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■亜米利加よもやま通信 ~コロラドロッキーの山裾の町から

第303回:新ローマ法王の誕生に思ったこと…

更新日2013/03/21



システィナ礼拝堂の煙突から白い煙が出て、新しいローマ法王、フランシスコ一世が誕生しました。

アメリカのメディアは新聞もテレビも、こぞってスター級のニューズキャスターを送り込み、何日も前から大騒ぎをしました。

アメリカでは様々なスキャンダル、子供たちへのセックス・ハラストメントにもかかわらずカソリックの信者が非常な勢いで増えていることもあり、法王が誰になるかは大切なニューズなのでしょう。それにヒスパニックと呼ばれている、メキシコや中米からの新しい移住者のほとんどがカソリックだという事実も無視できません。

アメリカのメディアで大騒ぎし、新しいローマ法王、アルゼンチン人のフランシスコ 一世のプロフィールを紹介しているにも係わらず、カソリックの法王システムは私にはどうにも判らないことが多過ぎるのです。

法王に立候補した人の演説があり、信者がそれに対し、意見、感慨、反論を抱きながらも投票できるわけではありません。一般のカソリック信者は、いわばツンボ桟敷に置かれ、たとえ遠路はるばる遠い国からやってきてサン・ピエトロ広場に集ったところで、信者一人ひとりの意見が法王を誰にするかに全く影響がありません。信者にできることは、結果を受け入れ、騒ぐことだけに見えるのです。

法王にどれだけの権限があるのかも明確ではありません。逆に言えば、誰がなったところで大差ない…とさえ言えます。それに、どうしてローマ法王になると、背を丸め、まるで旧式の潜水服を来て、海底を歩くような動作になってしまうのでしょうか。 背筋を伸ばし、颯爽と歩き、軽妙な話術、演説をするローマ法王はいないのでしょうか。

付け加えて、選挙権を持ったカーディナルたちが、バチカン入りをした映像見ましたが、これが100パーセント近くデブ、オーバーウエイトなのです。栄養がたっぷり行き届いた身体で、アフリカ、中南米の飢餓を説いても、私なら、チョト信用できない…気になります。

さらに、あのキンキラキンの服装、法衣はどうにかならいものなのでしょうか。日本でも、ランキングが上のお坊さんが儀式の時に、あきれるくらいハデハデな袈裟というのでしょうか、衣装を着ますが、その点で、カソリックの坊さんたちの衣装も負けていません。アフリカの独裁者が、派手な礼服の胸いっぱいに勲章をつけているのが、ケチに見え、赤面するほどのものです。

普通の敬虔なキリスト教徒なら、恥ずかしくてとても人前に出られる服装ではありません。大体、衣装で権威を保とうとするのは、独裁性の強い団体か軍隊です。皆、同じレンガ色の袈裟を着ているラマ僧が清楚に見え、同じ衣装を着ているダライ・ラマが知的に見えます。

アメリカの多くの宗教団体は、団体によって異なりますが、信者が収入の10%前後をその団体に納めることで財源を確保しています。大きな団体は、投資部門を設け、集めたお金を見返りが多い、より良い条件で資金の運用をしています。それは税金の控除になります。

今回改めて、バチカンの豪華さを見せられ、歴史の蓄積の重さを感じましたが、アレだけの大きな遺産を維持し、おまけに何千人という司祭たちを食べさている資金はどこから、どのように得ているのでしょうか。まさか、日本のお寺のように、拝観料とか、お葬式のお布施、戒名を馬鹿高い値段で売ったりしているわけではなそそうです。免罪符は今どき買う人はいないだろうし、ローソクを立てるときに、賽銭箱に入れるお金だけではとてもあのようにとてつもなく大きな組織を維持できないでしょう。

もし、キリストが今のカソリック、ローマ法王のあり方を見たら、腰を抜かすほど驚き、これは自分の教えとは全く関係ないと言うでしょうね。

 

 

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Grace Joy
(グレース・ジョイ)
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中西部の田舎で生まれ育ったせいでょうか、今でも波打つ小麦畑や地平線まで広がる牧草畑を見ると鳥肌が立つほど感動します。

現在、コロラド州の田舎町の大学で言語学を教えています。専門の言語学の課程で敬語、擬音語を通じて日本語の面白さを知りました。

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