のらり      大好評連載中
 
2016/02/04掲載

■新・汽車旅日記
〜平成ニッポン、いい日々旅立ち
 
第574
回「無遠慮な提案 − 岩手県北バス 道の駅やまだ〜宮古駅前 −」  
道の駅やまだを10時41分発の岩手県北バスに乗り、さらに北を目指す。田舎のバスは定刻運転で信頼できる。乗り遅れは私のミスである。割り切って景色を楽しもうと思う。バスは国道45号線を進む。ほぼ山田線に沿う道である。穏やかな海。きれいだな、と思っていると、壊れた防波堤や地面にむき出しのコンクリート基礎が現れる。楽しいばかりの景色ではない。今回の旅は視察である。気持ちを引き締める。沿岸の道で海がきれいに見える。それは必ずしも喜ばしいことではない。そこにあるべき堤防が津波で破壊された証拠だ。美しい景色が、実は爪痕である。陸側に目を向ける。そこには壊れたままの建物がある。思わずカメラを向けシャッターを押す。恨めしい津波から3年経つ。新しい建物もあれば更地もあり、壊れたまま放置された建物もある。カメラの液晶画面で写真を拡大する。壊れた建物は柳沢団地集会所であった。公共の建物だ。修復する予算が回ってこないようだ。いや、修復したところで、もうこのあたりには集まる人が少ないのかもしれない。潰れかけた集落の再建には、お金と時間が必要だ。

杉山 淳一

杉山 淳一  ※今週休載

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2016/02/11掲載
■店主の分け前
〜バーマンの心にうつりゆくよしなしごと
 
第297回「流行り歌に寄せて No.102 「君だけを」〜昭和39年(1964年)」  

もちろん、小学校2、3年生の時分の私はそんな言葉は知らなかったが、今使っている表現で言えば西郷輝彦を初めて見たときの印象は、“なんて華のある人なんだろう”というものだった。キリッとして、彫りの深い顔立ち。何より、大きな目を覆っている太い眉毛は、もう圧巻だった。小さい頃から「Kちゃんは、眉毛だけはお公家様だね」とからかわれるほど、薄く小さな眉毛の私にとっては、心底羨望の対象だったのである。そして、歌声は甘い低音で、実にカッコ良かった。まだ少年ソプラノだった私も、思い切り顎を引いて、声を低く低く作り、何度も真似っこをしたものだ。ぼんやりと、しかし、秘かに『君だけを』と言える女の子が現れるのを期待しながら。御三家の中ではデビューが最も遅く、年齢も若いので、末弟のような存在である。また、橋幸夫が昭和18年5月、舟木一夫が19年11月であるのに対し、西郷は22年の2月と、ただ一人戦後の生まれで、団塊の世代に属している。雰囲気としては三人のうち一番ワイルドなイメージを持っていた。それは、後の新御三家で言えば西城秀樹、タノキントリオで言えば近藤真彦に繋がるものである。
金井 和宏 金井 和宏 

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2016/02/11掲載

■フロンティア時代のアンチヒーローたち
〜西部女傑列伝 1
 
第28回「大平原の女王、カラミティー・ジェーン その28」 
モンタナ州のキャッスルへ  
カラミティー・ジェーンが、どうして結構な実入りのあるダイム博物館をきっぱりと辞めたのか、いくつかの理由が想像できる。娘のジェッシーと一緒に暮らしたいこともあっただろうが、都会の生活がまるで彼女に合わなかったからだろう。ジェーンには広いスペースが必要だったのだと思う。町から2、3百メートルも行けば大平原が広がるような土地、いつでもどこへでも移り住める機動力が発揮できる土地柄に一度なじんでしまうと、シカゴのような大都会で定職に縛られるのは耐えられなくなるのだ。ジェーンが、彼女を名士として受け入れてくれた古巣のデッドウッドに留まらなかったのは、彼女の本に原因があったと言って間違いないだろう。彼女のことを誰も知らないミネアポリス、シカゴでは、ホラは吹き放題で済んだが、ほとんど進行形のカタチで事実を知る人がたくさん住んでいるデッドウッドでは、"ジェーンのヤツ、とんでもないホラを吹きやがって、話すだけならまだしも、活字にまでしあがった"と、ニガニガしく思っていた人が多かった。ジェーンにしてみれば、デッドウッドに次々と流れ込んでくるパイオニア志望の人たちに本と写真を売る方が簡単だった。

