のらり      大好評連載中   
 
2014/12/18掲載

■新・汽車旅日記
〜平成ニッポン、いい日々旅立ち
 
第534回「
石工の伝統 - 肥薩線 人吉駅 -」 
くまがわ鉄道の人吉温泉駅、JR九州の人吉駅に戻った。12時半になろうとしていた。いったん駅の外に出ようと跨線橋を上ると汽笛が聞こえた。窓から覗けば、蒸気機関車に引かれた列車が逆向きで遠ざかっている。熊本からやってきたSL人吉号が、ホームでお客さんを降ろした後、留置線に下がっていくところだ。SL列車は大きな古い車庫に隠れた。これから機関車を切り離し、転車台で反転して、石炭と水を蓄えて戻ってくる。転車台付近は見学可能と聞いている。私たちは駅の正面入り口に向かっていたけれど、踵を返して裏口に出た。私たち同じ目的の人々が、同じ方向に歩いていた。岩壁に大きな横穴が空いていて、なにかの遺跡のようだけど、それは後回しだ。雨がぽつぽつと降ったり止んだりしている。帽子を被って傘は差さず、早足で250メートルほど歩くと転車台があった。機関車はまだ来ない。先に給炭と給水だろうか。それとも往路の煤払いだろうか。転車台のそばの道路脇に詰め所のような建物があって・・・

杉山 淳一

杉山 淳一

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2014/12/18掲載
■店主の分け前
〜バーマンの心にうつりゆくよしなしごと
 
第272回「流行り歌に寄せて No.82 「王将」〜昭和36年(1961年)」 

私の父方の祖母は、身長140cm半ばくらいの大変小柄な人であった。けれども、9人の子どもを成し、養蚕指導員として各地を歩き周っていた祖父に代わり家を守った大変気丈な人で、若い頃は私の母も随分ときつく当たられていたらしい。しかし、その祖母が一度大病を患ってからは、文字通り人が変わったように丸い性格になり、母とも大変に友好な関係になって行った。私が小学校4年生の頃、祖母と一緒にテレビを観ていた時のことである。長門裕之が阪田三吉を演じた『王将物語』というドラマで、女房の小春役は藤純子だった(彼女が緋牡丹お竜になる3年ばかり前の話である)。将棋一筋故に破天荒な生き方となっていく阪田の姿(実際の人物よりもかなりデフォルメされて描かれていたように思う)が、祖母にとっては耐えられないものとして映ったのだろう。「ああ、なんて情けない男だよ、あの人は。和(私の名前)、絶対に、どんなことがあっても、あんな生き方をするじゃあねえよ。わかったな」と諄々と諭された。
金井 和宏 金井 和宏

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2014/12/18掲載

■フロンティア時代のアンチヒーローたち
〜西部アウトロー列伝 Part 5
 
第117回「ジェシー・ジェイムス〜創られた英雄 その117 逃避行 その1 

ノースフィールドの銀行襲撃事件について書かれたもの、証言は非常に多い。白昼、町のメインストリート、デヴィジョン・ストリートで事件が起こり、目撃者だけでなく、ギャング相手に戦った当事者もたくさんいる。それぞれ、メモワーや新聞記事を書き残している。ジェシー・ジェイムスの広報担当官的人物、ニュートン・エドワーズが発刊した"カンサス・シティー・タイムズ"もノースフィールド事件の記事を載せている。もちろん、純然たる南軍派の姿勢を崩さず、"ジェイムス=ヤンガー・ギャング団に脅され、金庫を開けようとしなかった銀行員のヘイウッド(Heywood)のような愚か者は殺されて当然だ"といった調子だ。ともあれ、ノースフィールドの住民は二人の人命という高い代価を払ったが、ジェイムス=ヤンガー・ギャング団に打ち勝ったのだ。重症を負ったボブとコール、それにジムのヤンガー兄弟は、ジェシー、フランク、チャーリーより遅れを取った。コール自身が落馬しないで馬に跨っているのが精一杯だった・・・

