■よりみち~編集後記

 


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更新日2009/01/08


今年の正月は、全国的にとてもおだやかで暖かかったようだ。政情が不安定で、百年に一度と言われている経済大不況がじわじわと押し寄せているという社会情勢とは裏腹に正月三が日の東京の空は青く澄み渡ってポカポカ陽気だった。空がこんなに青いのに、なぜに心に暗雲が立ち込めるのか、国家的なレベルでの政策のミステークに振り回されるのはそろそろ終りにできないものかと正直思えた正月だった。
一方ではイスラエルのガザへの爆撃と侵攻が新年気分などぶっ飛ばすように執拗に繰り返され、テロ撲滅をPRしながら爆撃の正当性を主張し、国家自体が被害妄想に陥っていることを露呈している。さらに一方の無政府状態で海賊とテロ集団の巣窟となったソマリアのアデン湾は世界で最も危険な海域となり、海賊業がソマリアの主要な産業になってしまっているようだ(一隻が100万ドル稼いでいるとか)、日本の海上自衛隊も護衛に行かねばならなくなりそうだ。
イスラエルやソマリアの例でも分るように「国家」というものがはやはり要(カナメ)だということだろう。どこの国でも民族問題を多かれ少なかれ抱えているわけで、その民族意識を超えたところに国家が存在している。民族意識が強すぎると単一民族への統一や独裁へ向かい、反対に民族意識が弱すぎると、他の国家からつけ込まれて侵略されてしまう。その民族主義に宗教や思想が絡むと大変な状態になるのは歴史を見れば一目瞭然だろう。よく日本の政治の不甲斐なさを嘆きたくなるのだが、一応国家レベルではなんとかとりまとめがされており、見える形での不平等も是正されつつあるわけで、中東諸国の混沌とした状況からすると、「定額給付金」を政治家はもらうか辞退するかを国会で議論している暢気で危機感のない国家は日本だけのようにも思える。
今日知ったことなのだが、世界各国の原油輸入の中東依存率で、日本がダントツの1位であり、その依存率がなんと89%なのだ(主要各国における原油輸入の中東依存度・OPEC依存度の推移;2005年)。日本の石油は、サウジアラビア、UAE、イラン、カタール、クウェートの5ヵ国に依存している状態で、もしサッカーのワールドカップなどで大喧嘩になって、サウジの王様がへそを曲げて日本にはもう油を売らないと言ったりしたら、イスラム圏の中東だから石油の供給はすべて止まると考えておいた方がよいだろう。では、イラクの石油が目的で戦争を仕掛けたと言われているアメリカの中東依存率はどうだろう。なんと20%にすぎないのだ。アメリカ自国で40%供給できており、中米のメキシコなどと南米のベネズエラで40%を確保できており、ほぼ80%をアメリカ大陸で賄えているわけだ。イギリスに至っては9%の中東依存度なのだから、もし中東戦争が起こってしまったら、どちらの国も本気で介入するとは思えないし、中東の原油が止まってもまだなんとかなる状態なのだ。
日本はどうだろう。中東戦争やソマリアの海賊によるアラビア海の制圧などが起こったら、日本の石油はすぐにピンチになるということだ。その意味でも、イスラエルとアラブ諸国の対立やソマリアの海賊問題は対岸の火事では全くないのだ。日本の国家問題と直結する大きな問題なのだ。もっと日本が汗を流して中東の安定のために動き回らなければならないのだ。また、宗教対立がその根底にある問題だけに、仏教国であり神道の日本は仲介役として適任なはずだ。「定額給付金」の不毛な論戦を国会でやるよりは、日本のエネルギー問題に直結する中東和平に日本の知恵と汗を出すべきだと思うのだが、目先の1万2,000円の方が経済刺激策として大事なんでしょうかね・・・(

 

 


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