■よりみち~編集後記

 


■更新予定日:毎週木曜日

 

 

 

 

 


更新日2005/04/07


記録と言うことにこだわりを持つ人と持たない人は、糸井重里氏が言うところの51:49の原理で、とても微妙な関係なのかもしれないが、私は間違いなく49のマイナー派なので、記録に命を賭けるというようなことがさっぱり理解ができないタイプである。たぶんゴルフなどもこの手の自分の記録との戦いなのだと思えるから、自分としてはできるだけ近寄らないようにしてきている。でも、人が努力を重ね記録に挑戦する姿はやはり美しいと思えるし、すごいと素直に感動する。ヨットの世界でも世界記録の夢を追いかける人が多い。昨年2004年の4月にヨットによる無寄港世界一周記録が破られたのだが、今年の3月17日、その記録を破られたフランスのブルーノ・ペイロン氏が1年後にまた記録を更新して世界一に返り咲いた。記録は50日16時間20分4秒というが、誰かがこのように正確な記録を計測しているのだろうか。風だけで走るヨットで無寄港で地球一周が50日間でできるということに驚く。今回の記録は昨年の記録を7日間も短縮したというからさらに驚きである。記録が好きというよりは執念のようなものを感じる。さらに面白いことに、2004年にこの無寄港世界一周記録を塗り替えたのが記録マニア?の米国のスティーブ・フォセット氏だったことで、彼は今年の3月3日午後2時48分にジェット機『グローバルフライヤー』による初の単独無着陸・無給油世界一周に成功したばかりだった。ヨットの次はジェット機の世界記録なのだ。飛行時間67時間、飛行距離は3万7000キロを一人でどうやって操縦していたのだろう? このシカゴ出身の大富豪で冒険家のスティーブ・フォセットという人は、英ヴァージン・アトランティック航空のリチャード・ブランソン会長(今回の飛行プロジェクトの資金提供者でもある)と同様、大富豪の冒険家として有名だが、世界記録へのこだわりは誰もかなう者はいないだろう。(「のらり」コラム:貿易風の吹く島から「第94回:記録に取り憑かれた男」佐野草介著)英仏海峡を泳いで渡ったり、アラスカ州の『犬ぞりレース』、ル・マンの『24時間耐久レース』に参加したりすることはもちろん、熱気球での世界初単独世界一周飛行に6回挑戦してついに成功させるなど、その財力を有効に活用して成功するまで努力を惜しまない方針のようだ。今年60歳だというフォセット氏の次なる世界記録への挑戦はまた記録を更新されたヨットによる無寄港世界一周記録なのだろうか? 大富豪になってしまうと命を賭けるようなリスキーで挑戦的なスポーツしか感動が得られなくなるのかもしれない。野次馬の一匹としては、いつまでも元気で世界記録にチャレンジして老人にも夢を与えて欲しいものである。(K

 

 

 


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