のらり 大好評連載中
 
2016/06/23掲載

■新・汽車旅日記
〜平成ニッポン、いい日々旅立ち
 
第593
回「観光列車の旅 − 伊予灘ものがたり 1 −」  
松山駅3番ホーム。8600系電車の撮影をしていたら、左手奥の車庫から黄色の気動車が現れた。そのまま留置線を進み、私の前を通り過ぎて、8600系のそばに停まる。2両編成で、後ろの車両は朱色。あれが伊予灘ものがたりだ。JR四国が今年から運行を開始した食事サービス付きの観光列車である。外観は国鉄形のキハ47を塗り直しただけだけど、室内はリフォームされている。3番ホームに若い女性がふたり立っている。アテンダントさんだ。制服はツーピース。上着は淡い小豆色、スカートはチョコレート色。その濃淡と合わせた色のソフト・ハット。黒いハイヒールに、赤く小さめのスーツケース。まるでチョコレートムースに赤いチェリーを載せたような高級洋菓子のようだ。彼女たちがここにいると言うことは、伊予灘ものがたりはこの3番ホームからの発車だろう。ここにいれば、列車の入線から出発前の様子まで眺められる。松山駅のホームは駅舎側に1番線、跨線橋を渡った島式ホームに2番線と3番線がある。いわゆる国鉄型2面3線の配置。県の代表駅としては小規模だ。しかしホームは長く風格はある。

杉山 淳一

杉山 淳一  

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2016/06/23掲載
■店主の分け前
〜バーマンの心にうつりゆくよしなしごと
 
第306回「流行り歌に寄せて No.111 「夜明けのうた」〜昭和39年(1964年)」  

やわらかく、ゆったりとした声と音楽。今まで聴いたことのない、何か大きなものに守られて落ち着き、ずっと安心していて良いような、そんな曲だと感じた。アルトを聴かせる女性歌手というのが少なかったのかもわからない。とにかく、私にとって岸洋子の発する声は、たいへん気持ちの良い音色だった。ストレートでセミ・ショートの髪が似合っていた。マイクに向かってスクッと姿勢良く立ち、堂々と歌い上げる姿は、東京藝術大学大学院の声楽専攻科の出身で、本来はオペラ歌手を目指していたことが頷ける。心臓の病でオペラ歌手になるのを諦め、エディット・ピアフの歌を聴いてシャンソン歌手になろうと心を決めたという。シャンソン、そしてカンツォーネも、その歌心を聴く者の心にじんわりと伝えることができる、日本では稀有な存在であった。chanson、canzone、いずれもその言葉は純粋に「歌」を表すと言う。岸洋子という人は「歌」以外の余計なものは、一切私たちに提示しなかった人だったと思う。『夜明けのうた』は、もともと岸洋子が歌う前の年の昭和38年、日本テレビ系の連続ドラマ『ぼうや』の主題歌として主演の坂本九が歌っていたもの。
金井 和宏 金井 和宏  

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2016/06/23掲載

■フロンティア時代のアンチヒーローたち
〜西部女傑列伝 2
 
第8
回「ベラ・スター 〜弟エドウィンの死」 
ベラ・スターには1歳半下の弟がいた。名前をエドウィン・ベントンという。南北戦争に参戦するにも、その後のブッシュワッカーに加わるにも若すぎた。だが、北軍に殺された兄ジョンのことを聞かされ続け、家に出入りするブッシュワッカーたちのアウトローライフを四六時中聞かされて少年期を過ごした。エドウィンは時代に遅れてきた青年だった。すでにテキサスですら、旧南軍派のアウトローの出入りを歓迎しなくなってきた。北部で銀行、列車を襲い、美味しい汁をふんだんに吸ったブッシュワッカーたちは隠れ家を提供してくれているテキサスにおいても、往々にして北部で行ったと同じような行動を取り、地道な牧場主や町の住人から煙たがれるようになってきたのだ。確かに、サロンバーで彼らが落としていく金は馬鹿にならない金額だった。が、それも彼らが引き起こす騒動を相殺するまでにはならなかった。エドウィンは遅れてきただけでなく、父親ジョンのような思想的バックもなく、かと言ってアウトローたる冷徹さも持っていなかった。意思が弱く、若い時から、シーリー家のはみ出し者だった。エドウィンがどのような罪を犯したのか、それが射殺されなければならないほどの犯罪だったのか・・・