佐野 草介 佐野 草介 

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2016/02/11掲載

■亜米利加よもやま通信
〜コロラドロッキーの山裾の町から
 
第450回「全米忍者選手権」
  
全米忍者選手権? そんな競技会があるのをご存知でしたか? もともと忍者というのは忍びの者、人目にさらされることなく、いつも陰になりヒッソリとことをなすのを信条としている、栄光を求めることもなく浮世を渡り歩くものだと思っているのは日本人だけのようなのです。かれこれ3、40年前に、スペイン領の小さな島、イビサで暮らしていたことがあります。私たちが住んでいた海岸ふちのアパートから200メートルほど町寄りのマンションの一階に道場があり、そこで本来のマジメなマーシャルアーツ、柔道、空手、合気道などを教えていました。ある日、買い物から帰る途中、子供たちが木登りをして遊んでいる光景が目に入りました。 私も子供の頃、木登りの達人でしたから、乗っていたモペット(49ccの原付)を止め、スペインの子供たちの木登りブリを眺めていたところ、その子供たち、20人はいたでしょうか、皆奇妙な服を着ていることに気がつきました。それが忍者(西洋がイメージする忍者ですが)のユニホームだと後で教えられましたが・・・

グレース・ジョイ Grace Joy
(グレース・ジョイ)
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2015/10/15掲載

■現代語訳『枕草子』
〜表現哲学詩人谷口江里也が翻訳

第17回「市は、辰の市」  
市は、たつの市、さとの市、海石榴(つば)市など、大和には市のついた町がたくさんあるけれども、長谷寺にお参りをした人が、必ずのようにこの地に泊るのは、観音さまとのご縁を大切にしたいという、特別の気持があるからだろう。ほかにもこのあたりには、おふさの市や、しかまの市や、もちろん飛鳥の市もある。峰といえば---峰といえば、ゆづる葉の峰、阿弥陀の峰、そしていやたかの峰。原には---原には、みかの原、あしたの原、園原なんていうのもある。淵には---淵には、かしこ淵というのがあるけれども、一体どういう気持で、どなたがそうと教えて、そんな名前になったのだろう。青色の淵なんていうのも面白い。まるで蔵人が着るお召しのよう。ほかにも、隠れの淵や、いな淵なんていうのもあって面白い。海といえば---琵琶湖のみずうみ、与謝の海、そして、かはふちの海。陵には---陵みささぎには、うぐいすの陵、かじはぎの陵、そして、あめの陵などがあって、どれも歌に歌われして風情がある。      

谷口 江里也 谷口 江里也

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2016/01/07掲載

■よりみち〜編集後記  

2016年、新年明けましておめでとございます。本年も「のらり」のご購読よろしくお願いいたします。札幌は何年ぶりかで正月に雪かきが必要がなかった。私は、横浜での正月だったが、3日に食事で出かけたが、コートが必要ないほどの陽気で、18度まであったようだ。ここまで冬らしくない正月は珍しい。たぶん、大雪が降って帳尻が合うようになっているのだろうが、世界中で起こる異常な現象とリンクした異常気象で、ますます嫌なことが起こりそうな気配がする。サウジとイランが宗派対立なのか部族紛争の延長なのか、シーア派の聖職者をアルカイダ系の囚人と一緒に死刑にしてしまい、それに怒ったイラン市民がテヘランのサウジ大使館を襲撃して、サウジがイランとの国交断絶を宣言。今度は、その報復なのか、イエメンの首都サヌアのイラン大使館がサウジの軍用機によって爆撃されたようだ。このまま報復合戦が続けば、またもや戦争が始まってしまう。特に、IS(イスラム国)が息を吹き返すことになるかもしれない。イランとサウジの対立をうまく演出して、戦争状態にもっていくのは簡単そうだ。

よりみち 「のらり」編集部

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  ■フロンティア時代のアンチヒーローたち [全151回] 〜西部アウトロー列伝 Part1:Butch Cassidy(ブッチ・キャサディ)
佐野 草介
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■グレートプレーンズのそよ風 [計28回] 〜アメリカ中西部今昔物語
Grace Joy(グレース・ジョイ)
グレース・ジョイ
■貿易風の吹く島から [全157回] 〜カリブ海のヨットマンからの電子メール
佐野 草介
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■くらり、スペイン [計94回] 〜移住を選んだ12人のアミーガたち、の巻/〜イベリア半島ふらりジカタビ、の巻
湯川 カナ
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中井 クニヒコ
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■現代語訳『風姿花伝』 [全63回]
 〜世阿弥の『風姿花伝』を表現哲学詩人谷口江里也が現代語に翻訳

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 〜谷口江里也が芭蕉を表現哲学詩人の心で読み解くクリエイティヴ・トリップ

谷口 江里也
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■鏡の向こうのつづれ織り [全24回] 〜谷口江里也のとっておきのクリエイティヴ時空  
谷口 江里也
鏡の向こう
■もう一つの世界との対話 [全24回] 〜谷口江里也と海藤春樹のイメージトリップ  
海藤 春樹_人形_IMAGES 谷口 江里也_詩_TEXT
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■岩の記憶、風の夢 [全57回] 〜my United Stars of Atlantis
谷口 江里也
岩の記憶

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