■よりみち〜編集後記

 


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更新日2009/02/05


景気対策の財源として、「政府紙幣」の発行論議がまた浮上してきているようだ。この政府紙幣の発行は、10年以上前から経済学者の丹羽春喜氏(正統派ケインズ主義者で、国難的危機脱出への方途は、政府紙幣の発行しかないと主張し続けている。大阪学院大学名誉教授、日本経済再生政策提言フォーラム会長・事務局長)が提言し続けている金融政策だそうで、この金融危機のさなかに沸いて出た政策ではないようだ。実際、アメリカではニューディール政策の中で政府紙幣が発行されて効果が上がったらしいし、その昔、明治維新の直後の日本でも太政官札という政府紙幣が発行され、膨大な財政需要が賄われた実績もあるという。
日銀券とは別に政府が独自に紙幣を印刷してばらまくという、ちょっと無茶な話に聞こえる話なのだが、苦し紛れの最後の切り札的な金融政策がここで再浮上してきているということは、かなり日本の経済状況もヤバイ状態で、景気浮上の打開策が全く見えないということを示している。本来であれば、日銀が動いて調整すべき金融対策なのだが、今の日銀ではありえない政策だから、日銀に相談しても無駄なことは明白で、それなら政府が独自に判断して紙幣を印刷してばら撒けばいいという話のようだ(ヘリコプター・マネーと言うらしい)。メリットとしては日銀を動かして国債を発行するという、いつもの将来的に借金を膨らませる方式ではなく、借金なしに一時的な財政負担を賄う方法であるということで、あくまでも一時的な措置という点だろう。当然のことながら、ハイパーインフレの危険を孕むことは間違いないが、今一番恐れられているデフレスパイラル状態(物価が下がっても需要の上昇が見られず、景気が悪くなることが繰り返されて止まらなくなり、さらにデフレを進行させるという悪循環に陥った状況)の日本では多少のインフレは問題にならないとされている点だろう。もちろん、この政府紙幣を発行し続けてハイパーインフレで失敗した悪例もたくさんあるのだが、この出口の見えない世界的な経済破綻現象が巻き起こっている状況なのだから、一発逆転の発想なしには経済の再生は難しいだろう。
自民党の前財務大臣だった伊吹文明氏は、「政府紙幣はマリフアナと同じ。実質成長率の引き上げを放棄し、名目成長率で国民をだますことは政治家として受けいれてはいけない」と厳しく批判するなど、自民党内でもかなり反対意見も多いこの政府紙幣の景気対策案だが、果たして今の日本が、実質成長率とか名目成長率とかにこだわっていられる経済状況なのかどうかという疑問がある。輸出大国の日本で工場閉鎖が日常化してしまう前に打つ手を考えておかないと、本当の経済破綻がやってきてからではすべて遅すぎるわけで、この難局に立ち向かう政治家の勇気が試されているように思える。麻生政権では腰抜け茶坊主ばかりで到底このような英断を下すことは無理だろうから、その意味でも早いところ政権交代して、一回限りという制限付きで、ぜひこの「政府紙幣」なるものを実行して、大いに経済を刺激してもらいたいものである。(K

 

 


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