佐野 草介 佐野 草介 

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2016/06/23掲載

■亜米利加よもやま通信
〜コロラドロッキーの山裾の町から
 
第470回「牛肉食をやめるべきか?」
 
でも、一体どうして、地球温暖化の悪役として石炭や石油を使う産業ばかり槍玉に上り、牧畜産業がそれ以上の悪者だと知られなかったのでしょう。アル・ゴアが作った映画『Inconvenient Truth(邦題:不都合な真実)』でも、地球の温暖化に反対する社会運動でも、環境保護会議でも牧畜がもたらす弊害は全く無視されています。第一の理由は、西欧人の100%近くが肉食人種だからでしょう。アメリカでは牛肉がヨーロッパ(日本を引き合いに出すまでもないでしょうけど)に比べて異常に安く、ミルクそのものも乳製品もフンダンにあり、貧富を問わず毎日のように食べているからです。そして、牛肉、豚肉、鶏肉を提供している牧畜産業が強力な政治圧力団体、ロービーイスト(National Cattlemen's Beef Association)を組織していて、莫大な政治資金を牧畜議員に流しているからです。この団体、ロービーイストは、FBIに危険なテログループとしてマークされているほど、過去においても現在でも暴力的な圧力団体です。肉食がいかに地球に害を及ぼしているか、再三問題にされます。

グレース・ジョイ Grace Joy
(グレース・ジョイ)
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2015/10/15掲載

■現代語訳『枕草子』
〜表現哲学詩人谷口江里也が翻訳

第17回「市は、辰の市」  
市は、たつの市、さとの市、海石榴(つば)市など、大和には市のついた町がたくさんあるけれども、長谷寺にお参りをした人が、必ずのようにこの地に泊るのは、観音さまとのご縁を大切にしたいという、特別の気持があるからだろう。ほかにもこのあたりには、おふさの市や、しかまの市や、もちろん飛鳥の市もある。峰といえば---峰といえば、ゆづる葉の峰、阿弥陀の峰、そしていやたかの峰。原には---原には、みかの原、あしたの原、園原なんていうのもある。淵には---淵には、かしこ淵というのがあるけれども、一体どういう気持で、どなたがそうと教えて、そんな名前になったのだろう。青色の淵なんていうのも面白い。まるで蔵人が着るお召しのよう。ほかにも、隠れの淵や、いな淵なんていうのもあって面白い。海といえば---琵琶湖のみずうみ、与謝の海、そして、かはふちの海。陵には---陵みささぎには、うぐいすの陵、かじはぎの陵、そして、あめの陵などがあって、どれも歌に歌われして風情がある。
      

谷口 江里也 谷口 江里也

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2016/06/02掲載

■よりみち〜編集後記  

現役のアメリカ大統領が被爆地の広島を訪問して、犠牲者に哀悼の花輪を捧げるという歴史的な日が実現した。これはオバマ大統領だからできたことのように思える。大統領の任期も来年まで、プラハでの核兵器廃絶スピーチでノーベル平和賞まで授与されている、核問題に積極的にコミットしてきたはずのオバマさんには全くその成果がなかったわけで、せめてこれだけはと考えていたパフォーマンスなのだろうが、捨て身だから実現できたのかよく分からないが、大反対をよく押し切れたと、素直に賛辞を送りたい。ただ、アメリカの世論としては、次は日本がパールハーバーで正式に頭を下げる番だとする意見もあるようだ。望まれているのなら、どこの国であろうと行って戦没者を慰霊すべきである。ただし、今回のオバマ大統領の通り、献花&黙祷して、謝罪はするべきではない。どこかの国のように、ひたすら謝罪の言葉を執拗に要求するのは、言葉を補償と同義語としている場合があり、今更ヤボは止めて欲しいものである。日本でも一部の被爆者やその遺族からは、謝罪の一言が欲しいという意見はあったと思うが、言葉よりも気持ちの方が重要であり・・・

よりみち 「のらり」編集部

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  ■フロンティア時代のアンチヒーローたち [全151回] 〜西部アウトロー列伝 Part1:Butch Cassidy(ブッチ・キャサディ)
佐野 草介
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 〜世阿弥の『風姿花伝』を表現哲学詩人谷口江里也が現代語に翻訳

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 〜谷口江里也が芭蕉を表現哲学詩人の心で読み解くクリエイティヴ・トリップ

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海藤 春樹_人形_IMAGES 谷口 江里也_詩_TEXT
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岩の記憶

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