佐野 草介 佐野 草介 

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2014/12/18掲載

■亜米利加よもやま通信
〜コロラドロッキーの山裾の町から
 
第393回「恐怖の白い粉"Sugar"」
  
大航海時代、西欧人がアジア、アフリカ、アメリカに大変な危険を冒してまで出て行ったのは、もちろん黄金伝説の影響もあるでしょうけど、一番"モウケ"が大きかったのは『胡椒』だったと知り、とても驚いた記憶があります。胡椒と金と重さでいくと同じ価値があったというのですから、胡椒は大変な贅沢品だったのでしょう。中世の人たちは、たとえ王侯貴族でも、ずいぶん不味い(現代の私たちから見ればの話ですが…)もの、味気ないものを食べていたと言ってよいでしょう。その分だけ素材の持つ味に敏感だったとも言えますが。胡椒が主に肉料理に欠かせないものになったように、お砂糖も、今の私たちの食生活と切り離すことができないものの一つです。ニワカ知識で調べたところ、原産地はなんとニューギニアでした。ニューギニアではサトウキビをカジリ、しゃぶっていたのが、1万年も前のことで、それがインドに紀元前500年頃に伝わり、ペルシャ、中近東へと伝わり、イスラム教とともに北アフリカ、中東全域に広がったのはマホメットが出てきた7世紀だったというのです。

グレース・ジョイ Grace Joy
(グレース・ジョイ)
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2014/12/18掲載

■現代語訳『方丈記』
〜鴨長明の『方丈記』を表現哲学詩人谷口江里也が現代語に翻訳
 
第18回(最終回) 方丈記  
そもそも、わたしの人生そのものが、あたかも月影が東から西へと傾き、いよいよあともう少しで、山の向うに沈んでしまい、もうすぐにでも、三途の川の向うの、現世に犯した罪によって、いろんな責め苦を受ける闇の中へと行こうとしているような時に、あんなことさえしなければと思ってくよくよ考えたり、誰のせいでそうなっただのと、いまさら、つべこべ思い悩んでみたところでどうなるものでもない。仏の教えというものの趣意は、つきつめれば、どんなことに対しても執着するなということであってみれば、こうして私が今、この草庵を愛するのも、ここでの静かな侘ずまいがいいと想うのも、どのみち罪であるにはちがいない。だとしたら、特にそうする必要もない、こうした閑寂(かんじゃく)の楽しみを、あえて書き記したりする時間というのも、往生ということを考えるならば、余計なことには違いない。静かな、夜が明け始める暁の頃に、こうした理屈のようなことを考え、自らの心に問いかけ続けてみた結果、世間を離れて山の中に入ったのは・・・

谷口 江里也

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2014/10/23掲載

■よりみち〜編集後記  

今年を振り返るのはまだまだ早い時期だと思うのだが、最近のニュースのスピードになかなかついていけない現実がある。2月にソチで冬季オリンピックがあり、ついこの7月にブラジルのワールドカップで盛り上がっていたはずなのだが、日本ではもうすぐスポーツの締めくくりイベントの日本シリーズ開幕である(北海道日本ハムファイターズは惜しかった)。さらに、世界情勢の方に目を向けるともう大変なことになっている。1月からタイ国の揺れ動きバンコクで非常事態宣言、2月にはウクライナ騒乱から内戦状態へ、3月にはマレーシア航空370便(239名)がインド洋で消息を絶ち、プーチン大統領がクリミアをロシアに編入宣言し、4月には韓国のクルーズ旅客船「セウォル号」沈没事故(294名死亡)、5月にはタイ国の軍事クーデター、6月は中国が南沙諸島での石油採掘でベトナムと衝突、7月にはウクライナ・ドネツクで、マレーシア航空17便(298名死亡)が撃墜され、またイスラエル軍のガザ侵攻開始し、8月の停戦合意まで断続的に攻撃し続けた。そして、8月には西アフリカ諸国にエボラ出血熱の感染拡大してパンデミックスが心配されており・・・

よりみち 「のらり」編集部

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■現代語訳『風姿花伝』 [全63回]
 〜世阿弥の『風姿花伝』を表現哲学詩人谷口江里也が現代語に翻訳

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