のらり 大好評連載中
2020/01/30掲載

■新・汽車旅日記
~平成ニッポン、いい日々旅立ち
 
第704回「宇部興産の街を行く - 宇部線 宇部新川 ~ 新山口 -」

小野田から山陽本線で宇部へ戻り、ここから再び宇部線に乗る。08時28分発の宇部新川行きはクモハ123の単行だ。そういえば、私が会社勤めを辞めて乗り鉄旅を復活した当時は、まだ宇部線と小野田線に茶色の旧型国電が走っていた。それが最後の旧型国電として鉄道好きに人気だった。現在はクモハ123の終焉の地だ。古い電車ばかりあてがわれて、沿線の利用者には気の毒な気がする。しかし鉄道好きには興味深い路線だ。ロングシートに空きはなく、私は定位置、運転室の後ろに立った。朝一番に乗ってから2時間を経て、乗客も増えている。この列車は時刻表には休日運休と表記されており、通勤通学のために走っている。いや、学校の始業は8時半だろうから、宇部に着いた通学列車の折り返しか。今朝、一度目に乗った時は気づかなかったけれど、右上りカーブの先、畑の中に信号場がある。1両単行の電車にはもったいない長さで、なるほどこれも炭鉱鉄道の貨物列車を走らせた名残だろう。

杉山 淳一

杉山 淳一  ※今週休載

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2020/02/20掲載

■店主の分け前
~バーマンの心にうつりゆくよしなしごと
 
第390回「流行り歌に寄せ No.190「夕月」~昭和43年(1968年)」 up 
エピソードの多い曲である。まず、黛ジュンの曲の中で最も売れた曲であるということ。レコード大賞を受賞した前作の『天使の誘惑』を上回る66万3,000枚というセールスを記録している。そして、実兄の三木たかしが作・編曲した曲を、初めてA面でレコーディングしたということ。前出の『天使の誘惑』のB面だった『ブラック・ルーム』も三木の作品であり、兄妹での最初の曲だった。但し、その時の彼のペンネームは「渡辺たかし」。因みに、この兄妹の本名は「渡邊匡(ただし)」「渡邊順子」である。 二人の実家はたいへん貧しく、借金取りが訪ねてくると、二人は押入に隠れて、紙に書いた鍵盤を押しながら遊び、その場を凌いでいたそうである。その後、黛は何曲か三木からの提供を受けるが、この二人の兄妹愛は、歌謡界では広く知られている事実である。11年前に三木が亡くなった時の黛の悲痛な表情を、今でも忘れることができない。そしてもう一つ。この曲の発売の翌年、主題歌として作られた同名の…

金井 和宏

金井 和宏  
   
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2020/02/20掲載

■イビサ物語
~ロスモリーノスの夕陽カフェにて
 
第105回「カルメン、コカインで逮捕される…」
up
ここに登場してもらうカルメンは、洗い場のヒターノ(ジプシー)おばさんではなく、イビセンカの方のカルメン、友人のぺぺと長いこと同棲し、その後玉のような赤ちゃんを産んだカルメンのことだ。フランコ総統(1892-1975年)死後のイビサは、一挙に花が咲いたようにマリファナ・フリーの島になった。マリファナ、ハシシ(固形大麻樹脂)は野放しで、公認のようになっていた。アムステルダムやモロッコから来る避暑客が少量のマリファナを持ち込んだところで、それを取り締まるスベがなく、チマタでは個人使用分なら、それを売買するためでなければ、お構いなしと、島の人は勝手に捉えていた。 だが、コカインやヘロインなどの精製されたドラッグにはかなり厳しかった。私はぺぺもカルメンも、彼らが十代の頃から知っていたし、彼らが一緒に暮らすようになってからはより親しくなり、私のイビサの窓になってくれたものだ。母国語の他にフランス語、英語を流暢に話し、片言のドイツ語も操るカルメンは…

