〜昭和38年(1963年)」 

私の店がある自由が丘では、毎年恒例の盆踊り大会がある。8月の第1週の日曜日にかけての木、金、土、日の4日間に渡り、自由が丘駅前ロータリーで、午後6時から9時までの3時間、バスを始めすべての車両の進入を禁止しての一大イベントである。今年も、7月30日から8月2日までの4日間の熱帯夜に賑々しく行なわれた。ちなみに、9月の初旬には熊野神社例大祭、10月の初旬には女神まつりと、自由が丘は、かなりお祭り好きな地域ではある。その盆踊り大会でかかる曲には、定番の『東京音頭』『北海盆唄』『炭坑節』のほか、ご当地ソングの『自由が丘小唄』、ご当地ゆるキャラ"ホイップるん"のために作られた『ホイップるん音頭』、最近人気の北島三郎の『やる気で音頭』などがある。それが、一昨年9月に東京にオリンピック招致が決まる直前から『東京五輪音頭』がフューチャーされることになり、3年目の今年は、5回大きく輪を描くことから始まる、あの踊り方がすっかり踊り手にも浸透して、みな気持ちよさそうに踊っているのである。この曲が発売されたのは、私が小学校2年生の時だった。
金井 和宏 金井 和宏  

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2015/08/27掲載

■フロンティア時代のアンチヒーローたち
〜西部女傑列伝 1
 
第5回「大平原の女王、カラミティー・ジェーン その5」 
斥候、そしてワイルド・ビルとの出会い 
船舶の世界では、パイロットは水先案内人と訳されている。複雑な海域や込み入った港に出入りするとき、その海域に詳しい、主に熟練した元船長などがその業務に当たる。もちろん、潮汐、海流などの自然条件の知識も深い。斥候と訳されているアメリカ西部の“スカウト”は、水先案内人的なところもあるが、それ以上に未知のルートを探り、さらに一番重要視されるのは、インディアンたちの動向に明るいことだった。所詮はインディアンを追い詰める騎兵隊、官軍の手先、スパイ的役割を果たさなければならない。優れた斥候は、インディアンの言葉を三つや四つ話せなければならないし、インディアンの覚えめでたい存在でなければならない。それでいながら、騎兵隊から給金を貰い、その下で働くのだ。騎兵隊は映画で見るように、青い制服に身を固め、背筋をスッと伸ばした姿勢で馬に跨り、まさに颯爽と隊列を組んで行軍する様は、実際、絵になる光景だったろう。しかし、騎兵隊員の質はバラツキが大きく、ならず者、ヤクザのような騎兵隊員が多かった。

佐野 草介 佐野 草介 

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2015/08/27掲載
 

■亜米利加よもやま通信
〜コロラドロッキーの山裾の町から
 
第428回「ファーストフッドは不滅です」
  
かれこれ、30〜40年ほど前のことになりますが、スペインに初めてマクドナルドがオープンしました。当時、スペインはどこに行っても、“バール”(Bar)と呼ばれるカフェーテリア兼タパスバー兼軽食のお店が花盛りで、一軒一軒違ったタパスを用意していて、オリーブ、トルティージャ(スペイン風オムレツ)、いわしの酢漬け、肉団子、カージョス(豚の内臓の煮付け)、高級なところではエビや小さな巻貝、ムール貝、ハマグリなどをカウンターに並べ、小皿に盛って突き出しのようにサービスしてくれたものです。こんなにバラエティーに富んだバール文化がある国に、ハンバーガーショップが乗り込んできても成功するわけがない…、誰が好きこのんでハンバーガーなぞ食べるものか、すぐにもあっさりと引き上げるに決まっていると思っていたところ、オープンから大盛況を続けており、私の予想はあっさりと外れてしまいました。スペインのマクドナルド、バーガーキングなどでは、ビールもワインも飲めるし、第一、コーヒーがスペイン人の嗜好に合わせたのでしょう、エスプレッソなのです。

グレース・ジョイ Grace Joy
(グレース・ジョイ)
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2015/08/13掲載

■現代語訳『枕草子』
〜表現哲学詩人谷口江里也が翻訳

第14回「その十 正月一日、三月三日は」 
正月一日、三月三日は、とてもうららかな日和だった。五月五日は、一日中曇りだった。七月七日は、ずっと曇りだったけれども、夕方になって空が晴れてきて、月がとても明るく輝いて、星もたくさん見えた。九月九日は、夜遅くになってから雨が少し降った。菊の花にも水玉がたくさんついて、菊をおおった薄綿も、ぐっしょり濡れている。長寿を願って、その綿で、老いを拭いさろうとする際に、きっと、菊の花のうつり香も、いつもよりずっと、香り立つにちがいない。雨は朝にはもう止んでいたけれども、それでも空はまだ曇り空で、いかにも、また雨が降ってきそうな気配を漂わせていたのは、とても風情があった。官位を頂戴した方々が、帝にお礼の言葉を申し上げるようすは、見ていて、とっても美しい。衣装の背中の方には、長い後垂れだれがついていて、それが床に長く尾を引き、そんなお姿で正面を向いてすっくと立って、そこから、帝にお辞儀をして退く時に、しきたりどおり、右足、そして左足と、まるで踊りを踊るかのように、さっと見事に向きを変える、その振舞いこそ美しい。

谷口 江里也 谷口 江里也

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2015/07/23掲載

■よりみち〜編集後記  

元最高裁判事や元内閣法制局長官、憲法学者300名以上(そのうち3名だけが合憲主張)、さらに「安全保障関連法案に反対する学者の会」(1万名以上の学者が登録済み)などなど、今回の「平和安全法制整備法案」に反対する人々が増加し続けている中、2015年7月15日、衆議院での強行採決を予定通り実施した安倍政権は、参議院での審議がたとえ終了しなくても、会期末の9月末には再度衆議院での強行採決により成立させようと、なりふり構わず強行突破しようとしている。これは第96代内閣総理大臣、安倍晋三の個人的で、怨念的なミッションであり、平和国家としての日本憲法を、狂信的な一人の政治家が歪めようとしているだけではなく、戦後大切に守ってきた憲法第9条の戦争放棄という日本の宝を無にしようとしている。すでにフランスやアメリカの雑誌や新聞などで安倍総理の狂信的な発言や行動が特集され、日本が戦前の軍国主義に戻ろうとしていることに警戒を強めており、その分析は日本国内よりも冷静に、そして的確に行われている。安倍自身も自由民主党としても、説明が足りないから・・・

よりみち 「のらり」編集部

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  ■フロンティア時代のアンチヒーローたち [全151回] 〜西部アウトロー列伝 Part1:Butch Cassidy(ブッチ・キャサディ)
佐野 草介
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グレース・ジョイ
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湯川 カナ
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中井 クニヒコ
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■現代語訳『風姿花伝』 [全63回]
 〜世阿弥の『風姿花伝』を表現哲学詩人谷口江里也が現代語に翻訳

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 〜谷口江里也が芭蕉を表現哲学詩人の心で読み解くクリエイティヴ・トリップ

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■鏡の向こうのつづれ織り [全24回] 〜谷口江里也のとっておきのクリエイティヴ時空  
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鏡の向こう
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海藤 春樹_人形_IMAGES 谷口 江里也_詩_TEXT
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■岩の記憶、風の夢 [全57回] 〜my United Stars of Atlantis
谷口 江里也
岩の記憶

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