■よりみち~編集後記

 


■更新予定日:毎週木曜日

更新日2003/02/27

パーキソン病と戦うマイケル・J・フォックスが自伝の中でこんなことを書いていた。「瞬間の本質というのは、その後に起こることがその瞬間の持ち味を決める(一部省略)」。うーん、深いッ! だてに時空を越 えてないねえ(ってそりゃ映画の中の話でやんした)。たとえ今しゃがみ込んでしまっていても、いつか歩き出すときがくれば、「今」はそのためのちょっとした休憩。でももしそのまま膝を抱えてしまったら「今」はくら~い未来の一部になってしまう・・・。たまには転んでもやっぱり歩き出さなきゃいかんよね。(瀬尾


映画評論家?のオスギの言葉(テレビCMで「この映画は奇跡だ!」とまで言うので)に誘われて、『戦場のピアニスト』を観てしまった。ポーランドのユダヤ人狩りから逃亡し、奇跡的に生き延びたピアニストの実話だという程度の予備知識で、できるだけ先入観なしで観てみることにした。後で分かったことだが、監督のロマン・ポランスキー氏自身もポーランド出身で同じ体験をして生き延びた人だと知った。ナチスによるユダヤ人の虐待はすでに学習済みのはずだったが、その理不尽な殺戮がどうしてあそこまでできたのか理解に苦しむが、人間の底知れない残虐性はシステムによっても作られることが描かれている。この映画で知ったことは、同じユダヤ人がナチスの飼い犬(これも生きるためだろうが…)になって、同胞の殺戮介助に携わっていたという事実だ。延々と続くゲットーの廃墟の大通りを主人公が一人さまよう印象的なシーンがあるが、その1カットのために、ポランスキー監督は、戦禍にまみれたゲットーの廃墟を克明に再現している。それはまるで復讐するかのように丹念にその時代を記録しようとしているように思えた。(