佐野 草介

佐野 草介 

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2020/02/20掲載

■亜米利加よもやま通信
~コロラドロッキーの山裾の町から
 
第646回「文化遺産を元の国に返還する運動について」
 up
ウチのダンナさんに引きずられるようにして、相当いろいろな国を回ってきました。今でこそ、ゴッホやマネ、モネ、ルノアールの絵が、お金持ちの国の美術館やプライベート・コレクションに収まっていても、誰も不思議に思いません。ただ、またクリスティーズやザザビーズなどのオークション会社を通じて、大金を払って手に入れただけのことだと、受け入れてしまいます。イギリスでは、大英帝国華やかなりし頃に、植民地から広く集めた遺物、当事国の民族遺産を大量に持ち帰り、大英博物館、民俗学博物館に展示しています。それは一見の価値がある素晴らしいコレクションです。エジプトからピラミッドに埋葬されていた王族のミイラ、エルギン・マーブルと呼ばれているギリシャのパンテオンのレリーフなど、よくぞこんな重いものを運んできたものだと感心する一方、スフィンクスやピラミッドを丸ごと運んでこなかったのが不思議なほど、大掛かりなものです。 ドイツも負けてはいません。ベルリンのペルガモン博物館も、大掛かりな文化の一端を見せてくれます。

グレース・ジョイ

Grace Joy  
(グレース・ジョイ)
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2020/02/06掲載

■ギュスターヴ・ドレとの対話
~谷口 江里也
 
第28回「大鴉(おおがらす)」
【最終回】 
『狂乱のオルランド』を発表した1879年、あなたは二度目のレジョン・ド・ヌール勲章を受章しましたが、体調を崩し、医者の診断では心臓病を患っているとのことでした。明らかに仕事のし過ぎでした。あなたの母も病床にあり、自分自身の発作の心配をしながら、それでも母のベッドのそばであなたは毎晩ランプの灯りで絵を描きました。椅子に体をあずけた母親の姿を等身大の水彩画に描いてもいます。そのころ盛んに彫刻をつくっていたあなたは、前年には高さが三メートル以上もある巨大なブロンズの彫刻をサロンに出品し、それはサンフランシスコにまで運ばれて展示されました。1879年には、いずれブロンズにするつもりだったのでしょう、高さが十五メートル、横幅が二十四メートルもある『オルフェウスの死』と題した石膏のレリーフを制作しています。創る作品がどんどん大きくモニュメンタルになっていたことを考えると、いずれ壁画や建築空間を創るようになっていたでしょう。現に多くの彫像を配した教会のファサードを構想してもいました。しかし1881年3月16日、いつもいつもあなたのそばにいた母親が息を引き取りました。

elia

谷口 江里也 

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2020/02/20掲載

■よりみち~編集後記 up    
新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大は、日本でもすでに流行の初期段階に入っています。厚労省の報道発表では、まだ「流行」と言う表現を使っていませんが、明らかに感染経路の不明な感染者が多くなっており、中国への渡航や濃厚接触のない人に感染が拡大しています。一方のウイルスの発生源である中国湖北省の爆発的な感染者増加は、連日1,000人以上を超えていたものが、2月19日には中国全土で400名弱(診断の基準が改定されたことも要因となっているようですが…)と、初めて感染者数が1,000人を下回るのは1月26日以来とのことです。また、中国でも大きな問題となっているのが、医療従事者の感染が3,000人を超えていることで、それによる院内感染による感染拡大が相当多いことのようです。これは日本でも、クルーズ船内での乗客の隔離による感染拡大が問題になっていることと繋がっており、中国保険当局が、「エアロゾル」感染(飛まつよりも小さい粒子のことで、空気中に一定の時間漂うことがある)の可能性を指摘しているように、飛沫感染と濃厚接触感染だけでなく、エアロゾル感染も含めて対策を検討した方がよいようです。日本の新型コロナウイルス対策は、クルーズ船での…

よりみち

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