■よりみち~編集後記

 


■更新予定日:毎週木曜日

 

 

 

 

 


更新日2006/04/07


牛乳が産業廃棄物になっているらしい。牛乳の特産地である酪農王国・北海道が、2,000万円もかけて、生産過剰の生乳1,000トン(1リットルパック約100万本)を廃棄すると、3月中旬に報道された。ニュースを聞いて、最初、BSEの問題が牛乳にまで及んできたかと早とちりしてしまった。単に生産過剰で捨てるしかない状態だと分かって、今度はゾッとした。私の母系の実家は北海道の農家を営んでいるので、子供の頃からお米に対して大切に扱うように注意され、ご飯の食べ残しや、米粒が茶碗に残っていたりすると、よく叱られたものだ。そして、実際に田植えや稲刈りなど、米づくりの基本を体験させられた。特に稲刈りは子供にとっては大変な労働だった。稲穂は肌に触れるととても痒く、稲を束にして担いで運ぶ際、首筋などがとてつもなく痒く、閉口したものだ。今ではすべて機械がやってしまうので、子供が農作業を手伝うこともなくなってしまったようだ。田植えや稲刈りの体験は、毎日食べている米がどのように作られているかを知る貴重な経験だったと今にして思える。子供の頃にそのような教育を受けたので、今でもご飯の食べ方が汚い人(米粒を茶碗にひっつけたままで平気な人やご飯を数口分だけ残す人など)を生理的に受け付けないし、どうしてもご飯が残せない性癖になってしまった(だから太るのだ…と言い訳しておく)。そして、子供の頃、よく言われたことが、「食べ物を粗末に扱うとバチが当たる」ということだった。「罰が当たる」という言葉自体が、今では死語になりつつあるような感じもしないではないが、食べ物に対する信仰のようなものがまだ残っていた気がする。今回の生乳1,000トンの廃棄処分のニュースを聞いて、「罰が当たる」のは間違いないと思った。それも誰かにではなく、日本という国自体に罰が当たるはずである。当然のことながら、1,000トンもの生乳が余ってしまう現実には人的なミスや予期せぬ事態が起こってのことで、複合的な原因だったはずである。それよりも消費の低迷が一番の原因で、たとえば北海道の道民全員が一日に1本牛乳を飲む習慣をつけるだけで、問題は解消されるだけだという意見もあるようだが、やはり、乳業の業界の怠慢が原因の一つではないのだろうか。雪印の食中毒の問題あたりから、道内の乳業の混乱と低迷はすでに始まっていたわけで、それに対しての働きかけや新規事業(乳製品の取り組みや輸出など)の取り組みなどの遅れがあったことは間違いない。また、このような非常事態の時の臨機応変の判断が国や行政に求められているわけだが、今回も後手ばかり踏んでいる状態である。牛が神様の国・インドや乳製品が常に食生活の中心にあるEC諸国の人々が、このニュースを知ったなら、日本の乳業がかなり批判されることは間違いない。もっとおいしいチーズ作りを研究して、チーズの輸出国になることだって夢ではないはずだから…。(

 

 

 

 

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■猫ギャラリー ITO JUNKO
11/19/2005更新