■よりみち~編集後記

 


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更新日2005/01/27


最近なかなかよい映画が続いているような感じがする。前作の「オーシャンズ11」が結構楽しめたので、グレードアップしたという2作目の『オーシャンズ12』(スティーブン・ソダーバーグ監督)に期待して出かけた。もちろん娯楽作品だからそれなりに楽しめたのだが、期待しすぎたせいなのか、盛り上がりに欠けており前作の痛快さがなかった。それよりも、なんで本物のジュリア・ロバーツやらブルース・ウィルスが登場しなければならないのだろう? まだ観てない人にオチを言って申し訳ないのだが、ちょっとジョークにしてはやりすぎではないだろうか。ジュリア・ロバーツが本物のジュリアを演じているというなんともヘンテコなストーリーで、イレブン(11)がどうしてトゥエルブ(12)になるのか、それを楽しみにしていたのだが、がっかりしてしまった。どうもシナリオが今回はいけないようだ。すべて安易で、取って付けたようなわざとらしさを感じてしまった。キャサリン・ゼタジョーンズに至っては、ユーロポールの凄腕捜査官の設定で、オーシャンズの強敵という役どころなのだが、どうも無理がありすぎる。観終わった後、欲求不満の状態で映画館のロビーでマーク・フォスター監督の『ネバーランド』が目に止まった。ジョニ-・デップは好きな俳優なのでチェックしなければと思っていたので、久々の映画のハシゴを決行することにした(高校生の頃、日曜日によく映画館のハシゴをしたことを思い出したが、さすがに最近はやれなくなった)。深夜の最終上映会だったが、なんと観客は私を含めて二人だけ。あれ、そんなに人気のない映画だったのかな、と思っていたのだが、ジョニ-・デップの自然な演技もよく、ストーリーもキャスティングも文句なく、そして素晴らしい感動をしっかりプレゼントしてくれる五つ★映画だった。「ピーター・パン」の初演から昨年が100年目だったこと、ピーター・パンの登場人物にはモデルがいたこと、ピーター・パンの生みの親である作家のジェームズ・バリの感性と勇気が100年以上続く不変の名作を遺したことをこの映画で学んだ。子供の頃読んだピーター・パンの面白さや感動、そして子供のときの夢・空想・天国のことなど、無垢だった心で感じたことを思い出させてくれるとても余韻の残る映画を久々に観た。それにしても、俳優ジョニ-・デップの控えめの演技はなめらかでナチュラルだ。「パイレーツ・オブ・カリビアン」(ゴア・ヴァービンスキー監督)と同じ役者とは思えないほど、どんな役にもはまってしまう才能があるようだ。最初に観た映画が1993年の「ギルバート・グレイブ」(ラッセ・ハルストレム監督、デカプリオが知恵遅れの少年役で好演していたことでも有名だ)という作品だったが、作品自体はそれほど優れているとは思えなかったが、ジョニー・デップの自然な演技がやたら光っていた。作品ごとに全く違うキャラクターに演じ分けられる天性の才能を持ち合わせているようだ。今回、「ネバーランド」で名優のダスティン・ホフマンと競演しているが、演技では決して負けておらず、彼は新時代のダスティン・ホフマンなのかもしれない。次の作品が楽しみである。(K

 

 

 

 


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