のらり 大好評連載中
2019/06/06掲載

■新・汽車旅日記
~平成ニッポン、いい日々旅立ち
 
第687回「七福神の道 -烏山線-」
 
烏山線のキハ40形ディーゼルカーはロングシートだった。キハ40といえばローカル線の旅の友。クロスシートに座って足を投げ出し、窓を開けて風を受ける。そんなイメージだったけれど、オールロングシート車があった。烏山線は通勤通学時間帯に混雑するらしい。製造番号は1004だ。1000番台がロングシート改造車らしい。車内は便所も撤去されて室内は広々としている。前後の中央、窓側にあるはずの煙突もなく、空いた場所に消火器とゴミ箱がある。ディーゼルエンジンだから排気は必要なはずで、天井と壁の境目にダクトカバーが横たわり、客室を広くするために工夫している。ギュルルルとエンジン音が高鳴り、列車が走り出す。いったん東北本線に沿って北へ向かい、右へ逸れていく。森に入るかと思ったらすぐに通り抜けた。この木々はなんだろう。道路もないから並木とは言えず、防風林だろうか。住宅地と田畑の地域を区切るように連なっている。

杉山 淳一

杉山 淳一  ※今週は休載です

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2019/06/13掲載

■店主の分け前
~バーマンの心にうつりゆくよしなしごと
 
第375回「流行り歌に寄せて No.180 「悲しくてやりきれない」~昭和43年(1968年)」 up
歌詞もメロディーも、しんしんと胸に沁みてくる名曲である。当初発売される予定だった、ザ・フォーク・クルセダーズの2枚目のシングル『イムジン河』が発売自粛になっていなければ、この曲は間違いなく生まれていなかった。いろいろな政治的な要素も絡まり、レコード会社が自粛を決定してしまったため、急遽次の曲を作るよう加藤和彦は要請を受けた。要請というよりも強要だったようである。当時パシフィック音楽出版の会長の石田達郎に、会長室に外から鍵をかけられ、3時間缶詰状態にされて作曲させられたという。最初は何もイメージが湧かずに、室内のウイスキーなどを眺めていたが、そのうちに『イムジン河』のメロディーを譜面に書いて、それを逆から辿ったりしているうちにモチーフを掴み、ギターを弾きながら15分もかからずに曲が完成したとのことである。

金井 和宏

金井 和宏 
   
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2019/06/13掲載

■イビサ物語
~ロスモリーノスの夕陽カフェにて
 
第71回「プレイボーイの“サファリ” その2」
 up
マルガリータに会ったのは、サファリが本格的なヴァレンシア・パエリャを食わせてやるとばかり、カンポ(森)に気心の知れた友達を集め、パエリャ・パーティーを開いた時だった。サファリは料理が得意だったし、人を集めて料理の腕を披露し、パーティーを開くのが好きだった。本家本元のヴァレンシア人たるサファリがつくる本格的な“パエリャ”はイビサでチョット有名だった。その時、マルガリータは17歳か18歳だったと思う。天から舞い降りてきた妖精のような…と言えば当たっているだろうか、清純可憐を絵に描いたようなあどけない少女で、全体にほっそりとした身体つきだったが、ちゃんと出るところは張り出ていた。 そんな身体に小さな卵型の顔、明るい色の金髪と、少女雑誌のグラビアになりそうな容姿だと思っていたところ、実際、彼女はかなり売れっ子のティーンエージャーモデルだと知った。

佐野 草介

佐野 草介 

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2019/06/13日掲載

■亜米利加よもやま通信
~コロラドロッキーの山裾の町から
 
第613回「ルーサー叔父さんとアトランタでのこと」 
up
私の叔母さんは黒人と結婚し、ジョージア州のアトランタに住んでいます。叔母さんのダンナさん、ルーサーは、私の親類一同が皆知恵遅れに見えるほどのインテリで、高名な大学の教授職を最近引退したばかりの博士です。何冊もの本を書き、引退後も世界中から御呼びがかかり、忙しく飛び回って公演、レクチャーをしています。引退してから、ジャズピアノを弾く時間が持てるようになったと喜んでいました。 どんな人とでも会話を成り立たせる才能というのかセンスを持っているウチのダンナさんは、ルーサー叔父さんと話すのをとても楽しんでいる様子なのです。その後で、「ルーサーはたいしたもんだ。俺の浅く、薄っぺらな文庫本的な知識とは深さが違うぞ」と、当たり前過ぎることを言っていました。 昨年の夏、アトランタを訪れ、彼らの家に滞在した時、ルーサー叔父さんがアトランタで有名なコカコーラ博物館よりは、少しばかりマシだぞ、とイタズラっぽく笑いながら、市民権、公民権運動の博物館連れて行ってくれました。

グレース・ジョイ

Grace Joy  
(グレース・ジョイ)
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2019/06/06掲載

■ギュスターヴ・ドレとの対話
~谷口 江里也
 

第12回「ロマン主義」
 
これはフランスのロマン主義の先駆者の一人とされるシャトーブリアン(1768~1848)の物語『アタラとナッチィーズ』に対してあなたが施した挿絵です。『ドン・キホーテ』と同じ年、1863年に発表されましたが、新大陸アメリカの、ミシシッピー川流域の雄大な自然を背景としたネイティブアメリカンの悲恋の物語に対してあなたは、ここでもテーマに呼応して、ドン・キホーテとは全く異なる表現スタイルをとっています。 あなた自身は新大陸に足を踏み入れることはありませんでしたが、しかし想像力豊かなあなたは、シャトーブリアンの作品から、ヨーロッパとは全く異なる自然の異次元の豊かさと、異文化の香りのようなものをうまく作品の中に漂わせています。 考えてみれば、フランス革命という、過去の体制や価値観にことごとく異議を唱えた人類史的な大花火を合図に始まった十九世紀は、実に多様な価値観が混在した時代でした。革命そのものが、人間と社会は本来どうあるべきかという理想を掲げた啓蒙主義に大きく触発されましたけれども、革命後の社会的大混乱と…

elia

谷口 江里也 

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2019/06/13掲載

■よりみち~編集後記  up
また香港が揺れ始めている。ただ今回の事件は中国政府にとって、国際社会、特に覇権国アメリカに対しての大きな賭けともなりそうな雰囲気が出てきている。香港における一国二制度の流れは、1984年12月19日に中英連合声明が発表されたことから始まっている。イギリスは1997年7月1日に香港の主権を中国に返還し、香港は中国の『特別行政区』となることが明らかにされた。その声明の目玉政策が中国政府は鄧小平が提示した一国二制度(一国両制)であり、社会主義政策を将来50年間(2047年まで)、香港で実施しないことを約束したのである。それがまだ13年しか経過していない現在、一国二制度は全く形骸化して、中国政府主導の中国本土化が実施されようとしている。返還後の1997年以来、香港市民の抗議運動はたびたび行われており、2003年には50万人が参加したデモで安全保障法案が却下され、普通選挙権を求めるデモや天安門事件の追悼集会は毎年の恒例行事となっているが、年々中国政府からの締め付けが厳しくなっていた。2014年、行政長官の普通選挙を求める学生を中心とした香港市民が催涙スプレーを防御するために雨傘を使用し、無抵抗主義を貫いた反政府デモは…

よりみち

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