■よりみち~編集後記

 


■更新予定日:毎週木曜日

 

 

 

 

 


更新日2006/01/19


ここまで騒ぎが大きくなるとはホリエモンも思っていなかったはずだが、世界の株式市場にまで影響を及ぼしたようで、これは日本の誤算というか、想定外の結果になってしまったのではないだろうか。今回のライブドア事件は、色々な部分にブレーキをかけてしまた。まず一番困っているのが、IT関連企業だろう。若手社長のベンチャー企業はどこもホリエモンと同様だと思われ、どんなに財務をガラス張りにしても同類扱いを受け、オタク世代のマネーゲーム会社と評価されてしまうかもしれない。次に影響が大きいのが、デイトレーダーなどと呼ばれるネットを使った個人投資家たちだ。今回の事件で、かなり大ヤケドをした人も多いと聞くから、懲りてやめてしまう人も増えそうだ。ネットによる個人の株式投資がかなり拡大してきていた矢先で、若い奥さんがへそくりを株式で増やしているのが話題になったり、株式のミニバブル的な様相も出始めていただけに、早くもこのままバブルがはじけてしまうのだろうか。そして一番大きな被害は日本の株式経済だろう。姉歯設計士による構造設計の偽装という前代未聞の事件の次が、政界にデビューまでしようとしていたノーネクタイの青年実業家が実は粉飾決算による偽装工作による株価操作で巨万の富をつくり上げていたとなれば、海外から日本を見たら、まるで倫理感の欠落した金権主義が横行する会社ばかりで、そのチェックすらまともにできない無能な行政という最悪のイメージである。姉歯とライブドアを一緒に語るのは無理があるのだが、共通していることがある。法律の穴を探すとか、見つからなければOKとか、一番大事なのは「目先の利益」という点だ。勤勉で働き者で頭脳明晰な日本人というイメージが崩れ去り、お金のことしか考えていない、お金のためなら法律など平気で犯す日本人のイメージが定着してしまうのではないだろうか。ライブドアの株暴落に伴う東京証券取引所のシステム不安による全株式の売買停止は、世界の株式市場にまで不安の連鎖反応を引き起こした。これまた想定外だろうが、お粗末としか言いようがない。日本の経済状況からすれば、ライブドア程度の企業のことで、日本の株式市場がパニックになることがどうかしているし、それを想定できていない東証のレベルの低さの方が問題だろう。今回の騒動で、日本の株式市場のレベルの低さやリスク管理が全くできていないことに世界中が驚いたわけだ。この汚名をどのように返上していくことができるのだろうか…。それともアメリカがチャンスとばかりに乗り込んでくるかもしれない…。(K

 

 

 

 

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■猫ギャラリー ITO JUNKO
11/19/2005更新