■亜米利加よもやま通信 ~コロラドロッキーの山裾の町から


Grace Joy
(グレース・ジョイ)




中西部の田舎で生まれ育ったせいでょうか、今でも波打つ小麦畑や地平線まで広がる牧草畑を見ると鳥肌が立つほど感動します。

現在、コロラド州の田舎町の大学で言語学を教えています。専門の言語学の課程で敬語、擬音語を通じて日本語の面白さを知りました。



第1回:男日照り、女日照り


■更新予定日:毎週木曜日

第2回:アメリカデブ事情

更新日2007/03/15


毎年のように日本に行き、おいしいお鮨や焼き魚を食べ、少しは日本語に磨きをかけて返ってくるのが楽しい習慣になってしまいました。そしていつものことですが、確実に何ポンドか重い体なってアメリカに帰ってきます。あんなに食べ物がおいしく、お料理のバラエティが豊かな国に住んだら、絶対に太ってしまうと確信していますが、どうして日本人は太らないのかしら。

アメリカに帰ってきて、まず驚かされるのは、私の同国人のデブさかげんです。アメリカに住んだことのある人なら誰でもすぐに気が付くことでしょうが、アメリカ人のおデブは中途半端ではないのです。まさに脂肉の固まりが動いているようなもので、並んだお相撲さんがスマートに見えるのではないかしら。太目を気にしている日本人は是非アメリカの下町のスーパーにお出かけください。一挙にご自分がいかに痩せて見えるか体験できること請合います。

動物の世界では、デブのキリンやヤセのカバはいないのにどうして人類だけこうも差がついてしまうのでしょうか。飛行機で隣り合わせに座り、シートベルトが届かずエクステンションベルトをキャビンアテンダントに頼んでいる人、ゼイ肉が肘掛けを乗り越えて私の領域を侵してくる人はとてもこれが同じ人類とは思えません。アメリカで飛行機に乗るたびに"どうか隣に超デブが座りませんように"と祈らずにはいられません。

日本から観光でアメリカを訪れる、ロスやニューヨークはまだ引き締まった人間の多い地区ですが、中西部、南部の田舎町に行くと揃いも揃って物凄いデブが行進しているのを見ることができます。大きな町では下町に行くほどデブ傾向が強くなります。

世界保健機構のデータによると世界のデブ両雄はアメリカとロシアが仲良くトップクラスで、全人口の25パーセント以上がオーバーウエイトで(日本はまだデブ率0~9パーセントとあります)、アメリカではなんと、25パーセント以上も以上、35パーセントのアメリカ人がデブカテゴリーに入るのです。

BMI(IBMではありません、Body Mass Indexの略です)という表があり、身長別に体重がいくらなら、ヤセ、健康体、デブ( Over weight)、超デブ(Obese)、病的デブ(Morbidly Obese)の5段階に分け、どのカテゴリーに入るかを判別できるようになっています。その後ろの3段階のデブカテゴリーに何人入ったかという統計によると、およそ1億人のアメリカ人がデブということになります。おまけに年々その数字が増す傾向にあり、アメリカ人は3億人揃って皆デブになりかねない勢いなのです。

何でも"一番"が大好きな母国アメリカですが、デブも世界一なら、痩せるための産業も他の国に比べ群を抜いてトップです。ダイエット食品、フィットネスクラブ、痩せるための本、何とか式のダイエットはそれを実行した人の懐のみを痩せさせ、企業を太らせる効果しかないのは長い経験から分かりそうなものですが、アメリカ人が痩せるために費やすお金はアフリカの飢えた人々のいる貧しい国、二つ三つの国家予算の総額にも匹敵するほどです。

アトキンス(Robert Atkins)氏が始めたダイエット、白いもの、パンやお米、炭水化物を食べずに、脂身でも何でも肉を主食にせよ、肉だけなら面倒なカロリー計算をせずに食べ放題で食べても大丈夫、それでしっかり痩せますよ、という“アトキンス・ダイエット”が大流行したことがあります。

分かりやすいことが好きなうえ、肉、ハンバーガー好きなアメリカ人に大いに受け、スーパーにはアトキンスマークが付いた食品が溢れました。アトキンスさんは一躍大金持ちになり、物凄いデブになり亡くなりましたが、家族は死因解明ための解剖調査を否定し、ただひたすら太りすぎが死因ではなかったとだけ言っていますが、どんなもんでしょう。

もう一つ、“ウエイトウォッチャー”(体重監視者とでも訳したらいいのかしら)という営利企業があります。ショッピングモールなどの交通の便がよく、人が集まりやすい一等地に事務所を構え、栄養士のコンサルタントが色々アドバイスをしてくれ、ついでに"カロリー計算をした、バランスの良い"機内食のようなインスタント食品みたいなものを買わされる会員制のクラブです。これに参加している人が3,500万人にもなるのです。

スポーツクラブの方はもますます盛況で、4,000万人が会員になっており、痩せるための産業は太る一方なのです。もういい加減に"少なく食べて、より多く動く"だけが痩せるための基本で、何とか式が謳うように楽に痩せる魔術などあるわけがないと気が付いてもよさそうなものです。

ここであまり、デブバッシングをすると、100キロの大台を割ったとか割らないとか減量に苦しんでいる(ほんとにそうなのかな~?)ようにみえるノラリ編集長のKさんにこの記事をボツにされそうなのでやめることにします。

 

 

第3回:日系人の新年会


 
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